【問題】
01. 債権執行は、執行裁判所の差押命令によって開始する。
02. 差押命令が発出された場合、債務者は債権の取り立て等を禁止される。
03. 差押命令が発出された場合、第三債務者は債務者への弁済を禁止される。
04. AはBへの貸付債権をCに譲渡したが、Bに債権譲渡の通知を送付する前に、Aへの債権を有するDがこの貸付債権を差し押さえた。AはCへの債権譲渡についてBに確定日付がある通知を送付したが、その通知がBに到達する前に、Dについての差押命令がBに到達した。この場合、Dは差し押さえがCへの債権譲渡に優先することをCに主張できる。
05. 債権者は、第三債務者の被差押債権の存否等について陳述すべき旨を裁判所書記官に申し立てられる。
06. 債権者から申し立てられた裁判所書記官は、差押命令の送達時に命令の送達日から2週間以内に被差押債権の存否等について陳述すべき旨を第三債務者に催告しなければならない。
07. 差押対象の債権に債権証書がある場合、債務者は債権証書の原本を執行裁判所に引き渡さなければならない。
08. 債権執行で、債権の一部が差し押さえられ、または仮差し押さえの執行を受け、その残余の部分を超えて差押命令が発出された場合、各差し押さえや仮差し押さえの執行の効力はその債権の全部に及ぶ。
09. 給料や賃金、俸給、退職年金、賞与、これらの性質を有する給与に係る債権は、その支払期に受けるべき給付について一切差し押さえられない。
10. 執行裁判所は、申し立てによって、債務者や債権者の生活の状況等を考慮して差押命令の全部や一部を取り消せる。
11. 執行裁判所は、申し立てによって、債務者や債権者の生活の状況等を考慮して差押禁止債権の部分について差押命令を発出できる。
12. 債権執行の手続きで、執行力がある債務名義の正本を有する債権者や文書によって先取特権を有することを証明した債権者は、配当を要求できる。
13. AはBに貸金債権を有しているが、Bが弁済期を過ぎてもその債務を弁済しないため、AはBがCに有する売掛金債権から自己の貸金債権を回収しようとしている。Bに損害賠償請求権を有するDが売掛金債権について強制執行を申し出た場合、Aは貸金債権について確定判決を取得していたとしても、この強制執行手続きに参加して配当を受けられない。
14. 差押命令が発出された場合、第三債務者は供託によって債務を免れることができる。
15. 2人の債権者が同一の債権全額を二重に差し押さえた場合、第三債務者は債権者のうち一方に支払うことで債務を免れることができる。
16. AはBに金銭を貸し付けたが、Bが約定の期日に貸付金を返済しないため、強制的に貸付金を回収することを検討している。AがBのCに対して有する売掛金債権を差し押さえ、売掛金債権について転付命令が確定した場合、AのBに対する貸付金債権および執行費用は、BのCに対する売掛金債権が存する限り、その券面額で、転付命令がCに送達された時に弁済されたものと看做す。
【解答】
01. ○: 民執法143条(債権執行の開始)
02. ○: 民執法145条(差押命令)1項
03. ○: 民執法145条(差押命令)1項
04. ○: 民執法145条(差押命令)4項
05. ○: 民執法147条(第三債務者の陳述の催告)1項
06. ○: 民執法147条(第三債務者の陳述の催告)1項
07. ×: 民執法148条(債権証書の引渡し)1項
08. ○: 民執法149条(差押えが一部競合した場合の効力)前段
09. ×: 民執法152条(差押禁止債権)1項柱書
10. ○: 民執法153条(差押禁止債権の範囲の変更)1項
11. ○: 民執法153条(差押禁止債権の範囲の変更)1項
12. ○: 民執法154条(配当要求)1項
13. ×: 民執法154条(配当要求)1項
14. ○: 民執法156条(第三債務者の供託)1項
15. ×: 民執法156条(第三債務者の供託)2項
16. ○: 民執法160条(転付命令の効力)
【参考】
強制執行 - Wikipedia
01. 債権執行は、執行裁判所の差押命令によって開始する。
02. 差押命令が発出された場合、債務者は債権の取り立て等を禁止される。
03. 差押命令が発出された場合、第三債務者は債務者への弁済を禁止される。
