HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

ハノンの使い方

2017年03月26日 | 音符・楽譜・テクニック
Tさん(大人):
「もう一度これを」練習したいと思って...」と出したのは「ハノン」です。
「ドレミファソラシド?」と聞いてみたら図星でした。
「音階」は、ハノンの39番に入っています。
調合がひとつもないハ長調から始まって、♭や♯がだんだん増えながら(♭、♯それぞれ6個まで)、全部で39種類の音階練習がズラズラ並んでいます。
ページ数にして12ページ。
これ全部やって、ようやく「39番」にちょこんとマル、なんて、そりゃないぜ~(涙)
と、子どものころハノンをやらされていた私は、いつもそう思っていました。

「ハノン」...ポイントを押さえて上手に使えば、なかなか効果のある教材なのですが、ただ単に「バイエルが済んだから、これ弾いてらっしゃい」と与えられただけの小学生には、その効果もわかりませんでした。
「良薬、口に苦し」と言いますが、せっかくの良薬も 小学生のヒバリにはただただ苦いばっかりで 効き目が薄かったのかも、と 今になって思うんです。

ハノンの中の、特に 今日Tさんが示した39番の「音階」は非常に重要で、ピアノを弾く人にとって永遠の課題です。
たまたま初めて39番を習ったのが小学生時代だったとしても、それで終わるわけではありません。
ハノンを最後まで終えても、中級クラス、上級クラスになっても、音大生になっても、プロになっても、ずーっと「音階練習」はくり返していくのです。
音階って、ただ単に ド、レ、ミ、ファ、ソ・・・と隣の音を弾いていくだけなんですが、実際に弾くのは簡単ではありません。
テクニック的には山あり谷あり。
まずはドレミファソラシド、と1オクターブ弾くだけでも、5本しかない指で8個の音を均一に弾くんですからね。
工夫やワザも必要ってもんです。
弾くのを2オクターブに増やせば、鍵盤を弾くエリアが2倍になって、手の条件も変わってきます。
ちなみに「ハノン」のテキストでの「音階課題」は4オクターブ弾くことになっています。
けっこうピアノの端から端まで使うので、その長い道のり(?)の間、指の形、指替え、手のフォーム、手首の柔軟さ、腕の動き、上半身の姿勢と重心の移動、床に置いた足の踏ん張り、などなど 全身くまなく気を配って、音の1つ1つ、きれいに揃った真珠のように粒をそろえ、一連の真珠のネックレスのような音階を弾くのは至難の業です。
しかもそれを両手で弾くのですから、難しさも倍増、いや2乗になるといっていいでしょう。
「音階練習」の中には、実際の曲を弾く上で必要なテクニックやメカニック、あらゆる要素が入っているので、これを練習することによって、かなりのピアニズムが身についてきます。
また、39番以降には、アルペジオ、オクターブ、3度の音程、同音連打、トリルやトレモロ、など、さまざまなテクニックにポイントをしぼった練習曲があるので、実際にそういったテクが使われている「ソナタ」などの曲を弾くときは、「ハノン」の中から選んで それなりのテクを合わせて練習すれば、効率の良い練習ができますね。
自分でポイントを意識して練習するのとそうでないのとでは、その効果にも大きな開きが出てくるはずです。

ハノンの使い方、もうひとつ。
ストレスがたまってる時とか、なーんかムシャクシャするときとか、何する元気も出ない・・・なんていうとき、「ハノン」を弾いてごらんなさい。
それには、 逆に「ポイントをしぼらない曲」がいいです。
前半の、1番から30番くらいのページをパッと開いて、次々と弾いていくのです。
「音階」などと違って、ただただ同じ指使い、同じ音型の曲を、何も考えず、頭も心も無にしてひたすら弾き続ければ、心地よい運動疲労と反比例して、いつしか疲れた頭も疲れた心も スッキリと浄化され、リフレッシュした自分を見出すことができるでしょう。
これは、「ムシャクシャしたらひたすら掃除する」とか「家じゅうの鍋をみがく」などという「主婦の知恵」にも似た、高い効果を得られるワザです。
ぜひお試しください。

題名のない音楽会・五嶋龍さん お疲れさまでした♪

2017年03月26日 | レッスン日記(小中高生)
本日の「題名のない音楽会」は、五嶋龍さんの司会 最終回でした。

一昨年の秋、5代目司会者に就任された最初から、いろんな意味で「若さ」を感じる司会者・五嶋さんでした。
なにしろ大御所ともいえる佐渡裕さんの後任、また佐渡さんは7年半もの間 司会を務められていたので、その後を引き継ぐというのは大変なことだったと思います。
27歳という年齢はもちろんのこと、そのほかにも音楽家としての経験値・話術・器の大きさ・世界の広さ・など どれをとっても佐渡さんとは比べるべくもない中、本当によくがんばってくれたと思います。
最初の頃は「だいじょうぶかなあ・・・」と不安になったりもしましたが、1カ月、2カ月と回を重ねるうちに、五嶋さんの若い感性が、年長者とはまた違った新鮮な空気を広げてくれるのを感じ、また、飾らない人柄にも親しみを持てました。
それに、若いといっても、就任当時27歳、現在28歳という年齢の五嶋さんですが、同年代の青年たちを思い浮かべると、五嶋さん、むしろとても大人ですよね...
1年半という短い期間でしたが、司会者・五嶋龍さんの時代は「題名のない音楽会」の歴史の中、大変ユニークで貴重な軌跡であると思います。

本日のテーマは「五嶋龍 原点回帰の音楽会」。
五嶋さんは7歳でデビュー。弾いたのは「ヴァイオリン協奏曲第1番(パガニーニ)」です。
デビュー演奏のようすがVTRで映し出されました。
指揮者は佐渡裕さん。
フルオーケストラをバックにし、大柄な指揮者・佐野さんと並んで立つ、7歳のちっちゃなソリスト・五嶋龍くん(「さん」じゃなく「くん」・・・いや、「五嶋龍ちゃん」と言った方がいいような )。
この小さい男の子が、この指揮者の人の後任として、司会やったんだなあ・・・と思うと、感慨深いものがあります。

今日、「題名のない音楽会」最終回に、五嶋さんは再びその時の曲を演奏しました。
弾いている姿は、心から音楽に魂を捧げてる、といった表情で、まさに「演奏家」でした。
これまで、番組ではいつも「聞き役」「脇役」に徹し、本格的な演奏をされることはほとんどありませんでしたが、これからは本来の「演奏家」「ソリスト」の顔に戻り、世界を舞台にご活躍されますよう、お祈りしています。
番組の中でたくさん参加された、クラシック以外の曲...ジャズやラテンや民族音楽、またその演奏家の皆さんとのセッションも、これからの彼に大きな幅をもたらしていることと思います。

より大きな「五嶋龍」に期待!