難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

聴覚医学会学術講演会が名古屋で開催。

2007年09月21日 18時25分53秒 | 人工内耳
070915_1043~001.jpg070921_0834~001.jpg第52回日本聴覚医学会総会・学術講演会が来月初めの10月4日(木)・5日(金)に名古屋で開かれる。

聴覚医学会は、昭和26年難聴研究会として発足し、昭和31年にオージオロジー学会となって、活動していた。

研究の対象は「聴覚に関する構造(解剖・組織)と機能(生理)、難聴の病理と病態生理、難聴の予防と聴覚保護、難聴疾患の診断と治療および障害の解明、聴覚障害に対するリハビリテーション手段の開発と効果の評価、聴覚障害による社会的不利の解明と福祉への貢献まで」と幅広い(理事長小寺一興先生)。
http://www.audiology-japan.jp/gaiyou/aisatsu.html

今年は、人工内耳に関する演題が豊富だ。
http://plaza.umin.ac.jp/cjas52/program/index.html

その一例
141. 人工内耳症例の聴取能とQOLについての検討
鶴岡弘美, 臼井智子, 増田佐和子, 坂井田寛, 竹内万彦, 間島雄一, 服部

142. 小児人工内耳症例における術後5年以降の状況
西山信宏, 河野 淳, 萩原 晃, 小野智子, 片岡智子, 鈴木 衞
143. 人工内耳装用者の客観的評価と主観的評価
堀切一葉, 賀数康弘, 野口敦子, 松本 希, 岩一貴, 君付 隆, 小宗静

144. 人工内耳装用者における感度と聞き取りとの関係
賀数康弘, 野口敦子, 堀切一葉, 君付 隆, 小宗静男

発表者の中に、難聴者自身がいらっしゃるのかは分からないが、当事者もこうした研究に積極的に関わっても良いと思われる。

難聴対策のグランドデザイン作成には、こうした人々の連携が必要になる。

ラビット 記



介護への取り組みと難聴の取り組み

2007年09月21日 08時42分05秒 | 生活
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9月17日、NHKアーカイブスで介護問題に取り組む小村の高齢者による劇団の活動を見た。

何年間もの親の介護と格闘した人たち自身も高齢者だが、町の中に親の介護は個人で抱えこむのではなく、地域で支え合うことを訴えるために介護の実態を訴える劇を演じているのだ。

この活動で地域に介護老人の「老託所」を設置し、行政の補助も引き出している。夜から朝までの泊まりの預かりも試みている話だった。

介護問題の真摯な取り組みに胸を打たれたが、難聴問題はまだ点や線の活動でしかない。その線も交わることなく、ばらばらだ。


070917_0024~001.jpg070917_0025~002.jpg難聴問題を介護問題のように国あげてのプロジェクトにするにはどうしたらよいか。何しろ、高齢化とともに1千万人以上に増大している難聴問題に社会の対策が遅れている。さらに、音楽プレーヤーで聞く若い人たちが30代、40代となって社会で一番活動する時期に難聴になっていく。

難聴問対策のグランドデザインがまず必要だ。難聴に関わる問題がどのように広がり、どこで何が取り組まれているのか、横断的に調査することから始める必要がある。
沖縄県のように、耳鼻科医師がNPO法人を立ち上げ、行政と連携して、聞こえの相談会を行なって数千人の組織に発展させたところもあるが、国の施策としては、高齢者施策、障害者施策、教育行政、就労とみな分かれたままでいる。

ラビット 記



アンネット一恵のコンサート 難聴者の音楽

2007年09月20日 09時01分30秒 | 生活
070919_2050~001.jpg昨日は仕事が早く終わったので、つれあいに薦められたコンサートに行って来た。

結論から言えば、良い音楽というか音響体験をした。
補聴器だけのコンサートの最後の体験かも知れない。

会場は白寿生科学研究所という会社のビルの7階にある反響の良いホール。

コンサートというのはみな着飾って来てるらしい。こっちはワイシャツにノーネクタイで通したが年輩の人が多い。

アンネット・一恵・ストゥルナートという人は知らなかったが、声域はアルト。
普通だと声の通る人だろう。しかしこの日のホールは反響が良い上に、ピアノの伴奏に彼女の声の音域も声質もかぶって隠れてしまう。
歌詞はほとんど聞き取れなかったが、ピアノは鍵盤が見えるように聞こえて驚いた。

