Tさん(大人):
「もう一度これを」練習したいと思って...」と出したのは「ハノン」です。
「ドレミファソラシド?」と聞いてみたら図星でした。
「音階」は、ハノンの39番に入っています。
調合がひとつもないハ長調から始まって、♭や♯がだんだん増えながら(♭、♯それぞれ6個まで)、全部で39種類の音階練習がズラズラ並んでいます。
ページ数にして12ページ。
これ全部やって、ようやく「39番」にちょこんとマル、なんて、そりゃないぜ~(涙)
と、子どものころハノンをやらされていた私は、いつもそう思っていました。
「ハノン」...ポイントを押さえて上手に使えば、なかなか効果のある教材なのですが、ただ単に「バイエルが済んだから、これ弾いてらっしゃい」と与えられただけの小学生には、その効果もわかりませんでした。
「良薬、口に苦し」と言いますが、せっかくの良薬も 小学生のヒバリにはただただ苦いばっかりで 効き目が薄かったのかも、と 今になって思うんです。
ハノンの中の、特に 今日Tさんが示した39番の「音階」は非常に重要で、ピアノを弾く人にとって永遠の課題です。
たまたま初めて39番を習ったのが小学生時代だったとしても、それで終わるわけではありません。
ハノンを最後まで終えても、中級クラス、上級クラスになっても、音大生になっても、プロになっても、ずーっと「音階練習」はくり返していくのです。
音階って、ただ単に ド、レ、ミ、ファ、ソ・・・と隣の音を弾いていくだけなんですが、実際に弾くのは簡単ではありません。
テクニック的には山あり谷あり。
まずはドレミファソラシド、と1オクターブ弾くだけでも、5本しかない指で8個の音を均一に弾くんですからね。
工夫やワザも必要ってもんです。
弾くのを2オクターブに増やせば、鍵盤を弾くエリアが2倍になって、手の条件も変わってきます。
ちなみに「ハノン」のテキストでの「音階課題」は4オクターブ弾くことになっています。
けっこうピアノの端から端まで使うので、その長い道のり(?)の間、指の形、指替え、手のフォーム、手首の柔軟さ、腕の動き、上半身の姿勢と重心の移動、床に置いた足の踏ん張り、などなど 全身くまなく気を配って、音の1つ1つ、きれいに揃った真珠のように粒をそろえ、一連の真珠のネックレスのような音階を弾くのは至難の業です。
しかもそれを両手で弾くのですから、難しさも倍増、いや2乗になるといっていいでしょう。
「音階練習」の中には、実際の曲を弾く上で必要なテクニックやメカニック、あらゆる要素が入っているので、これを練習することによって、かなりのピアニズムが身についてきます。
また、39番以降には、アルペジオ、オクターブ、3度の音程、同音連打、トリルやトレモロ、など、さまざまなテクニックにポイントをしぼった練習曲があるので、実際にそういったテクが使われている「ソナタ」などの曲を弾くときは、「ハノン」の中から選んで それなりのテクを合わせて練習すれば、効率の良い練習ができますね。
自分でポイントを意識して練習するのとそうでないのとでは、その効果にも大きな開きが出てくるはずです。
ハノンの使い方、もうひとつ。
ストレスがたまってる時とか、なーんかムシャクシャするときとか、何する元気も出ない・・・なんていうとき、「ハノン」を弾いてごらんなさい。
それには、 逆に「ポイントをしぼらない曲」がいいです。
前半の、1番から30番くらいのページをパッと開いて、次々と弾いていくのです。
「音階」などと違って、ただただ同じ指使い、同じ音型の曲を、何も考えず、頭も心も無にしてひたすら弾き続ければ、心地よい運動疲労と反比例して、いつしか疲れた頭も疲れた心も スッキリと浄化され、リフレッシュした自分を見出すことができるでしょう。
これは、「ムシャクシャしたらひたすら掃除する」とか「家じゅうの鍋をみがく」などという「主婦の知恵」にも似た、高い効果を得られるワザです。
ぜひお試しください。
