
以下、朝日新聞デジタルからの引用。
>女子マラソンの福士加代子選手(ワコール)がエントリーしていた13日開催の名古屋ウィメンズへの出場撤回を表明した。大会の実行委員会が1日に発表した。撤回理由について、ワコールの永山忠幸監督は「メールなどで一般の多くの方から福士のことを心配して頂いた。名古屋での可能性を検討してチームとして総合的に判断した」と説明している。
福士選手は、リオデジャネイロ五輪女子マラソンの代表選考会を兼ねた1月の大阪国際女子マラソンで優勝して代表入りが濃厚だが、選考要項により内定はせず、翌日に永山監督が再出場の意向を表明する異例の事態に発展。日本陸上競技連盟の麻場一徳強化委員長が出場撤回を呼び掛けるなど、出場の是非や選考のあり方が議論されていた。
日本陸連の尾県貢専務理事は「大阪国際女子での身体的なダメージを考えると、今回の判断は的確だと思います。まずは疲労を抜き、万全の状態で次の目標に向けて再始動してもらえればと思います」とコメントした。
まずは回避してくれて、安堵している。
特に福士のファンというわけでもないのだが、彼女はとにかく「絵になる」のだ。勝ってももちろん絵になり、凡走して「バテちゃいました」とやっても絵になる。あのあっけらかんとした爆走ぶりとレース後のコメントは、希代のスター性であろう。
彼女にはリオでも是非メダルにからむ力走を見せてほしい。そのために、2ヶ月とあけずレースに出場するのはどうしても避けてほしかった。
どうか休養を充分に取って、本番に備えてほしいと願う。
彼女とそのスタッフが「無謀だ」と云われるのは百も承知でここまで名古屋出場をほのめかしていたのは、他でもなく日本陸連の代表選考過程の杜撰さを指摘したかったからであろう。
随分昔から、選考レース4つでイス3つはおかしいと云われていた。五輪イヤーには埼玉・大阪・名古屋と3つ選考レースがありながら、先に前年の世界陸上の上位入賞者に内定を出すものだから選考レース日本人最上位選手のうち1人が漏れてしまうのである。
思い起こせば、アテネ代表を決める2004年。前年の世陸で2位の野口みずきがいち早く内定、残る2つのイスをQちゃんこと高橋尚子・土佐礼子・坂本直子で争った。坂本が大阪で優勝、土佐が名古屋で優勝に比べQちゃんは東京で2位だったためQちゃんが選にもれたのは大きなニュースになった。
福士が強行エントリーをちらつかせていたのは、Qちゃんの二の舞を恐れたのだろう。名古屋で福士の記録を上回る選手が複数名出れば、福士の出場はなくなる恐れが高まる。
かと云って各レースはコース形態や気象条件、展開など単純比較は限りなく不可能に近い。
であるならば、多くの陸上ファンが思っている事だが選考レースを絞るしかないのではなかろうか。
福士の勇気ある行動を契機に選考過程の見直しを陸連がやってくれればいいのだが、先の陸連専務理事の
「大阪国際女子での身体的なダメージを考えると、今回の判断は的確だと思います。まずは疲労を抜き、万全の状態で次の目標に向けて再始動してもらえればと思います」
という言葉は、他人事以外の何物でもない。こんな発言は論点のすり替えであり、まるで担任の落ち度で遠足で迷ってしまったのに生徒が懸命にゴールしたら担任が
「大変な思いをしましたが、生徒達にいい思い出になったのではないかと思います」
とのたまうのに酷似している。問題は、なぜ迷ったかの原因究明のはずだ。
これを機会に、陸連の猛省を促したいと思うのである…