この巨額な282億円の負債に驚いてググると粉飾決算の方法を話題の堀社長の指示で繰り返した経緯を細かく述べた経済紙も見ました。
事件の骨子は:
「老舗ベアリング商社の堀正工業(株)(TSR企業コード:291038832、東京都)が7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた」事に有りますが、今年5月に粉飾決算が明るみになってから、「54行/社に及ぶ金融機関のみならず与信担当者への激震は2カ月続いた」と有ります。
少しも一般紙に乗りませんでしたね?
各行或いは各社向けに「売り上げや当然利益が違う決算書を個別に作った」のが2003年以来社長の堀雅晴氏(68)の様です。
この文春の記事は「お堅い銀行筋が巨額の貸し込みをしたのは、
「実は各行がこぞって融資したのは、東海銀行、合併後のUFJ銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、現在は東京海上日動あんしん生命保険で営業マンを務めるA氏の紹介があったから。A氏は約10年間同行に勤めた後、約20年間保険のキャリアを積んできた金融の大ベテランです」と指摘している点です。
いずれ債権回収問題が裁判沙汰になれば「関与の有無が明らか」になってくるでしょう!
ところでBIGMOTORに対する90億円の融資の一括返済を決めた金融機関の決定の裏で、こんな事件が有ったのが影響しているのかも知れないと思った次第。貸しはがしが進むかも知れませんね。
写真:堀社長(NEWS TOKYOより)© 文春オンライン
文春オンライン:
「粉飾決算は、堀雅晴氏(68)が社長の座についた2003年以降、少なくとも20年は続いてきたとみられます。売り上げを実際の1.5倍まで改竄していた年もあった。粉飾発覚後に債権回収された分を除いても、負債残額は282億円と、これほどひどい粉飾はかつて例がない」(大手信用調査会社職員)
◆ ◆ ◆
『なんでそんな話が出るんだ!』粉飾疑惑に逆ギレ
前代未聞の粉飾決算を続け、7月24日に破綻した堀正工業(本社・東京)。創業90年を誇る同社は、ベアリングメーカーのNTNの販売代理店で、直近3年間の年商は60億円を超えていた。
そんな“名門企業”の化けの皮が剥がれたのは、今年5月のこと。経営実態は火の車で、銀行ごとに別々の粉飾した決算書を見せ、全国約50の銀行から融資を受けていたというのだ。
社長の堀氏は1969年に日大法学部を卒業後、NTNの前身企業に入社。2年後、祖父が立ち上げた堀正工業に入社し、2003年に社長を引き継いだ。
堀社長(NEWS TOKYOより)© 文春オンライン
「ある銀行担当者が慌てて、堀氏に『粉飾疑惑が出ている』と問い合わせると、堀氏は『なんでそんな話が出るんだ!』と逆ギレするほど取り乱していた」(銀行関係者)
巧妙な手口はA氏が指南していたのではと疑う声も
なぜ銀行の担当者たちが、こぞって堀氏に騙されることになったのか。融資した銀行関係者がキーマンの存在を指摘する。
「実は各行がこぞって融資したのは、東海銀行、合併後のUFJ銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、現在は東京海上日動あんしん生命保険で営業マンを務めるA氏の紹介があったから。A氏は約10年間同行に勤めた後、約20年間保険のキャリアを積んできた金融の大ベテランです」
経歴だけではなく銀行時代の名刺も“活用”した。
「銀行に堀社長を紹介する際、銀行時代の名刺を担当者に見せ、『堀さんは昔からの知り合い』と安心させていた。またA氏は、東京での融資拡大をねらう地銀の東京支店に足繁く通っては、『有望な企業がある』などと紹介していたようです。堀正工業による粉飾が巧妙な手口だったため、A氏が指南していたのではと疑う声もあります」(同前)
堀氏は現在雲隠れしており、誰も連絡が取れない状態
融資された莫大な金は一体どこに消えたのか。関連ビジネスに流用されたと指摘されるが、一方で“私物化”を疑う声もある。
その1つが、昨年5月に堀氏が購入した軽井沢の別荘だ。敷地面積1800㎡超の広大な敷地に建つログハウス。実は、2020年に亡くなった直木賞作家なかにし礼さんが避暑で利用するために建てたものだ。
経済部記者が続ける。
「軽井沢の別荘の他にも、1部屋3億円は下らない虎ノ門のタワーマンションに会社名義で部屋を所有するなど、複数の高級不動産を所有しています」
堀氏は、対応を代理人弁護士に任せ、雲隠れ。誰も連絡が取れない状態だという。
A氏は粉飾への関与を否定
銀行の融資が広がるきっかけとなったA氏を電話で直撃した。
――銀行の担当者に堀正工業を紹介したことは事実?
「はい」
――あなたが粉飾に関与していたと疑う声もある。
「それはないですね。粉飾自体も全く知らなかった」
――銀行時代の名刺を見せていたのでは?
「はい。ただそれは相手を安心させるためという意味では全くなく、こういう付き合いで堀正工業を銀行の時に担当していましたという話です。粉飾された決算書自体見ていませんので、何もわかりません」
三菱UFJ銀行の広報部は、「A氏が銀行時代の名刺を利用していたことは把握していなかった」と回答した。
東京海上日動あんしん生命保険は「粉飾決算の事実を知らなかった」とした上で、「堀氏から金融機関の紹介を頼まれた」と答えた。
類を見ない悪質な倒産劇は、今後どのような結末を迎えるのか。警視庁などの捜査機関も事態の推移を注視しているという。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)
(引用終わり)