学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

「絵画のゆくえ2019」展を観る

2019-01-13 18:23:37 | 展覧会感想
今日は昨日と打って変わって暖かい陽気となりました。明日が成人の日ですが、地元では今日が成人式で、羽織袴や振袖姿の新成人を見かけました。初々しいものですね。かつては私も20歳のとき、成人式に参加したわけですが、まだまだ精神的には幼くて、大人として迎えられることに戸惑った覚えがあります。今の新成人はどんな気持ちで今日を迎えたのでしょうね。大人の一員として、お互いに頑張って行きましょう。

さて、昨日から東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で開催している「絵画のゆくえ2019」展を見てきました。同美術館では、2013年から「真に力があり将来国際的にも通用する可能性を秘めた作品」を見出すため、新進作家の登竜門として公募展「FACE」を開催しており、今回の展覧会は受賞作家のその後の活動を紹介したものです。現代の美術の一片を垣間見ることができるので、学芸員としての勉強とともに、美術の一ファンとして期待して伺いました。

計11名の作家の作品がずらりと並び、とても見応えのある展覧会。どの作家も良かったのですが、個人的な好みからいえば遠藤美香さん、唐仁原希さん、三鑰彩音さん、石橋暢之さんの作品を特にじっくりと見入りました。個々の作品のことは長くなりますので省きますが、ひとつひとつの線に生命力が宿るような丁寧な仕事ぶりが圧巻でした。もちろん、この4名以外の作家についても、素晴らしい作品ばかりです。とても充実した時間を過ごすことができました。企画して下さった美術館と作家さんに感謝です。

また、公募展を開催した後も、作家活動のフォローをする同美術館の姿勢がとても良いと思います。なぜなら、賞金を差し上げて終わり、ではなく、その作家の近況を紹介することで賞の意義を再確認できますし、作家を育てようとする想いが伝わってくるためです。理想的な公募展のかたちがここに見られるのではないでしょうか。素敵なことですね。
コメント
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