途中トークもあったが、これは声が反響して全く聞き取れなかった。

070919_2051~001.jpg石川啄木の「初恋」、野口雨情の「信田の藪」など日本の詩歌、童謡など10曲あまり歌った。聴衆は1曲ごとに拍手で応えているが、こちらは歌も分からず腕を組んでいた。幼児期は家に電蓄があって「かわいいさかなやさん」、「おさるのかごや」を覚えているくらいだ。

アンコールに応えて歌ったのが「千の風になって」で最近良く聞いているから歌詞は分かる。それでも聞き取れたのが半分位だったが、初めて拍手した。
それまでこの音に溢れた空間をどう受けとめるのか考えて、腕を組んでいたのだ。

歌詞が分からなければ歌よりは曲を聞いた方がいいかも知れないとか無伴奏の独唱を聴くのが良いかもとか。ピアノかバイオリンか、チェロが良いのか。

難聴者の音楽は聞こえたものが自分の世界。自分だけの世界。

ラビット 記
http://www.amagle.com/browse/B000RY42NK/




「聴覚障害者のための字幕付与技術」をどう使うか

2007年09月19日 13時11分48秒 | 要約筆記事業

070915_1410~001.jpg9月14日、京都大学学術情報メディアセンターで「聴覚障害者のための字幕付与技術」シンポジウムが開かれた。
http://www.media.kyoto-u.ac.jp/activity/info/event/2007/08/post_7.php

高速に音声を文字化する技術として、パソコン要約筆記、電子速記タイプの一つの「はやとくん」、音声認識技術の「Julius」(ジュリウス)が紹介された。

話された言葉がその場で文字になることは聴覚障害者の長い間の夢であったが、テレビ放送のニュースなどでは実用化され、その他にも会議や講演などでも活用されている。筑波技術大学でも聴覚障害学生のために、スピードワープロによる字幕が遠隔入力で提供されている。

こうした高速入力技術は、音声をリアルタイムに文字に変えて提示するもので、シンポジウムのタイトルにあるとおり「字幕付与」技術だ。


問題は、話された言葉が文字になったものを聴覚障害者がどのように受け止めるかだ。
シンポジウムの呼びかけ文にも「それらの方法が字幕を見る人たちにどのように目に映り、どのような期待を寄せて発展していくべきかをともに考え」たいとある。

パソコン要約筆記は、字幕付与技術の中に並べられているが、目的も技術も異なるものだ。聴覚障害者がこのことを理解して利用しなければ、間違った方向に発展しかねない。


ラビット 記
写真は、はやとくんの表示。約23文字×14行。

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「聴覚障害者のための字幕付与技術」シンポジウム
 現代社会では言葉によるコミュニケーションがとても大切ですが、とりわけ言葉を聞く上で障害を持つ人たちに、話し手の言葉を適切に伝えることが非常に重要です。
 本シンポジウムでは、パソコンを用いて入力し即座に文字をスクリーンへ映し出していくパソコン要約筆記、速記タイプを電子化したはやとくんを用いる字幕付与技術、国会での実用開発が始まる音声認識技術を字幕へ応用する研究、現在から未来につながる技術を総覧します。
 用途はテレビ放送、授業のノートテーク、会議中継やインターネットなどにおける字幕のストリーミングといった広範囲にわたります。ICT時代が進むにつれ、社会的に話し言葉のアクセシビリティを保障する必要性がますます高まる中で、各分野の第一人者を結集して、コンピューター技術をベースにした話し言葉の高速文字化技術について全体を展望する機会を企画しました。それらの方法が字幕を見る人たちにどのように目に映り、どのような期待を寄せて発展していくべきかをともに考える機会としたいと思います。


難聴者の音声コミュニケーションの理解

2007年09月18日 08時36分06秒 | 要約筆記事業
070915_1340~001.jpg難聴者は発声が出来るのでコミュニケーションは音声による。
思考も音声の日本語で行われている。

ろう者は手話で会話しているように、難聴者の会話は音声日本語だ。

難聴者が聞こえない時に、文字によるコミュニケーションを求めるのは自然だが、話した言葉のままの文字表記で意味が理解出来るかは良く考える必要がある。

音声には様々な形の情報が含まれておりいるので文字表記だけではそれらが漏れてしまう。

もちろん、音声コミュニケーションが発生する現場は様々だ。
仲間とのおしゃべりから会議、講演、学術的な講義。バラエティショー、演劇、放送。

場面によっては文字表記(キャプション)で良い場合がある。
これらに、当事者がどのような立場でいるかでも聞き方が違う。
つまりその場に主体的に関わっているか否かで、求める表記も変わるのだ。

