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首相、鳩山総務相を更迭 西川氏の続投支持

2009-06-12 23:06:12 | その他(国内)
首相、鳩山総務相を更迭 西川氏の続投支持(産経新聞)

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 日本郵政の西川善文社長の再任問題をめぐり、麻生太郎首相は12日、西川氏の退任を要求してきた鳩山邦夫総務相に辞表を提出させ、更迭した。麻生内閣の閣僚辞任は中山成彬前国土交通相、中川昭一前財務相に続き3人目。首相は後任の総務相を佐藤勉国家公安委員長に兼務させた。

 首相は12日夕、記者団に更迭理由を「政府と郵政会社の間に混乱が生じたような印象を与えたのははなはだ遺憾だ。早急に解決されてしかるべきだった」と説明。西川社長については「日本郵政は特殊会社とはいえ民間会社だ。株主(国)が人事権を使ったり、事業に対し色々なことで介入したりするのは努めて避けるべきだ」と述べ、続投を支持する考えを示した。

 一方、鳩山氏は「正しいことが通用しないならば潔く去る。首相の判断は間違っていると思う。今後は正しい判断で政治をやってほしい」と述べた。
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首相のコメントはすべてが間違っている。いちいち検証するのも面倒なのだが、国民の共有財産であった郵政の施設が「西川一派」によりお手盛り的に格安で払い下げられようとしている今、当ブログとしては黙っているわけにはいかない。沈黙は巨悪を利することになるからだ。

まず、「政府と郵政会社の間に混乱が生じたような印象を与えたのははなはだ遺憾だ。早急に解決されてしかるべきだった」のコメントだが、そもそも早急に解決できなかったのは首相自身の優柔不断、決断力のなさだ。それにもかかわらず他人事のようなコメントには呆れる。

次に、「日本郵政は特殊会社とはいえ民間会社だ。株主(国)が人事権を使ったり、事業に対し色々なことで介入したりするのは努めて避けるべきだ」だが、この論理は、平たく言えば株式会社に対する株主の統制を否定していることになる。国は株式を持っていても特殊会社の経営には介入できないし、またすべきでないと考えているのだったら、さっさと株式を売却して完全民営化するか、さもなければ国営公社に戻すかのどちらかでなければならないはずだ。

政治と結託した一部「政商」に対する国有財産の不当払い下げは、歴史のひもを解いてみれば今回が初めてではなく、古くは明治時代、黒田清隆が自分の設立した会社を受け皿に、北海道開拓使の官有財産を不当に安く払い下げようとした「北海道開拓使官有物払い下げ事件」があった。それは、政府が投資した額1400万円に対して払い下げ額はたったの38万円という乱脈ぶりだった。黒田は責任を問われ、払い下げは頓挫、閑職に追いやられた。

1987年の国鉄民営化もこれと同じような構図だった。特に、汐留貨物駅跡地はバブル最盛期に売却すれば6兆円の値がつくと言われ、国鉄清算事業団が背負った累積債務の返済に充てることが強く期待された。しかし、「汐留を売却すれば地価高騰に拍車を掛ける」という訳のわからない論理で売却は中止された。その後、この土地はバブル崩壊後になって格安で民間に払い下げられた。

よくよく考えてみれば、供給が増えれば価格は下がるのが経済の原則であり、「汐留を売却すれば地価高騰に拍車を掛ける」などと言うことはあり得なかった。実際には、バブル期に汐留を売っておけば良かったものを、民間に安く払い下げるために売却を凍結する措置が取られ、狙い通りバブル崩壊で地価が下がったあと「お手盛り」で一部民間企業が一等地を格安で手に入れた。そして、圧縮されるはずだった旧国鉄債務は圧縮されないまま、国民に請求書が回されたのだ。

公有企業が民営化されるたびにこのようなことが繰り返されてきたのが日本の歴史だった。私たち国民が声を上げなければ、政治家・官僚・財界によって国民の財布が空になるまで同じ愚行が繰り返されるだろう。

その意味で、「かんぽの宿」のお手盛り売却を中止させた鳩山総務相の働きは歴史に光り輝くものであり、西川社長こそ辞任すべきだった。国民は、郵政民営化が一部企業のための「お手盛り」民営化だった事実にすでに気付き始めている。地方では郵便局の削減による弊害も現れ始めており、郵政民営化への支持は今後、減少はしても増加することはないだろう。

その上、「民間企業になったのだから政府が口を出すこともけしからん」というのであれば、もはや郵政は国営公社に戻すしかないのではないか。

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