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日航機事故26年~今までと違う8.12への決意

2011-08-12 21:49:50 | 鉄道・公共交通/安全問題
<御巣鷹灯籠流し>苦しみ悲しみを共有 福島の被災者も参加(毎日新聞)

<日航機事故>26年 朝から遺族の登山続く 群馬県上野村(毎日新聞)

日航123便墜落事故から26年を迎え、今年も遺族による慰霊登山が行われた。高齢化が進み、山に登れる遺族が年々少なくなっていく中で、26年間、8.12連絡会事務局長として遺族をとりまとめ続けてきた三谷島邦子さんの苦労は計り知れないものがあると思う。

その三谷島さん、今年は「被災者と苦しみや悲しみが共有できれば」「自分たちにできることは被災者に寄り添うこと」という思いから東日本大震災の被害者を灯籠流しに招待したそうだ。震災被害者と銘打ってはいるが、参加したのはすべて福島県民であり、実質的には原発事故被害者の招待という側面が強い。三谷島さんの胸の内は定かではないが、御巣鷹事故と原発事故がいずれも独占的巨大企業によって引き起こされた人災であり、国・企業による犯罪であるとの認識があるのかもしれない。もしそうだとすれば、その認識は全く正しいし、いち早く原発事故被害者を招待したフットワークの軽さとともに、その視点、政治的センスの鋭さに対しても私は敬意を表したいと思っている。企業犯罪に被害者がひとり立ち向かうのでは勝てない。類似の企業犯罪に苦しむ多くの人々が手を取り合うことが今は何より大切だ。

東日本大震災・原発事故によって多くの人が苦しんでいる中での慰霊の日ということで、今年の8.12は昨年までとは違う8.12となったが、もうひとつ、今年の8.12を昨年までの8.12とは違うものにしている出来事がある。昨年末の日航職員165名に対する整理解雇である。解雇された職員らは大半が闘う労働組合に所属している人たちであり、「狙い打ち解雇」としての性格を強く持つものだった。被解雇者の中には、青年労働者として御巣鷹事故に強い衝撃を受け、現場から愚直に安全を追求していた人たちが多く含まれている。

東日本大震災と原発事故のあおりで忘れられがちになっているが、「(解雇された165名の)解雇は必要かと問われれば、そうではなかった」と稲盛会長自身が口を滑らせるほど、この解雇ははじめから矛盾に満ちあふれ、破綻している。しかも、日航は今年4~6月期決算で、東日本大震災があったにもかかわらず171億円もの営業黒字を達成している(参考記事:J-CASTニュース)。解雇を行う合理的理由などどこにも見あたらない。日航は直ちに解雇を撤回し、誰よりも安全を追求してきたベテラン乗務員らを職場に戻さなければならない。

御巣鷹事故と福島原発事故は多くの点で驚くほど似ている。(1)政府の保護の下で独占または独占に近い地位を与えられてきた巨大企業による事故であり「人災」の側面が強いこと、(2)凄まじい情報操作や情報隠しが行われたこと(8.12当日における墜落現場隠し、科学的検証を欠いた「圧力隔壁崩壊説」のでっち上げ/放射能汚染隠し、安全デマのでっち上げ)、(3)日航/東電の被害者対応、事故対応が官僚的であり反省が見られないこと、(4)航空機調達や空港建設/原発建設を巡る巨大な利権と腐敗した「ムラ」(航空村/原子力村)の存在、(5)そしてなにより、日航労働者・遺族/原発被曝労働者・避難できないでいる福島の女性・子どもという底辺の人たちが、この最悪の事故の被害を一身に引き受けさせられているという不条理である。

この驚くほど痛ましい2つの事故の相似を見るたびに、日本社会はあのときから全く進歩していないとの思いを強くする。しかし、26年前と違う点もある。ネットの発達、特に情報「発信」手段としてのネット発達により誰もが権力を監視し、嘘を暴くことができるようになった。事故遺族や子供を放射能から守ろうとする母親たちの粘り強い闘いも続いている。そして、当時も今も闘いの中心にいるのが女性であるという点も同じである。

人命よりカネ・利益を優先させる堕落した男性中心の村社会によって、いよいよ日本社会は崩壊の瀬戸際に追い詰められた。今や日本国民の誰もが解体を望み、打倒を誓う利権社会の前に、三谷島さんが呼びかけ、つながった日航機事故遺族と原発事故避難者とのネットワークは強い意志をもって立ちはだかるだろう。もはやこの流れを止めることはできない。

闘いの最前線に登場した女性たちの前で私にできることは限られているのかもしれない。しかし私はそのために少しでも役に立ちたいと思っている。この秋、私は国土交通省・運輸安全委員会に対しては御巣鷹事故の原因の再調査を求める予定である。原発事故に関してはウソとごまかしと利権の巣窟と化した犯罪集団・経産省解体のため具体的な行動を計画している。

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