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司会のような立場なら即答しなければならないので、即時的に意味理解しやすい文章を求める。それは話された言葉の意味がパッと伝わるものだ

話された言葉の文字表記を読む時間的な余裕があれば(文字表示の時間が長ければ)、理解が出来る。
しかし、話し言葉が文字になっていても、本を読むように斜め読みは出来ない。

昨日、ある難聴者がまさにこのことについて書いているのを読んだ。要約筆記を読んでいる時は頭が音声日本語モードになっているからではないかというものだ。


ラビット 記



インターネットストリーミング 聴覚障害者のアクセスの保障

2007年09月18日 06時28分39秒 | バリアフリー
海外のろう者のブログに、インターネットのビデオクリップ(動画ストリーミング)には、字幕付きで見られるようにすべきだという提案があった。
http://jarednevans.typepad.com/blog/2006/05/my_first_video_.html

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070918_0622~001.jpgこれは、もっともなことだ。提供者が字幕付きのものも用意することで、著作権処理は簡単になる。
用意できなければ、著作権の制限をすべきだ。
つまり、原画に字幕、手話、解説音声以外のものを加えなければその再公衆自働送信に著作権者の許諾を不要とするということだ。
同じように、放送コンテンツも考えられる。

ラビット 記






地上デジタル放送の手話放送の技術的問題への対応(NHK)

2007年09月18日 01時27分57秒 | バリアフリー
070715_1908~001.jpg070716_1900~003.jpg地上デジタル放送の手話放送が技術的な問題を抱えていることに付いては、
「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送に関する研究会(第3回)」のNHKの配布資料には以下のように記述されている。
http://203.140.31.100/joho_tsusin/policyreports/chousa/digi_hoso_sikakusyogai/pdf/061211_2p_3_3.pdf

なお、NHKでは、一般の番組に手話を付与したものを手話放送、聴覚障害者向けの手話ニュースのような手話番組と言っている。

これによると、手話放送を拡充するためには、地上デジタル放送においてチャンネルをもう一つ設けて、受信機側で合成するか、インターネットによる同時受信による方式が考えられている。
前者は、CS障害者放送統一機構がCS通信のPIP(ピクチャーインピクチャー)方式で実現している。
http://barrierfree.nict.go.jp/serial/no3/index.html
後者は、ノルウェイの放送局が実施している(「第3回聴覚障害者のための国際放送バリアフリーシンポジウムin Kyoto」報告書P12)。


ラビット 記
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視聴覚障害者向け放送の拡充にあたっての検討課題
2006年12月11日
NHK
基本的な考え方
NHKは、「平成19年度までに字幕付与可能な番組について100%字幕を付与する」との「行政の指針」(平成9年郵政省策定)について、期限より1年早く、平成18年度に達成する見込みである。また、「行政の指針」の対象となっていないニュースをはじめとする生放送番組の字幕付与にも積極的に取り組み、現在、朝から夜までの主要なニュースや、大相撲ほかのスポーツ中継などで、生字幕放送を実施している。
テレビに字幕機能が標準装備されるデジタル放送時代を迎え、聴覚障害者も情報格差なく放送を楽しめるように、引き続き、生字幕放送においても一層の拡充を図っていく。
解説放送や手話放送については、字幕放送にくらべ技術面での制約もあり、現在、段階的に拡充を行っているところである。今後、新しいデジタル技術の研究開発の成果も取り入れながら、より充実したサービスの実現を目指す。
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(3)クローズトサイニング(クローズト手話)その他、新技術への期待
・ スイッチをオンにしたときのみ手話が表示されるしくみ。
手話のために別チャンネルを用意し、利用者の側で通常の番組と合成するしくみが実現すれば、一般番組に広く手話を付けることが技術的には可能になる。
・ 放送と通信の融合(インターネット回線で手話サービス)。
・ 字幕放送の文字データを利用したアニメ手話。





