法務問題集

法務問題集

憲法 > 国民 > 社会権 > 生存権

2011-07-21 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 全国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

02. 憲法25条1項は、個々の国民に具体的権利を直接賦与したものである。

03. 憲法25条1項の「健康で文化的な生活」は、極めて抽象的な概念である。

04. 憲法25条1項の「最低限度の生活」は、ある程度明確に確定できる。

05. 憲法25条1項の「健康で文化的な最低限度の生活」の具体的内容は、その時々における文化の発達の程度や経済的・社会的条件、一般的な国民の生活の状況等との相関関係で判断されるべきものである。

06. 現になされている生活保護の減額措置をする場合、裁判所は減額措置の妥当性や手続きの適正さを通常の自由権の制約と同様に厳格に審査すべきである。

07. 国はすべての生活部面について、社会福祉や社会保障、公衆衛生の向上や増進に努めなければならない。

08. 行政府が現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど憲法や生保法の趣旨や目的に反して法律で与えられた裁量権の限界を越えた場合や裁量権を濫用した場合、違法な行為として司法審査の対象となり得る。

09. 憲法25条2項は、社会的立法や社会的施設の創造や拡充に努力すべきことを責務として宣言したものであると解すべきである。

10. 憲法25条の規定の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられている。

11. 特別の条約がない限り、国は政治的判断で社会保障上の施策での在留外国人の処遇を決定できる。

12. 国は限られた財源の下で福祉的給付をするため、在留外国人より自国民を優先的に扱うことも許される。

13. 障害福祉年金支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する。

【解答】
01. ○: 憲法25条1項

02. ×: 最判昭23.09.29(食管法違反事件)要旨
憲法第25条第1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るよう国政を運営すべきことを国家の責務として宣言したものである。すなわち国民は、国民一般に対して概括的にかかる責務を負担しこれを国政上の任務としたのであるけれども、個々の国民に対して具体的にかかる義務を有するものではない。(略)

03. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であって、(略)

04. ×: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であって、(略)

05. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民の生活の状況等との相関関係において判断されるべきものであるとともに、(略)

06. ×: 最判平24.02.28(老齢加算廃止訴訟)理由第2 1(2)
(略)保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否か及び高齢者に係る改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かを判断するに当たっては、厚生労働大臣に上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められるものというべきである。(略)

07. ○: 憲法25条2項

08. ○: 最判昭42.05.24(朝日訴訟)理由一
(略)現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する等憲法および生活保護法の趣旨・目的に反し、法律によって与えられた裁量権の限界をこえた場合または裁量権を濫用した場合には、違法な行為として司法審査の対象となることをまぬがれない。(略)

09. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)この規定が、同じく福祉国家の理念に基づき、社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務として宣言したものであること(略)は、すでに当裁判所の判例とするところである。(略)

10. ○: 最判昭57.07.07(堀木訴訟)理由二
(略)憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、(略)

11. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
(略)社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、(略)

12. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
(略)その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも、許されるべきことと解される。(略)

13. ○: 最判平01.03.02(塩見訴訟)理由三
(略)法81条1項の障害福祉年金の支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである。(略)

【参考】
生存権 - Wikipedia
朝日訴訟 - Wikipedia
堀木訴訟 - Wikipedia
塩見訴訟 - Wikipedia

憲法 > 国民 > 身体的自由権 > 住居の不可侵

2011-07-13 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 車両にGPS端末を秘かに装着する捜査手法は、車両使用者の行動を継続的・網羅的に把握するものだが、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりする手法と本質的に異ならず、憲法が保障する私的領域を侵害するものではない。

02. 憲法は住居や書類、所持品について侵入や捜索、押収を受けることのない権利を定めるが、その保障対象には住居や書類、所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。

【解答】
01. ×: 最判平29.03.15 理由3(1)
(略)このような捜査手法は、個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うから、個人のプライバシーを侵害し得るものであり、また、そのような侵害を可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することによって行う点において、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり、公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである。(略)

02. ○: 最判平29.03.15 理由3(2)
(略)憲法35条は、「住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を 受けることのない権利」を規定しているところ、この規定の保障対象には、「住居、書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。(略)

【参考】
日本国憲法第35条 - Wikipedia

憲法 > 国民 > 身体的自由権 > 適正手続きの保障

2011-07-12 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 憲法31条は、ニューディール期のアメリカ連邦最高裁で猛威を振るった手続的デュー・プロセス論を否定したものである。

02. 地方公共団体が条例に違反した者への刑罰を規定するためには、個別の法律による委任が必要である。

【解答】
01. ×

02. ×: 最判昭37.05.30(大阪市売春取締条例事件)理由
(略)条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。(略)

【参考】
デュー・プロセス・オブ・ロー - Wikipedia

憲法 > 国民 > 身体的自由権

2011-07-11 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。

02. いかなる場合も、その意に反する苦役に服させられない。

03. 何人も、法定の手続きによらなければ生命や自由を奪われない。

04. 何人も、法定の手続きによらなければ刑罰を科せられない。

06. 何人も、裁判所で裁判を受ける権利を奪われない。

07. 何人も、原則として、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない。

08. 現行犯でも、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない。

09. 何人も、正当な理由がなければ拘禁されない。

10. 拘禁された場合、要求があれば、本人や弁護人が出席する公開法廷でその理由をただちに示さなければならない。

11. 刑事被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

12. 刑事被告人は、公費で自身のために強制的手続きによって証人を求める権利を有する。

13. 刑事被告人が弁護人を依頼できない場合、国が弁護人を付する。

14. 何人も、自身に不利益な供述を強要されない。

15. 強制や拷問、脅迫による自白または不当に長く抑留・拘禁された後の自白は、これを証拠とできない。

16. 自身に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合、何人も有罪とされない。

17. 実行時に適法だった行為については、何人も刑事上の責任を問われない。

18. 抑留や拘禁後に無罪の裁判を受けた者は、国にその賠償を請求できる。

【解答】
01. ○: 憲法18条前段

02. ×: 憲法18条後段
犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

03. ○: 憲法31条

04. ○: 憲法31条

06. ○: 憲法32条

07. ○: 憲法33条

08. ×: 憲法33条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

09. ○: 憲法34条後段

10. ○: 憲法34条後段

11. ○: 憲法37条1項

12. ○: 憲法37条2項

13. ○: 憲法37条3項後段

14. ○: 憲法38条1項

15. ○: 憲法38条2項

16. ○: 憲法38条3項

17. ○: 憲法39条前段

18. ×: 憲法40条
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

【参考】
自由権 - Wikipedia
裁判を受ける権利 - Wikipedia
逮捕 (日本法) - Wikipedia
現行犯 - Wikipedia
刑事補償請求権 - Wikipedia