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■好太郎と節子 素描する喜び (2013年11月23日~14年1月19日、札幌)

2014年02月27日 23時13分44秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 何年かに一度、三岸好太郎の大きな個展が、三岸好太郎美術館以外の会場で開かれることがある。
 そうなると、同館が所蔵する代表作はあらかた出払ってしまうことになる。
 「オーケストラ」や「飛ぶ蝶」を目当てにたまたま訪れた旅行者などは落胆するだろうが、地元の人間にとっては、ひとつの「好機」である。
 というのは、同館が所蔵しているのに、ふだんは館内の壁面を飾ることがめったにない素描などを、たくさん見ることができるからだ。

 今回は、だいたいおなじ日程で道立函館美術館が三岸好太郎展を開いたことによる素描展。
 好太郎の約90点に加え、高輪画廊が所蔵する節子の22点も展示された。好太郎の素描も、4点は高輪画廊のコレクションである。
 筆者はこれまで、30回以上は三岸好太郎美術館を訪れており、そろそろ初めて見る作品などはなくなってきているのだが、今回はさすがに、まだ見たことのない作品がいくらかあった。素描とはいえ、タブローとはまた別の魅力をたたえているのである。

 そんななかでも一番ビックリしたのは、1933年頃の「ぶらさがる男」。
 両腕をだらんと垂らして、空中のひもからぶらさがっている人物の姿は、まるで山本雄基さんが道展に出品して話題になった「ちくわの自殺」(正式なタイトルは別にあったと思うが)を思わせる。彼は、この素描を知ってて描いたのではないかと思うほどだ。

 32年ごろの「雨の日」は異色作。3コママンガ仕立てになっているのだ。
 西洋の映画から着想を得たのだろうか。
 このころの「パイプの男」の連作は、顔がぐちゃぐちゃになっていたりして、何とも不思議。「顔」は、デストロイヤーみちあだ。

 さらにさかのぼって「木馬」は、モティーフとなった浅草の木馬館が現存しているのがすごいと思った。


2013年11月23日(土)~14年1月19日(日)
道立三岸好太郎美術館(中央区北2西15)



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