東京医療センターの本田美和子先生が、認知症ケア ユマニチューの講義と実技ユマニチュードを広める市民に広めるために、
イヴ・ジネスト先生とロゼット・マレスコッティ先生が確立された、認知症ケア「ユマニチュード」の勉強会を開催。
お二人は、体育の先生で、病院では「動かないで下さい」が主流の中、「動いて下さい」ということを提唱し 1982年から患者さんを
ベットから起こすようにするための技術をユマニチュードとして確立された方です。
クローズアップ現代やEテレで観た方も多くいらっしゃるかもしれませんが、このユマニチュードで寝たきりの方が、立ち上がるという
劇的な変化をもたらしたのを目の当たりに見て私自身びっくりしたのを覚えています。
イヴさんは、拘束抑制の現実を知り、重い患者さんの清拭や着替をする中で、生きるためには動き、最期まで寝たきりにしないために
自由の大切さ、患者さんの価値観、愛・自由・幸せ哲学を生かすユマニチュードの技術を
実践し体験し現実と結びつけていきました。
怒ったり、怒鳴り声をあげコミュニケーション取れない認知症の患者さんに対して
「見る」「語りかける」「触れる」ことで、脳のスイッチをオンにし、関節を動かし、本人の力を生かし、話しかけ、呼びかけることで
笑顔で立位が取れて最期を迎えることができるように導く過程を見せて頂きました。
オキシトシン分泌指令、目を合わせる試み、実況中継しているように優しく話しかけ続け
見つめる(視線を合わす)、触れることで、ねたきりにならない。
認知症の方は、視界の中心の人しか見えないので真横から話しかけると全く気づかれない事があり、
3メートル正面から近づき、 20センチ正面から語り掛け、応答フィードバッグをし、
目を見てくださいと語り掛けながら優しく触れる。
清拭を嫌がっていた認知症の方も、気持ちよく背中を洗ってもらい、 右手を自ら上げて、左足伸ばす。
こんにちはと話しかけ、目を見て話しかけることで、ありがとうと返答が返ってくる。
「ケアされる側もする側も人間なんです」とイヴさんは伝えるとおしゃっていました。
ロゼットさんの講演では、人間は動物であり出産で誕生後、 愛を伝えるには、 見ることと話しかける言葉のトーンが重要であり、
指をつかわず手のひら以上の面積で包み込むように優しく触れることの重要性をわかりやすく説明して下さいました。
人生を通して 「ネガティヴな関係」触れ方に意味があり、情報が頭の視床に入り、扁桃核で感情で反応する。
その情報を分析する大脳皮質へ運ばれても大脳皮質が欠けているアルツハイマーの患者さんの脳では分析出来ないので
触れる事の意味が理解できない。覚えてないけど「懐かしい」。
触れるといっても、指先でつかむと、お前が嫌いと伝わってしまうそうです。
正常に生まれた後に、愛情を注ぐことで第二の誕生となり、見る 話す 触れるで脳が発達できる。
愛情をこめて見る 話す 触れるがなければ、30パーセントのこどもが死んでしまうか、自閉症に似た症状を表し、脳が発達出来ないそうです。
寝たきりで反応が無い認知症の患者さんの部屋でも入室する時にノックをすることで、 出会いの準備ができる。
ノックすると大抵気づいてくれる 。
ケアを拒否する認知症の方でもケアの準備を整え、関係を築くことが重要で、あなたを愛しているというのは、
知覚の共有をし、関係を固める事で、大脳皮質は覚えてなくても感情は覚えているそうです。
出会いの準備、ケアの準備、感謝の固定、再会の約束。
手を縛られて生きていけるか?生きたくない。!人間である事を伝え、 立位を取ることが第三の誕生となる。
人間は、愛を与え、受け取るための動物であり、患者さんは自分で治す事が出来るのは、愛情や絆があるから
生きたいと思う からだと、 ロゼット・マレスコッティ先生が講演を結びました。
生存科学研究所青木先生、東京医療センター武田 純三病院長、大熊由紀子先生はじめ多くの先生方の後押しがあって、このユマニチュード
が広まりつつあることに、物事が動き進む過程も学ぶことが出来ました。
認知症情報学から考えるケア分析をされている静岡大学の石川翔吾先生が、「根拠に基づく医療」と同様に「根拠に基づくケア」へ
するために従来型ケアとユマニチュードのケアについて、映像から数値化したことでこのユマニチュードの広がりにもつながっています。
イヴ・ジネスト先生とロゼット・マレスコッティ先生が30年前から「ユマニチュード」取り組んできた中で、
高齢者に特化していなかったと述べておられましたが、まさにその通りで、
子育てをする中で、パソコンやスマートフォンの画面から目を離し、子どもと目を合せ、優しいトーンで話しかけ、触れるだけで
物やお金に頼らずとも十分に愛情が伝わるのですね。夫婦、親子、兄弟、上司部下、友人関係もですね。
医師、看護師、介護士さん他現場の専門職で30〜40代の受講者が多くいらっしゃいました。
認知症の家族と対応する家庭が現場となっている悩み多き市民のお役に立てないか模索中です。