地上デジタル放送の難視聴者

2007年09月17日 18時43分34秒 | PHSから
070716_0715~001.jpg070830_1658~003.jpg地上デジタル放送の難視聴世帯がアナログ時代より増えるということはデジタル化の意味を疑わせる。

難視聴者対策にこれだけ力を入れるならば、手話放送を見なければならない聴覚障害者の対応を真剣に考えなければいけない。

我が国の地上デジタル放送の規格ではクローズドサイニング(手話の字幕放送にあたる必要な時に映せるオンデマンド手話放送)は実施出来ないからだ。

総務省や放送事業者はこのことを知っているが、対策を打ち出せずに黙ってしまっている。
国策である地上デジタル放送が、「欠陥」を持っているとはいまさら言えない。

地上デジタルテレビは千万台も販売され今から規格を変えらるない。
ならば、手話放送をインターネットやCS通信、他の公衆送信の別のチャンネルで伝える機能を持たせた地上デジタル放送チューナーを配布するしかない。

著作権法も手話、字幕、解説音声をつけて音声と映像の再送信する限りにおいて、著作権者の権利を制限する。

新通信法も放送と同時に再送信出来るようにする。
放送した録画通信による字幕が同期して見られる機器を開発する。

難視聴世帯対策同様に対策をする必要がある。


ラビット 記
・・・・・・・・・・・・
地上デジタル放送、視聴困難は10年末で最大60万世帯
読売新聞

総務省は13日、地上デジタル放送が受信しにくい世帯数を市町村別に公表した。
2011年7月の完全デジタル化前の10年末時点で、地理的な要因などから全国で最大60万世帯が視聴困難となる見通しで、現行のアナログ放送の10万世帯と比べ、難視聴世帯数が拡大する ...
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070913it12.htm?from=navr





要約筆記者の団体派遣を認めない自治体の増加

2007年09月17日 11時14分12秒 | 要約筆記事業
070831_0838~001.jpg070814_0837~002.jpg要約筆記者の団体派遣を認めない自治体が増加している。

これまで障害者社会参加促進事業で実施して来た要約筆記奉仕員派遣事業は、個人の派遣はもとより、団体を対象にした派遣も行われていた。
しかし、コミュニケーション支援事業に移行した要約筆記者派遣事業は個人の自立を促進するのが障害者自立支援法の趣旨だとして、団体派遣を「検討する」自治体が増えている。

障害者自立支援法は、障害者の自立を地域で障害者のニーズに沿って様々な形で支援するのが趣旨であり、どこにも団体での活動を支援しないとは記されていない。
また特定の団体を支援するのは法の趣旨に馴染まないという自治体もあるが、支援法と実施要項には団体を支援するなとも書いていない。

むしろ、中途失聴・難聴者は成長の過程、人生の途中で聴力を失った人々なので、社会的には孤立しており、障害者がその自立のためにいろいろな団体を結成して、障害を乗り越えて社会参加しようとするのは当然のことだ。
だから、集団での情報保障を求めて要約筆記が誕生し、発展して来たのだ。
障害者の社会参加は自覚的な団体の活動によって推進されてきた。


障害者自立支援法で、コミュニケーション支援事業が市町村の必須事業となり、要約筆記奉仕員派遣事業がなくなって要約筆記者派遣事業となったことは、要約筆記者の派遣をコミュニケーションの保障を受ける権利として位置づけられたことを意味している。

この当たり前のことを自治体の担当者の無理解のために奪われないようにしっかりと訴える必要がある。


ラビット 記




就労する高齢者対策が急務!

2007年09月16日 22時52分43秒 | 生活
070916_1918~002.jpg総務省の発表によれば、高齢者人口は2744万人を越え、総人口の22%に達した。
そのうち、就労している高齢者は510万に上る。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070916it11.htm

2003年の高齢者人口は2431万人だったので、4年間で300万人も増加している。2003年時の予測では2010年に2874万人だったが、それを上回るハイペースだ。
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi240.htm

高齢者が急増していることは難聴者も増加していることだと社会的にも関心を呼んでいる。
9/1のNHKエデュケーショナルの「超高齢化社会と難聴」シンポジウムなど(日曜18時からの「日曜フォーラム」で放送されるがおそらく9/23か9/30だろう)。

070916_1918~003.jpg就労している高齢者が多いのは、農林業だが後継者がいないという産業構造の反映だ。それ以外にも、各分野に就労している高齢者が多いことが明らかになった。
卸売・小売業が17.7%、サービス業が15.6%、製造業が12.3%が高齢者が就労している割合だ。

