難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

情報バリアフリーの法改正の到達点

2011年09月17日 20時55分17秒 | 放送・通信
情報バリアフリーの法改正の到達点は、最悪だ。
(アクセシビリティ=アクセス保障とする)
1.7月29日に成立し、8月5日に発効した改正障害者基本法に障害、社会的障壁の定義が加えられ、第22条には、障害を持つ人の情報の取得、利用、意志疎通のためあらゆる選択の機会と手段を講じる努力義務が事業者に課せられた。
しかし各分野や各方式ごとの実施に至る過程、ガイドラインはまだない。実施しない場合罰則などはない。

2.放送法は、放送通信の融合化の時代を迎えて、一部改正されたが、放送アクセシビリティの部分は論議さえ行われず何も変わっていない。
放送の音声、映像は字幕放送、解説放送の実施が義務付けられているが、実施目標はガイドラインしかない。
実施しない事業者に対する罰則もなく、手話放送の条項・規定も全くない。

3.DVDやBDなど記録系メディアのアクセシビリティの規格もない、義務化もされていない。

4.放送受信機のアクセシビリティは、情報通信機器や事務機、WEBなどのアクセシビリティがJIS化されているのに対し、何も規定されていない。地デジの映るPCやタブレットも字幕や解説放送の見られるように義務付けが必要だ。
地デジの字幕放送は電波産業会ARIBの規格であって、法的には規定されていない。

5.情報通信サービスのアクセシビリティは、通信事業者に電話リレーサービスの実施を課す法律もない。統一規格や業界規格すらない。
音声が聞きにくい、音声を聞くことの出来ない者、ファックスを読んだり書いたり出来ない者、電話の受話器やキーボード入力が困難な者、発声の困難な障害者、ディスプレイの読めない者、文字の読めない、理解できない者、携帯電話等を所持出来ない者は21世紀にあっても、情報通信サービスの利用が出来ず、QOLが低いままだ。

6.映画の上映に、字幕、音声解説が義務付けられていない。映画の字幕版は上映期間と上映館が限定されている。
音響の磁気ループ出力、FM出力などは義務化されていない。

7.劇場のアクセシビリティは、東京都やいくつかの自治体の条例で定められているが不完全なものだ。
難聴者向け補聴設備は磁気ループか赤外線、FMシステムによるものとされて利用者は選べない。磁気ループが一部の席にしか設置されていないなどの制限がある。

8.宿泊施設や休息施設、レジャー施設、介護施設、医療施設、教育施設その他の施設に、情報アクセシビリティを義務付ける規定そのものがない。
火災や緊急時の警報をどのように

9.車両に情報アクセシビリティを義務付けるものがない。
路線バスに行き先を表示するものはあるがガイドライン、規格もないだろう。
バスの運転手席の背部がほとんどだが中央部、後部にないのはなぜ。
車内放送の磁気ループ出力がないのはなぜ。


10.聴覚障害者が運転中緊急自動車の接近や音声の情報を入手するためのガイドラインも法律もない。

11.緊急災害時に聴覚障害者だけでないが情報の提供の義務を定めたものはない。


ラビット 記
※写真は、ホテルの字幕のでない地デジリモコン

情報バリアフリーの到達点2011-09-17 19:13:14

2011年09月17日 19時13分14秒 | バリアフリー
情報バリアフリーの法改正の到達点は、最悪だ。
(アクセシビリティ=アクセス保障とする)
1.7月29日に成立し、8月5日に発効した改正障害者基本法に障害、社会的障壁の定義が加えられ、第22条には、障害を持つ人の情報の取得、利用、意志疎通のためあらゆる選択の機会と手段を講じる努力義務が事業者に課せられた。
しかし各分野や各方式ごとの実施に至る過程、ガイドラインはまだない。実施しない場合罰則などはない。

2.放送法は、放送通信の融合化の時代を迎えて、一部改正されたが、放送アクセシビリティの部分は論議さえ行われず何も変わっていない。
放送の音声、映像は字幕放送、解説放送の実施が義務付けられているが、実施目標はガイドラインしかない。
実施しない事業者に対する罰則もなく、手話放送の条項・規定も全くない。

3.DVDやBDなど記録系メディアのアクセシビリティの規格もない、義務化もされていない。

4.放送受信機のアクセシビリティは、情報通信機器や事務機、WEBなどのアクセシビリティがJIS化されているのに対し、何も規定されていない。
地デジの字幕放送は電波産業会ARIBの規格であって、法的には規定されていない。

5.情報通信サービスのアクセシビリティは、通信事業者に電話リレーサービスの実施を課す法律もない。統一規格や業界規格すらない。
音声が聞きにくい、音声を聞くことの出来ない者、ファックスを読んだり書いたり出来ない者、電話の受話器やキーボード入力が困難な者、発声の困難な障害者、ディスプレイの読めない者、文字の読めない、理解できない者、携帯電話等を所持出来ない者は21世紀にあっても、情報通信サービスの利用が出来ず、QOLが低いままだ。

6.映画の上映に、字幕、音声解説が義務付けられていない。映画の字幕版は上映期間と上映館が限定されている。
音響の磁気ループ出力、FM出力などは義務化されていない。