「もう一度これを」練習したいと思って...」と出したのは「ハノン」です。
「ドレミファソラシド?」と聞いてみたら図星でした。
「音階」は、ハノンの39番に入っています。
調合がひとつもないハ長調から始まって、♭や♯がだんだん増えながら(♭、♯それぞれ6個まで)、全部で39種類の音階練習がズラズラ並んでいます。
ページ数にして12ページ。
これ全部やって、ようやく「39番」にちょこんとマル、なんて、そりゃないぜ~(涙)
と、子どものころハノンをやらされていた私は、いつもそう思っていました。
「ハノン」...ポイントを押さえて上手に使えば、なかなか効果のある教材なのですが、ただ単に「バイエルが済んだから、これ弾いてらっしゃい」と与えられただけの小学生には、その効果もわかりませんでした。
「良薬、口に苦し」と言いますが、せっかくの良薬も 小学生のヒバリにはただただ苦いばっかりで 効き目が薄かったのかも、と 今になって思うんです。
ハノンの中の、特に 今日Tさんが示した39番の「音階」は非常に重要で、ピアノを弾く人にとって永遠の課題です。
たまたま初めて39番を習ったのが小学生時代だったとしても、それで終わるわけではありません。
ハノンを最後まで終えても、中級クラス、上級クラスになっても、音大生になっても、プロになっても、ずーっと「音階練習」はくり返していくのです。
音階って、ただ単に ド、レ、ミ、ファ、ソ・・・と隣の音を弾いていくだけなんですが、実際に弾くのは簡単ではありません。
テクニック的には山あり谷あり。
まずはドレミファソラシド、と1オクターブ弾くだけでも、5本しかない指で8個の音を均一に弾くんですからね。
工夫やワザも必要ってもんです。
弾くのを2オクターブに増やせば、鍵盤を弾くエリアが2倍になって、手の条件も変わってきます。
ちなみに「ハノン」のテキストでの「音階課題」は4オクターブ弾くことになっています。
けっこうピアノの端から端まで使うので、その長い道のり(?)の間、指の形、指替え、手のフォーム、手首の柔軟さ、腕の動き、上半身の姿勢と重心の移動、床に置いた足の踏ん張り、などなど 全身くまなく気を配って、音の1つ1つ、きれいに揃った真珠のように粒をそろえ、一連の真珠のネックレスのような音階を弾くのは至難の業です。
しかもそれを両手で弾くのですから、難しさも倍増、いや2乗になるといっていいでしょう。
「音階練習」の中には、実際の曲を弾く上で必要なテクニックやメカニック、あらゆる要素が入っているので、これを練習することによって、かなりのピアニズムが身についてきます。
また、39番以降には、アルペジオ、オクターブ、3度の音程、同音連打、トリルやトレモロ、など、さまざまなテクニックにポイントをしぼった練習曲があるので、実際にそういったテクが使われている「ソナタ」などの曲を弾くときは、「ハノン」の中から選んで それなりのテクを合わせて練習すれば、効率の良い練習ができますね。
自分でポイントを意識して練習するのとそうでないのとでは、その効果にも大きな開きが出てくるはずです。
ハノンの使い方、もうひとつ。
ストレスがたまってる時とか、なーんかムシャクシャするときとか、何する元気も出ない・・・なんていうとき、「ハノン」を弾いてごらんなさい。
それには、 逆に「ポイントをしぼらない曲」がいいです。
前半の、1番から30番くらいのページをパッと開いて、次々と弾いていくのです。
「音階」などと違って、ただただ同じ指使い、同じ音型の曲を、何も考えず、頭も心も無にしてひたすら弾き続ければ、心地よい運動疲労と反比例して、いつしか疲れた頭も疲れた心も スッキリと浄化され、リフレッシュした自分を見出すことができるでしょう。
これは、「ムシャクシャしたらひたすら掃除する」とか「家じゅうの鍋をみがく」などという「主婦の知恵」にも似た、高い効果を得られるワザです。
ぜひお試しください。