忌中

陽が出なくて寒かったが、畑№１に腐葉土をすき込もうとの１０時過ぎに出かけたら、畑の向かい家のＮさん宅のまえにセレモニーホールの車が二台停まっていて中の様子が慌しかった。
よく見ると玄関のドアに「忌中」と書いて貼ってあり、暫くすると大きなステーションワゴンからストレッチャーが引き出され、遺体が運び出されて来た。

見送ろうと外に出てきたのは旦那さんと子供、嫁、婿、孫達だったが、奥さんの姿だけがなかった。。

私は知らなかったのだが、その奥さんは昨日病院の方で息を引き取って、昨日から自宅に戻っていたのだ。

畑に出た時には三回に一回くらいは車を運転して外出する姿を遠くから見ていたので、何も気にしていなかったのだが、ここ４年くらい乳癌を最初に入退院を繰り返していたとのこと。
旦那さんとはよく畑で立ち話をしたが、奥さん（７４歳）とは野菜を届けたことで発生するやり取りことに関わることくらいの付き合いだった。
しかし一昨年畑の近所（畑１は私の近所ですが、隣の市にあります）の子供たちをサツマイモ堀りと焼きイモに招待した時は、旦那さんと一緒に手伝ってくれた。

５年前からこの地に移り住み、８０歳を越えた両親と暮らしているが、最初に仲良くなった人、それも両親よりもまだ若い知人を見送ることになるとは思わなかった。

畑を通して感じるのは季節の移り変わりばかりではない。
長靴のままの私は、セレモニーホールの車の後ろ姿が消え去るまで手を合わせていた。