就労しているということは、業態を問わずそれだけ社会との接点も多いということだが、難聴のために苦労していることが予想される。
高齢者が皆一人暮らしで在宅しているという訳ではない。

難聴者の就労支援は若年、壮年を考えていたが、高齢者の就労支援も考えないといけない。


ラビット 記



聴覚機能と人工内耳の理解によるコミュニケーションの権利への止揚

2007年09月16日 17時10分49秒 | 人工内耳

070828_0837~002つゆくさ.jpg人工内耳をするか、補聴器をするかの選択には、聴覚機能の理解が欠かせない。
つまり、なぜ難聴なのかを理解しなければ、選択しようがない。

感音性難聴であることは語音聴取検査によりわかったが、この難聴はより良い性能の補聴器で解決するのか、人工内耳の方が補聴器の限界を超えることが出来るのかを考える必要ある。

NHKの放送技研R&Dの臨時増刊号( No.50 1998年 4月 臨時増刊)に「人に優しい放送を目指して」シンポジウム(1997年)の特集が組まれていた。
聴覚機能について、日本の人工内耳の草分けの舩坂教授が報告をしている。
http://www.nhk.or.jp/strl/publica/rd/rd50-j.html

感音性難聴が外有毛細胞の減少、消滅などによるものだとすれば、騒音を抑制したり、指向性を持たせたりしても補聴器による聴取には限界があることになる。
人工内耳でも、入力される音の処理は出来る。問題は聴神経にどう伝えるかではないか。

ここまでは考えていたが、脳幹と大脳の機能はどうなのかまでは考えていなかった。老化が始まっているとすれば、どうやって防げるのか。


070916_1227~001.jpg知的関心を大いに高める必要があるのか。


補聴器と人工内耳は機能には大きな違いがあるが、感覚補償器として差がない。
一部の医師のように、聞こえることが良いという単純な価値観は持たない。
人工内耳は、ろうであること、ろう者を否定するものではない。あらゆる障害者のコミュニケーションの権利の一つとして、共存、協働できるものだ。新しい理解に止揚すべきだろう。

ラビット 記
写真は、ツユクサとナス
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「高齢者の聴覚機能」
東京医科大学 名誉教授  舩坂 宗太郎
要約
 高齢者の聴覚機能の衰えは、主として蝸牛ならびに大脳をも含めた聴覚中枢神経路の退化・変化による。蝸牛は、外有毛細胞の音刺激による伸縮によって、きわめて精密な周波数分解能をもち、また複合音にはフーリエ分析を行っている器官である。脳幹の聴覚中枢路は、音声のコーデイング、大脳ではデコーディングを行い、音声言語の意味を理解する。

 したがって老人難聴では、蝸牛の障害により「小声が聞こえない」「聞き分け能力の低下」、聴覚中枢路の障害によりコーディング・デコーディングが円滑になされず「早口が分からない」「意味の聞き取り能力の低下」が生じる。ただし、個人差が大で、日常生活での積極性は知的興味や社会的地位との相関が強い。



えっ、部長も難聴?!

2007年09月15日 11時21分16秒 | 生活
070909_1716~001.jpg長時間の会議で空腹になり、終了後、皆で食事に行ったら、隣に座った自分の部長が私の言うことが聞こえた?と聞いて来た。

「実は低音が聞こえないんだ、去年の健康診断で聴力検査の結果で低音の聞こえが補聴器を使用するレベルぎりぎりと言われたので、会議では私に聞こえるように意識して高い声で話したんだ」と。

いや、高齢者は普通高音の方が聞こえないとか、要約筆記者はどのように書くのかなどひとしきり説明した。

部長やメンバーには、一応会議前に要約筆記者が来ることを説明しておいたが、いつもと違う場所で会議を開いたし、他県のメンバーは、私が要約筆記で会議に参加しているのを初めてみた人ばかりだった。

これで、私のこととか難聴について、少しは理解が広まったのではないか。

仕事の手抜きは出来ない。


ラビット 記




会社の要約筆記(有償派遣)は難聴者の就労に不可欠

2007年09月15日 08時26分26秒 | 要約筆記事業
070914_1907~002.jpg昨日は本社で、会社の戦略に関わる会議があった。
要約筆記者は13時半から17時まで派遣を依頼していた。
予定が30分延長になって、要約筆記者には帰ってもらったが結局20時まで6時間を越える会議となった。