7.劇場のアクセシビリティは、東京都やいくつかの自治体の条例で定められているが不完全なものだ。
難聴者向け補聴設備は磁気ループか赤外線、FMシステムによるものとされて利用者は選べない。磁気ループが一部の席にしか設置されていないなどの制限がある。

8.宿泊施設や休息施設、レジャー施設、介護施設、医療施設、教育施設その他の施設に、情報アクセシビリティを義務付ける規定そのものがない。
火災や緊急時の警報をどのように

9.車両に情報アクセシビリティを義務付けるものがない。
路線バスに行き先を表示するものはあるがガイドライン、規格もないだろう。
バスの運転手席の背部がほとんどだが中央部、後部にないのはなぜ。
車内放送の磁気ループ出力がないのはなぜ。

10.聴覚障害者が運転中緊急自動車の接近や音声の情報を入手するためのガイドラインも法律もない。

11.緊急災害時に聴覚障害者だけでないが情報の提供の義務を定めたものはない。


ラビット 記

「要約筆記者の必要性と講座の狙い」

2011年09月17日 13時07分12秒 | 要約筆記事業
要約筆記指導者養成講座 講義の内容
「要約筆記者の必要性と講座の狙い」
1.講座の目的
  指導者の養成
  どういう指導者か
  指導者が求められる理解

2.要約筆記者養成事業の流れ

3.要約筆記者養成事業化までの動き

4.要約筆記者の学ぶ内容
1.要約筆記奉仕員と要約筆記者の違い
 ※要約筆記奉仕員事業と要約筆記者事業で説明
 ・社会福祉法の種別による違い
   ・社会福祉を目的とする事業
   ・社会福祉に関わる活動
 ・障害者自立支援法の地域生活支援事業の規定
  → 地域生活支援事業実施要項で確認
 ・要約筆記者の責任から説明
  → どんな専門性が求められるか。

2.難聴者の置かれた状況と難聴者の障害の理解
 ※難聴者の障害と難聴の障害の説明の違い
   聞き取りにくい、聞こえない障害を持つ
   → 二つの障害が複合的な様相を示す。
    「コミュニケーションの障害」と「関係性の障害」 
 関係性の障害を難聴者の性格として引っ込み思案、消極的、情緒不安定としてしまうと、性格の問題になるが、人や社会と関わりにくい障害と理解すれば医療ではなく社会的な支援が可能。
(続く)

ラビット 記 


要約筆記者指導者養成事業の目的

2011年09月17日 12時05分06秒 | 要約筆記事業
先週から始まった要約筆記指導者養成講座の目的は「指導者の養成」が目的だ。
各都道府県の要約筆記者養成が喫緊の課題だからだ。

なぜ喫緊か、地域生活支援事業で難聴者等の権利保障を担う要約筆記者が空白だからだ。
2006年の障害者自立支援法施行以来、要約筆記者が派遣されなければならないにも関わらず6年近く奉仕員で代行してきたのだ。
その空白を補うため要約筆記者養成・研修事業の通知が出されたのだ。
至急全国に要約筆記者の派遣体制を整えねばならない。

もう一つの理由は、改正障害者基本法第22条で意志疎通を仲介するものの養成・派遣事業が国と地方公共団体の義務化されたからだ。
7月29日に成立し、8月5日には発効しているので、即時効力がある。

国が派遣と養成事業実施の責任を課せられた「意思の仲介するもの」の必要な障害者は社会生活上大きな困難を抱えることとなり国の特別な支援が必要だからだ。
だから身体障害者福祉法に「意志疎通を仲介」するものに手話通訳事業が規定されて、社会福祉法に手話通訳事業が規定された。

聴力障害者情報文化センターによる同事業が国が直接事業費を負担する委託事業で実施されることにその重要さが現れている。

ラビット 記

要約筆記指導者は何を教えるか

2011年09月17日 09時14分07秒 | 要約筆記事業
新たに通知された要約筆記者養成研修事業で要約筆記事業がようやく形が整った。

要約筆記奉仕員は手話奉仕員、点訳奉仕員、朗読奉仕員など他の奉仕員と同様に地域生活支援事業のその他事業の社会参加促進事業に養成はあるが派遣はない。
しかし、地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業で要約筆記者が派遣されるべきところ、要約筆記者の代わりに要約筆記奉仕員が派遣されてきた。

要約筆記者はどういう役割を持ちどういうカリキュラムで養成するか示されておらず要約筆記者がいなかったからだ。

要約筆記事業は社会福祉法で手話通訳事業に準ずる形で社会福祉法に第二種事業に位置づけられた。
第二種事業に位置づけられたから、権利擁護の目的で活動する通訳なのか。
これは逆だろう。通訳行為は本来きちんと聴覚障害者の生活と権利を守るために対応されるべきものなのだ。
しかし、難聴者のコミュニケーションの要望、コミュニケーション支援のあり方、社会のコミュニケーションの実態などの理論的整理が遅れたために、要約筆記技術の体系化、難聴者支援の理論体系化が遅れたので、「者」事業にならなかったのだ。

いま、要約筆記事業を語るとき、法定化されたから要約筆記者は権利擁護の役割を担うという説明は、しっかり障害の性格や難聴者のおかれた状態から理解されるようにしたい。

ラビット 記
※大阪の行列のできるチーズケーキ屋さん。