いわゆる西洋画の見方を簡潔に記述した高階秀爾の「誰も知らない「名画の見方」」 は、読み方によっては当たり前のことを言っているようにも思われるが、人間の眼のもつ不思議さを鋭く見抜いているところはさすがと思われる。怠惰になってきたのかもしれないが、こういった肩のこらない文庫本を気軽に手にすることができるのはある意味幸運だと思う。
西洋画は基本的には宗教画と言うべきなのであろうが、初めてそれを実感したのは、バーゼルにある国立美術館Kunstmuseumを30年前に訪問したとき。膨大な展示品の大部分がキリスト教にまつわる宗教画で、その量と質に圧倒された。「誰も知らない「名画の見方」」には宗教画は少ないが、西洋画に接するときにはどうしてもキリスト教についての見識が必要なのだと思う。
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