04. AはBへの貸付債権をCに譲渡したが、Bに債権譲渡の通知を送付する前に、Aへの債権を有するDがこの貸付債権を差し押さえた。AはCへの債権譲渡についてBに確定日付がある通知を送付したが、その通知がBに到達する前に、Dについての差押命令がBに到達した。この場合、Dは差し押さえがCへの債権譲渡に優先することをCに主張できる。
05. 債権者は、第三債務者の被差押債権の存否等について陳述すべき旨を裁判所書記官に申し立てられる。
06. 債権者から申し立てられた裁判所書記官は、差押命令の送達時に命令の送達日から2週間以内に被差押債権の存否等について陳述すべき旨を第三債務者に催告しなければならない。
07. 差押対象の債権に債権証書がある場合、債務者は債権証書の原本を執行裁判所に引き渡さなければならない。
08. 債権執行で、債権の一部が差し押さえられ、または仮差し押さえの執行を受け、その残余の部分を超えて差押命令が発出された場合、各差し押さえや仮差し押さえの執行の効力はその債権の全部に及ぶ。
09. 給料や賃金、俸給、退職年金、賞与、これらの性質を有する給与に係る債権は、その支払期に受けるべき給付について一切差し押さえられない。
10. 執行裁判所は、申し立てによって、債務者や債権者の生活の状況等を考慮して差押命令の全部や一部を取り消せる。
11. 執行裁判所は、申し立てによって、債務者や債権者の生活の状況等を考慮して差押禁止債権の部分について差押命令を発出できる。
12. 債権執行の手続きで、執行力がある債務名義の正本を有する債権者や文書によって先取特権を有することを証明した債権者は、配当を要求できる。
13. AはBに貸金債権を有しているが、Bが弁済期を過ぎてもその債務を弁済しないため、AはBがCに有する売掛金債権から自己の貸金債権を回収しようとしている。Bに損害賠償請求権を有するDが売掛金債権について強制執行を申し出た場合、Aは貸金債権について確定判決を取得していたとしても、この強制執行手続きに参加して配当を受けられない。
14. 差押命令が発出された場合、第三債務者は供託によって債務を免れることができる。
15. 2人の債権者が同一の債権全額を二重に差し押さえた場合、第三債務者は債権者のうち一方に支払うことで債務を免れることができる。
16. AはBに金銭を貸し付けたが、Bが約定の期日に貸付金を返済しないため、強制的に貸付金を回収することを検討している。AがBのCに対して有する売掛金債権を差し押さえ、売掛金債権について転付命令が確定した場合、AのBに対する貸付金債権および執行費用は、BのCに対する売掛金債権が存する限り、その券面額で、転付命令がCに送達された時に弁済されたものと看做す。
【解答】
01. ○: 民執法143条(債権執行の開始)
02. ○: 民執法145条(差押命令)1項
03. ○: 民執法145条(差押命令)1項
04. ○: 民執法145条(差押命令)4項
05. ○: 民執法147条(第三債務者の陳述の催告)1項
06. ○: 民執法147条(第三債務者の陳述の催告)1項
07. ×: 民執法148条(債権証書の引渡し)1項
差押えに係る債権について証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その証書を引き渡さなければならない。
08. ○: 民執法149条(差押えが一部競合した場合の効力)前段
09. ×: 民執法152条(差押禁止債権)1項柱書
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはならない。
10. ○: 民執法153条(差押禁止債権の範囲の変更)1項
11. ○: 民執法153条(差押禁止債権の範囲の変更)1項
12. ○: 民執法154条(配当要求)1項
13. ×: 民執法154条(配当要求)1項
執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
14. ○: 民執法156条(第三債務者の供託)1項
15. ×: 民執法156条(第三債務者の供託)2項
第三債務者は、次条第1項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
16. ○: 民執法160条(転付命令の効力)
【参考】
強制執行 - Wikipedia