ここ数年、東京駅周辺は大幅に再開発され、新しい超高層ビルが林立しているが、外堀通りから一歩入った八重洲地区にはまだ昭和の名残を残すような一杯飲み屋がある。北海道の港湾都市の名前をとった「O」もそのひとつ。勘定は手書きの金額だけで内訳は当然無く、料金の透明性は皆無である。背もたれの無い小さなスツールと、現代人の体格を無視した小さなテーブル、もし話しに興が乗ってのけぞったりすると後ろの客の後頭部を直撃することは間違いない。もちろん禁煙席の設置など無く、受動喫煙などへの配慮もまったくなされず。そしてここは最近のオフイスビルの地下にあるような居酒屋とは違い、狭い路地を入った一軒家の店である。
自分は終業後連れ立って飲みに行くという習慣は無かったが、昨夜久しぶりにかつての同僚と「O」へ行ってみた。北海道の地酒と魚料理が中心。金曜日のこととて、7時過ぎにはもう満員だった。ここに集う客の殆どは近隣の、日本を代表するような大企業の社員なのだろう。お互い話は筒抜けなので機微にわたる話題は取り上げず。この環境での飲食は2時間が限度である。それでも満員になって客が引きも切らさないということは、何か引き付けるものがあるからなのだろう。
昨夜は雪こそ降らなかったものの鉄鋼ビルが跡形も無くなった八重洲口の辺りに吹き抜ける風はいつに無く冷たかった。
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