EUの東方拡大の結果、域内の経済格差は一段と大きなものとなった。既に域内ですら、ブルガリアやルーマニア国民の英国への移動が議論になっているが、今度は、ブルガリア国籍取得⇒EU市民権取得が脚光を浴びている。この方式では、わずか二日、同国に滞在するだけで、最小金額として15万ユーロ(2100万円)しはらえば合法的にブルガリア国籍が取得でき、結果として英国はじめEU域内での自由な居住や就業が可能になる。この方式では、たとえば犯罪歴によって英国のパスポートを拒絶されたような人物でもブルガリア国籍が取得できる。このことは、ブルガリアやルーマニア国民の入国制限を緩和したEU諸国にとって極めて深刻な問題だ。また、この方式では、いったんブルガリア国籍を取得すれば、3か月以内に子供を含む家族もブルガリア国籍が取得できるという。このような国籍の販売には他国からも懸念の声が上がっている。たとえば、英国で国籍をとろうとすれば少なくとも100万ポンドの投資をし、一年の半分以上を英国に居住し、自宅を保有する必要がある。それと比べるとブルガリアの国籍取得が如何に廉価かが判る。
ブルガリアにある国籍取得斡旋会社では、すでに数百人がブルガリア国籍取得申請を行っているという。この斡旋会社には相応の手数料を払えばブルガリア国籍取得に必要な形式(住所など)の代行もしてくれる。
もちろん国籍が簡単に取得できるような抜け道をブルガリア政府がどこまで放置しておくかわからないが、このままではブルガリア国籍の外国人でEUは溢れかえることになるだろう。また、米国でのグリーンカード取得を食い物にする悪徳詐欺業者がいるのと同様に、手数料だけ受け取ってブルガリア国籍が取れないというような詐欺行為も早晩起きてくるだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます