福島原発事故以降、関西電力本社前では、毎年、大みそかにも反原発行動が粘り強く続けられている。今年もメッセージの依頼があったので、以下の通りメッセージを出した。
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関電前にお集まりの皆さん、寒い中、大晦日までお疲れ様です。
原発事故を私が福島県西郷村で経験した2011年から早くも12年、原子力ムラの全面的なバックアップを受け、岸田政権は原発推進に大きく舵を切りました。聞こえてくるのは3.11前と同じ原発推進のかけ声ばかり、福島の反省はどこに行ったのか――そう思って落胆している人も今年は多かったのではないかと思います。しかし、時代は3.11前には決して戻っていないし戻ることもないというデータをいくつか示したいと思います。
日本の全発電量に占める原発の比率は、最も高い2000年には34%と3分の1を占め、3.11直前の2010年でも25%と4分の1を占めていました。しかし、福島原発事故後は4~6%と1割にも届いていません。12年間、一度も全発電量の1割を超えられなかった原発が、政府がかけ声をかけたからといって、今後「主力電源」として復活するということはあり得ません。
また政府は「次世代小型原子炉」の実用化を目指していますが、米国からは小型原子炉開発断念のニュースが伝わってきました。原子炉は、出力を半分にすれば強度も半分ですむという単純なものではありません。小さくても一定の強度が必要なので、出力を小さくすればするほど発電量当たりコストが高くなり、採算が取れないことが断念の理由です。利用者が払う電気料金を無駄使いするだけの原発は今後も確実に縮小に向かいます。
原発を全面廃炉に追い込む上で、嬉しいニュースが今年は2つありました。1つは、長崎県対馬市が高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分地選定のための文献調査に応募しないと決めたことです。北海道では寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村で文献調査が行われています。調査期間は当初、2年といわれ、応募から2年経過する2022年秋には終わる予定でしたが大幅に遅れ、来年、2024年の2月にようやく報告書が公表されます。神恵内村の大部分が、政府が目指す地層処分に向かない「不適地」と報告される見込みです。残る寿都町で、次の段階である概要調査を北海道知事が拒否すれば、最終処分候補地はなくなります。使用済み核燃料の持ち出しができなくなることによって原発が停止する可能性が大きく開けます。ZENKO北海道では、「核ごみを持ち込ませない北海道条例」の遵守を求める道知事要請行動を、2024年冬から春の方針に掲げ、取り組む予定です。
もう1つは再生可能エネルギーの躍進です。2023年11月28日の「北海道新聞」によると、2023年10月における北海道内の発電量に再エネが占める割合が40.8%を占め、初めて4割を超えました。北海道では再エネが「主力電源」になりつつあります。泊原発は2012年5月以降止まったままで、ついに11年間1ワットも発電しませんでした。北海道新聞の記事を紹介したラジオのDJさんは「もう泊原発はこのまま要らないんじゃないか」と言っていました。その通り! 原発は要らないんです!
日本でも、確実に原発から再エネへの転換が進んでいます。新しい年、2024年も、原発から再エネにエネルギー政策を転換させるため皆さんとともに頑張りたいと思います。
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関電前にお集まりの皆さん、寒い中、大晦日までお疲れ様です。
原発事故を私が福島県西郷村で経験した2011年から早くも12年、原子力ムラの全面的なバックアップを受け、岸田政権は原発推進に大きく舵を切りました。聞こえてくるのは3.11前と同じ原発推進のかけ声ばかり、福島の反省はどこに行ったのか――そう思って落胆している人も今年は多かったのではないかと思います。しかし、時代は3.11前には決して戻っていないし戻ることもないというデータをいくつか示したいと思います。
日本の全発電量に占める原発の比率は、最も高い2000年には34%と3分の1を占め、3.11直前の2010年でも25%と4分の1を占めていました。しかし、福島原発事故後は4~6%と1割にも届いていません。12年間、一度も全発電量の1割を超えられなかった原発が、政府がかけ声をかけたからといって、今後「主力電源」として復活するということはあり得ません。
また政府は「次世代小型原子炉」の実用化を目指していますが、米国からは小型原子炉開発断念のニュースが伝わってきました。原子炉は、出力を半分にすれば強度も半分ですむという単純なものではありません。小さくても一定の強度が必要なので、出力を小さくすればするほど発電量当たりコストが高くなり、採算が取れないことが断念の理由です。利用者が払う電気料金を無駄使いするだけの原発は今後も確実に縮小に向かいます。
原発を全面廃炉に追い込む上で、嬉しいニュースが今年は2つありました。1つは、長崎県対馬市が高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分地選定のための文献調査に応募しないと決めたことです。北海道では寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村で文献調査が行われています。調査期間は当初、2年といわれ、応募から2年経過する2022年秋には終わる予定でしたが大幅に遅れ、来年、2024年の2月にようやく報告書が公表されます。神恵内村の大部分が、政府が目指す地層処分に向かない「不適地」と報告される見込みです。残る寿都町で、次の段階である概要調査を北海道知事が拒否すれば、最終処分候補地はなくなります。使用済み核燃料の持ち出しができなくなることによって原発が停止する可能性が大きく開けます。ZENKO北海道では、「核ごみを持ち込ませない北海道条例」の遵守を求める道知事要請行動を、2024年冬から春の方針に掲げ、取り組む予定です。
もう1つは再生可能エネルギーの躍進です。2023年11月28日の「北海道新聞」によると、2023年10月における北海道内の発電量に再エネが占める割合が40.8%を占め、初めて4割を超えました。北海道では再エネが「主力電源」になりつつあります。泊原発は2012年5月以降止まったままで、ついに11年間1ワットも発電しませんでした。北海道新聞の記事を紹介したラジオのDJさんは「もう泊原発はこのまま要らないんじゃないか」と言っていました。その通り! 原発は要らないんです!
日本でも、確実に原発から再エネへの転換が進んでいます。新しい年、2024年も、原発から再エネにエネルギー政策を転換させるため皆さんとともに頑張りたいと思います。