たまたまみていたNHK BSで、2001年制作のロシア紀行番組「トルストイの大地 ~辻井喬のロシア・ユートピア巡礼~」が再放送されていた。当初放映時、NY勤務だったこともあり観ることが出来なかった番組。約2時間の番組は、ジーンズにジャケットを羽織った、昨年11月に亡くなった辻井喬(というよりセゾングループの創始者堤清二のほうが自分にはなじみがあるが)がトルストイの足跡を訪ねてロシア各地を旅するもの。当時は市場経済への移行直後で混乱したロシアを、庶民は貧しくとも大地に根をおろして素朴に生きる姿をカメラがとらえ、それを辻井がロシア人の特性として肯定的に捉えていた。
この放送から13年経ち、当時は70歳台前半の健康そうな辻井は既に鬼籍に入っているなど時代の推移を感じさせるが、トルストイの理想主義やロシア人の大地に対する深い思い、そしてかつて共産主義者でもあった辻井の共感ぶりには年月を越えたものが感じられた
特にデカブリストの叛乱でシベリアに流刑になった青年貴族とその家族の再会や、家出のあと間もなく文字通り客死したトルストイの最後などは嫌みのない映像に収められていて好感が持てるものだった。
最近、キワモノのグロテスクなドラマの多いNHKだが、こういう真摯な番組を制作して行けば、会長の失言があっても生き延びられるだろう。 ソチ冬季五輪開幕を目前に控えてロシア関連の番組が増えそうで、楽しみだ。
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