難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

東京国立博物館は聴覚バリアフリーか?

2009年05月06日 22時20分02秒 | 生活
東京国立博物館では、興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」が開催されている。
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=01&event_id=6113

像の三面の顔が心を見つめる像として、阿修羅像が人気を博している。

この博物館では、鑑賞者向けに音声ガイドが貸し出されている。それぞれの展示物の前に立つと、作品の解説が聞けるというものだ。
これが難聴者などにバリアーになっていないだろうか。
「音声ガイドに女優の黒木瞳さんが決定
 興福寺の創建1300年を記念した「国宝 阿修羅展」で、展示作品を解説するメーンの音声ガイドを、女優の黒木瞳さんが担当することになりました! 」
http://www.asahi.com/ashura/guide/index.html

イヤホンを付けて聞くのだが、難聴者に聞こえるだろうか。どのくらいの音量で聞こえるのか分からないが、周囲の鑑賞者の邪魔をしないようにそう大きな音はでないのだろう。

補聴器や人工内耳をしている場合、Tコイルがついている機種がある。これは磁気ループのように音声出力を磁場に発生させて聞く仕組みだが、とても明瞭に聞こえる。
Tコイルがついている補聴器や人工内耳を使っていれば、イヤホンの代わりに「ネックループ」を首にかけて、解説を聞くことが出来る。

そう言えば、障害者権利条約の審議をしていた国連のアドホック委員会の会議で、ネックループが用意されるようになったというエピソードがあった。国連が用意したということがミソだ。

館内には、ビデオで作品を説明しているなら、字幕は欠かせない。阿修羅像の解説に字幕は不可欠だ。
「第4章 バーチャルリアリティ(VR)シアター「再建中金堂と阿修羅像」」
http://www.asahi.com/ashura/exhibition/4.html

「VR映像で阿修羅像に迫る
バーチャルリアリティ(VR)映像上映
本展では会場内にて、VR技術により、国宝・阿修羅像の姿を、三次元計測+超高精細撮影+色彩計測により余すことなくデジタル化し、阿修羅像をより深く理解できる映像を上映します。また、現存しない中金堂もVRにより再現し、再建に先駆けてその様子をご覧頂けます。復元が計画されている天平文化空間を一足先にVR映像としてよみがえらせます。 」
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=01&event_id=6113(最下部)

音声ガイドが聞けないので、作品の横にある解説がたよりだが、館内は暗い上に小さな字で書いてあるので、目を近づけなければ読めない。これもバリアーだ。


国立の施設であるなら、政府が署名した障害者権利条約に文化施設のアクセスにも配慮しなければならないとある。補聴器によってはネックループが対応できることもアピールして、用意するべきだ。第一そんなに費用がかからない。


ラビット 記





H市の障害福祉計画と要約筆記協力者

2009年05月06日 12時45分33秒 | 生活

画像-0035バラ.jpgH市の第2期障害福祉計画のパブリックコメントに市の回答が出ていた。
計画の見込み量が少ないことに対して、聴覚障害者当事者を委員に加えよというものだ。

計画を見ると、手話通訳、要約筆記協力者等派遣事業の伸びは毎年25人増しか見込んでいない。
要約筆記協力者の登録者数は毎年、14人、15人、16人しか増えない。手話通訳、手話協力者は毎年合計221人修了する計画に対し、要約筆記協力者は毎年7人しか養成(修了)しない計画だ。
※要約筆記協力者は従来の制度の要約筆記奉仕員

ラビット 記
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市では、第2期障害福祉計画(平成21~23年度)の素案について、平成21年2月1日から2月27日の間、皆さまのご意見の募集(パブリックコメント)を行いました。
 いただいたご意見等の概要とそれに対する市の考え方についてお知らせします。

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策定委員に聴覚障害当事者が参加していないため過去の実績から機械的にニーズや動向が見込
みこまれ、当事者のニーズが的確に反映しているとは思われません。今後の計画達成状況
の点検及び評価の会議には必ず当事者を参加させて頂きたい。

【市の考え方】
コミュニケーション支援事業については、実績
を踏まえた上で、拡充を図る目標値の設定としました。計画策定に関しては、今回身体・知的 ・精神の3障害の分野から計5名の当事者委員の方に参画していただいておりますが、聴覚障害の方には参画いただいていませんでしたため、サービス量の見込みについては、聴覚障害者団体の方々に内容確認をお願いしました。今後はあらゆる障害種別の方々のご意見が取り入れられるよう検討してまいります。

コミュニケーション支援事業 参考
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【第2期障害福祉計画より】

2 コミュニケーション支援
事業

聴覚、言語機能、音声機能の障害のため、意思疎通に支障がある障害者等に対し仲介する手話 通訳・要約筆記協力者等を派遣することにより、その他の者ものとの意思疎通を仲介します。
市に登録する手話通訳・要約筆記協力者の派遣 のほか、裁判や権利擁護の問題など専門性のたかい内容については、手話通訳・要約筆記者の 派遣を行います。
また、コミュニケーション支援事業の実施を担 う人材養成に係る事業を行います。

【市の基本的な考え方】
対象者の拡大、制度の周知により、情報保障の充実を図るとともにコミュニケーション支援事業の実施を担う人材を養成します。