今の時代、
ハネムーンは
豪華さを競う一方だ。
娘もニュージーランドへ。
どこへ行こうが、
どれだけ豪華にしようが、
それで
結婚生活がうまくいくなら
親として
何も文句はない。
私の場合、
近くで済ませたハネムーン。
身重な妻の体も考えて、
新婚旅行は
いかないつもりでいたが、
親兄弟に
世間体があるからと勧められ、
急きょ決めたのが
京都嵐山行き。
実は十二月、
京都は
シーズンオフだった。
形だけだからと
出かけたものの、
嵐山は
寒風が
吹きすさんでいた。
体を寄せ合い、
雪さえ
ちらつき始めた
嵐山を歩いた。
宿は
駅前の案内所で
決めた民宿。
宿泊客がいなく
閑散とした部屋は、
隙間風が
容赦なく吹き込んだ。
「なんてハネムーンだ。
花嫁が気の毒だ」と、
友人はいうが、
妻も私も
実は満足していた。
シーズンオフの京都で
二人の心を
一にした貴重な体験は、
絆を
絶対のものにしてくれた。
三十五年続く
円満な結婚生活は、
あの特別なハネムーンを
体験したから
得られたものだと思っている。
虜になったマンガがある。
石森章太郎(のちに石ノ森章太郎に)の、
名作『サイボーグ009』だ。
仮面ライダーの生みの親である。
少女漫画から青春ストーリーなんでも
器用に描き分けた
稀代の漫画化だった。
SFマンガは
とにかくテーマが壮大だった。
009も後半は神との闘いに発展したのである。
彼は多作漫画家。
残した作品は膨大な量なのだ。