人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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●管理人の著作(いずれも共著)
次世代へつなぐ地域の鉄道——国交省検討会提言を批判する(緑風出版)
地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望(緑風出版)
原発を止める55の方法(宝島社)

●管理人の寄稿
規制緩和が生んだJR事故(国鉄闘争共闘会議パンフレット「国鉄分割民営化20年の検証」掲載)
ローカル鉄道に国・自治体・住民はどう向き合うべきか(月刊『住民と自治』 2022年8月号掲載)
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

管理人より新年のご挨拶を申し上げます

2022-01-01 11:23:33 | 日記
元日も昼前になりましたが、安全問題研究会より新年のご挨拶を申し上げます。

2022年は、1872(明治5)年に日本初の鉄道が新橋(現在の汐留付近)~横浜間で開業して150年の節目を迎えます。しかし、近年の災害多発を受け、地方を中心にもともと衰退の一途をたどっていた鉄道は、新型コロナ禍による打撃で満身創痍状態です。節目を喜ぶ状況とはほど遠いのが実態です。

こうしたことを背景に、海外では鉄道の運営形態を見直す動きが広がっています。英国ではサッチャー政権時代に分割・民営化された国鉄が、2000年のハットフィールド脱線事故後、線路の保有・維持管理部分のみを国営ネットワークレイル社に戻す「上下分離・『下』部分の再国有化」が行われました。

2021年の10大ニュース10位で取り上げましたが、今回のコロナ禍を受けて、上下分離の『上』部分、すなわち列車の運行についても国営に戻すとともに、1970年代に「赤字」を理由に廃止した地方鉄道を復活させることを、英国政府は昨年決定しました。

<参考記事>
●「脱炭素」「コロナ対策」で鉄道復権、英国が廃線復活へ(「オルタナ」2021.1.30付け)
●コロナ禍を経て「再国営化」に向かう英鉄道の事情 複雑な「フランチャイズ制度」見直し一元化へ(「東洋経済オンライン」2021.6.19付け)

こうした世界の動きから、ここでも日本だけが大きく取り残されています。さらに驚かされるのは、この大きな政策転換を主導したのが労働党政権ではなく、国鉄民営化を主導してきた保守党政権であるという事実です。日本でも、過去に固執することなく、みずから民営化を決定した自民党政権「だからこそ」再国有化への政策転換を主導してほしいと当研究会は考えます。

岸田政権発足後、森昌文・元国土交通事務次官が首相補佐官を務めています。森氏は、国土交通次官時代の2018年、「文春オンライン」上で次のように語っています(該当記事)。

『(JR北海道問題で)いちばん大事なのは、公共交通って何なのかということだと思うんです。“公共”交通というからには、どこまでいってもプライベートではなくてパブリックなんですよ。でも、現状ではパブリックをどこまで支えていくのか、その視点での議論が充分されているとは言い難い。世界的に見れば、公共交通は国あるいは自治体がサポートして生き残らせていくものというのが当たり前。その点、日本ではどうしても採算が重視されます。海外の政策担当者に、こうした日本の実情を話すとみなさん不思議そうにします。「だってパブリックだろ?」って。』

『道路に税金を使って鉄道には使わない。それはおかしいと思いますよ。そもそも道路と鉄道、どっちを取るのかみたいな議論自体が違うんじゃないか。交通手段としても車と鉄道の二択じゃないでしょう。役割が違うんだから、棲み分けが成り立つはずなんです。』

『実際に上下分離を採用しているケースもちらほら出てきていますし、JR北海道にしても「上」の部分は観光列車に特化するとか、あるいはJR北海道に代わる運営母体が使用することだって考えられます。ただ大きな趨勢ではまだないので、大々的な規模でできるかどうかという議論も必要です。ただ、大前提にあるのは「公共交通とはなんぞや」という議論ですから、いよいよこの問題を国として詰めなければならないのではと考えています。』

鉄道開業150年を迎える今年は、良くも悪くも多くの注目が鉄道界に集まると思います。ここで、長年続いた新自由主義的鉄道政策~「商売としての鉄道」から公共交通としての鉄道~「公共の福祉のために走る鉄道」への再転換ができるかどうかが今後100年の鉄道の行方を決めることになるでしょう。2022年をそのための転換の年にすることが、当研究会の最大の目標となります。

今年もよろしくお願いします。

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