本書は、文明八年(1476)に起きた長尾景虎の乱から、天正十八年(1590)の小田原の役にいたる東国の戦国史を、10のエピソードによって俯瞰する「読みもの」である。
登場する人物の多くは、これまで一般向けの歴史書などでは、あまり扱われてこなかった、ないしはほんの脇役程度でしかなかった、マイナーな武将たちかもしれない。
けれども知名度が低いことと、面白みに欠けることとは別である。
知名度が高かろうが低かろうが、歴史とは血の通った人間たちによって織りなされる、綾や陰影に満ちたドラマなのである
本書ーまえがきより
一般的には北条氏康、武田信玄、上杉謙信(長尾景虎)の武将たちが知られているが、この本ではあまり知られていないマイナーな武将たちの戦いが資料に基づいて具体的にわかりやすく描かれている。
それらの武将たちが関東で繰り広げた戦いが、歴史上有名な戦いの伏線であったり、勝敗に大きく影響している綾に満ちた数々のドラマを生み出していた。
伊豆・相模・武蔵を版図とした北条氏は、横浜に住んでいる私にとっては身近な存在だ。
永禄十二年の武田軍の関東侵攻では、小机城を中心とした地域でも、兵糧を調達する武田軍の略奪を受けている。
北条軍はどのようにして武田の侵攻を防いだのか、そこで活躍した武将は誰か、北関東の長尾氏をどう抑えたかのか。
武田の強さは自前の領地では耕作地の少なさが影響しているため、他国から略奪を繰り返さないと自国を養えないジレンマがあることを本書を読んで認識できた。
全く関係ないと思うが、皮肉にもこの武田軍の武将の一人が我が家と同じ家紋であり、最後は長篠の戦いで討死している。
小田原の役では、押し寄せる豊臣秀吉の大軍に対し、北条氏はどんな戦略をベースにして、個々の武将へどんな戦術で対処させたのか。
江戸幕府を開いた徳川家康は、大河ドラマなどで何度も描かれているが戦国史でみれば大袈裟な言い方だが、最後にほんのちょっと登場して関ヶ原で勝利しただけである。
もちろん、彼の戦術、強運があってこそなので特に他意はない。
関ヶ原の戦いにたどり着くまでの戦国時代、東国では北条、武田、今川、佐竹、長尾、上杉などの戦国大名たちが生き残るために熾烈な戦いを繰り広げてきた。
そしてその影には、本書に登場しているようなマイナーな武将たちの働きと戦いが大きく影響しているのであろう。
お久しぶりです。
最近、戦国史にはまりこの手の本を読み始めました。
権謀術数を弄する戦国武将の史実を読むと、歴史の裏側が垣間見れて面白いです。
この本も近代につながる戦術や、実はこうだったという内幕も知れて面白いですよ。
ウォーゲームの方にどっぷりで、模型界隈から少しなはれておりました。
これは面白そうな本ですね。図書館で探してみねば。ご紹介ありがとうございます。
>結構読書家なんですね。<
いえいえ恥ずかしながらそれほど読んでいないです。
最近、日本の中世史、特に戦国時代にはまってしまって少し読むようになりました😅
最初は買っていましたが、書籍代も馬鹿にならないので図書館で借りることにしました。
それと散歩にちょうど良い距離にあるのもその理由のひとつです。
何度も読みたい、今後読む本の基礎知識として役立ちそうな本は買うかもしれません。
図書館に行って本を借りて読む方は、本当に本が好きな方だと思うんですよね。