6時間のうち、要約筆記者がいたのは3時間半。
これだけ長い会社の会議に要約筆記が付いたのは初めてだった。
今までは、補聴器とワイヤレスマイクや指向性マイクを使って耳を済ませて聞いていたが疲労するばかりで結局何も分からなかった。
何も分からずにただそこにいるだけなので睡魔が襲うのも当然だ。

会議前に、会社の機構や沿革も説明し、資料を渡して、説明。どういう内容の会議かを理解してもらう。どういうことを自分が発言しようと思っているか理解してもらうために、会議で配布していないメモも見てもらった。

070914_1907~001.jpg会議では、配布された資料が多かったが幸い記号と番号があり、要約筆記者も確認しやすかった。
プロジェクト会議は、資料はあるものの各部署の意見を聴取するのが目的なので、何が話されているかを見極めないと自分の意見を出しにくい。
このプロジェクトは、全社的に巨視的に問題を把握することが鍵だが、みな自分の部署の細かい部分の問題を指摘する。ノートテイクに書かれたものを見ながら自分の話そうとしていることを整理しておく。

基本戦略に関わる問題を各事業所の選抜メンバーによるプロジェクトの会議だったが、以前だったら、こうした会議のメンバーに選ばれても、会議の内容が分かるかとどうしようと不安になった。
今回は自分の担当職務で意見も提案も会議の内容に合わせて出来たので、眠くはならずに充実した会議だった。


要約筆記者が帰った後は補聴器に頼ったが両耳に補聴器をしても限界がある。ホワイトボードにかかれたものを見ながら意見を挟むしかない。ホワイトボードを使う時はボードを見ながら話したりするので口を読むのも難しい。

ラビット 記
 



安倍退陣?!聴覚障害者はまたも政治的棄民か?

2007年09月13日 10時14分41秒 | 権利
070912_2330~001.jpg070912_2330~002.jpg安倍総理が政権を放り出した。参議院選挙であれだけ明確な民意が示されたのに続投し、アメリカから継続を求められたテロ特措法を継続させるために、辞任するとは誰のために政治を行ってきたのか一目瞭然だ。

しかし、こうした政治の激変時にまたしても聴覚障害者は見捨てられた。
テレビのニュース番組は一様に深夜まで放送時間を延長していたが、字幕放送はない。

各局の生放送の字幕制作が特別な入力方式によって行われているために、入力者の養成が間に合わないためだ。

音声をそのまま字幕にする方式は音声認識技術やスピードワープロ、はやとくんの速記方式があるが元々が後で読むための記録のための技術だ。

その場の情報保障としては、限界があるがここではそれ以上は言わない。


しかし、聴覚障害者が政治的報道に接することが出来ないのは、参政権に関わる問題だ。
重要な報道だからこそテレビ局は特番を組んで放送している。数百万人単位でその報道に接することが出来ない意味を放送事業者は考えるべきだ。

新しい視聴覚障害者向け番組の普及行政の指針は生放送も対象になることが示されている。
あれこれ理由があるならば、それを示しどのように解決すべきか当事者団体、関係機関と協議すべきではないのか。


ラビット 記



難聴者の聞こえ 騒音下の聞こえ

2007年09月12日 13時13分22秒 | 生活
070911_1907~001.jpg070911_2042~001.jpg難聴者は、騒音下の会話は難しい。

職場交流の一環のレクリエーションでボーリングに参加した。

54レーンあるボーリング場はボールの落ちる音、ピンの倒れる音、歓声でいっぱいだ。
耳にそれらが突き刺さる。

こうしたところではみな表情や手振りを交えて、会話を補っている。

「あっ、惜しい」、「やった!」、「もうちょっと左」、「えへへ」、「すごい!やったね」


終了後の表彰会はちょっと狭い部屋に数十人が入って、賞が発表される度に歓声があがるがもちろん聞き取れない。


出されたものをぱくついていたら、皆がこちらを見る。ちょうど第20位賞で名前を呼ばれて分からなかったのだ。


この日は、社内でも聞き違いがあって、コミュニケーションの断絶の一日だった。
それでボールがいつもより重く感じたので、アベ130にとどまったとしておこう。


ラビット 記