【問題】
01. 全国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
02. 憲法25条1項は、個々の国民に具体的権利を直接賦与したものである。
03. 憲法25条1項の「健康で文化的な生活」は、極めて抽象的な概念である。
04. 憲法25条1項の「最低限度の生活」は、ある程度明確に確定できる。
05. 憲法25条1項の「健康で文化的な最低限度の生活」の具体的内容は、その時々における文化の発達の程度や経済的・社会的条件、一般的な国民の生活の状況等との相関関係で判断されるべきものである。
06. 現になされている生活保護の減額措置をする場合、裁判所は減額措置の妥当性や手続きの適正さを通常の自由権の制約と同様に厳格に審査すべきである。
07. 国はすべての生活部面について、社会福祉や社会保障、公衆衛生の向上や増進に努めなければならない。
08. 行政府が現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど憲法や生保法の趣旨や目的に反して法律で与えられた裁量権の限界を越えた場合や裁量権を濫用した場合、違法な行為として司法審査の対象となり得る。
09. 憲法25条2項は、社会的立法や社会的施設の創造や拡充に努力すべきことを責務として宣言したものであると解すべきである。
10. 憲法25条の規定の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられている。
11. 特別の条約がない限り、国は政治的判断で社会保障上の施策での在留外国人の処遇を決定できる。
12. 国は限られた財源の下で福祉的給付をするため、在留外国人より自国民を優先的に扱うことも許される。
13. 障害福祉年金支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する。
【解答】
01. ○: 憲法25条1項
02. ×: 最判昭23.09.29(食管法違反事件)要旨
03. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
04. ×: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
05. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
06. ×: 最判平24.02.28(老齢加算廃止訴訟)理由第2 1(2)
07. ○: 憲法25条2項
08. ○: 最判昭42.05.24(朝日訴訟)理由一
09. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
10. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
11. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
12. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
13. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
【参考】
生存権 - Wikipedia
朝日訴訟 - Wikipedia
堀木訴訟 - Wikipedia
塩見訴訟 - Wikipedia
01. 全国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
02. 憲法25条1項は、個々の国民に具体的権利を直接賦与したものである。
03. 憲法25条1項の「健康で文化的な生活」は、極めて抽象的な概念である。
04. 憲法25条1項の「最低限度の生活」は、ある程度明確に確定できる。
05. 憲法25条1項の「健康で文化的な最低限度の生活」の具体的内容は、その時々における文化の発達の程度や経済的・社会的条件、一般的な国民の生活の状況等との相関関係で判断されるべきものである。
06. 現になされている生活保護の減額措置をする場合、裁判所は減額措置の妥当性や手続きの適正さを通常の自由権の制約と同様に厳格に審査すべきである。
07. 国はすべての生活部面について、社会福祉や社会保障、公衆衛生の向上や増進に努めなければならない。
08. 行政府が現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど憲法や生保法の趣旨や目的に反して法律で与えられた裁量権の限界を越えた場合や裁量権を濫用した場合、違法な行為として司法審査の対象となり得る。
09. 憲法25条2項は、社会的立法や社会的施設の創造や拡充に努力すべきことを責務として宣言したものであると解すべきである。
10. 憲法25条の規定の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられている。
11. 特別の条約がない限り、国は政治的判断で社会保障上の施策での在留外国人の処遇を決定できる。
12. 国は限られた財源の下で福祉的給付をするため、在留外国人より自国民を優先的に扱うことも許される。
13. 障害福祉年金支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する。
【解答】
01. ○: 憲法25条1項
02. ×: 最判昭23.09.29(食管法違反事件)要旨
憲法第25条第1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るよう国政を運営すべきことを国家の責務として宣言したものである。すなわち国民は、国民一般に対して概括的にかかる責務を負担しこれを国政上の任務としたのであるけれども、個々の国民に対して具体的にかかる義務を有するものではない。(略)
03. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であって、(略)
04. ×: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であって、(略)
05. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民の生活の状況等との相関関係において判断されるべきものであるとともに、(略)
06. ×: 最判平24.02.28(老齢加算廃止訴訟)理由第2 1(2)
(略)保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否か及び高齢者に係る改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かを判断するに当たっては、厚生労働大臣に上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められるものというべきである。(略)
07. ○: 憲法25条2項
08. ○: 最判昭42.05.24(朝日訴訟)理由一
(略)現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する等憲法および生活保護法の趣旨・目的に反し、法律によって与えられた裁量権の限界をこえた場合または裁量権を濫用した場合には、違法な行為として司法審査の対象となることをまぬがれない。(略)
09. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)この規定が、同じく福祉国家の理念に基づき、社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務として宣言したものであること(略)は、すでに当裁判所の判例とするところである。(略)
10. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、(略)
11. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
(略)社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、(略)
12. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
(略)その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも、許されるべきことと解される。(略)
13. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
(略)法81条1項の障害福祉年金の支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである。(略)
【参考】
生存権 - Wikipedia
朝日訴訟 - Wikipedia
堀木訴訟 - Wikipedia
塩見訴訟 - Wikipedia