語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>世界で拡大する自然エネルギー

2012年03月04日 | 震災・原発事故
 日本を除く世界では、自然エネルギーの推進派、人類史における農業革命、産業革命、IT革命に続く第4の革命と言われる。2010年の暮れ、風力・太陽光・バイオマス発電の設備容量は原発の設備容量を超えた。
 原子力による発電量は、今では減少している。米国はスリーマイル島原発事故意向にできた原発は1基もないし、世界では原発の廃止が相次いでいる。原発は、国際社会ではもう終わっている。
 それに対し、風力・太陽光発電の世界マーケットは、昇り龍のように拡大している。
 日本は、10年近く前には世界最大の太陽光発電の市場だったが、政策の力によってドイツに一気に抜かれた。2010年に自民党政権が導入した太陽光発電の固定価格買い取り制度で少し持ち直したが、市場は縮小している。
 ドイツは、太陽光発電の市場が、毎年倍くらいのペースで拡大している。2010年はなんと1年間で740万kWの規模になった。原発7基分の設備容量に相当する。ドイツは、2000年当時6%だった自然エネルギー発電の割合が、2010年には17%まで拡大した。日本では毎年23兆円分も輸入している化石燃料を、2010年には3,000億円分節約しているし、二酸化炭素の排出量は1.2億トン削減した。ドイツにおける自然エネルギーの経済効果は5兆円と言われ、37万人の雇用を生み出している。
 自然エネルギーは地域の人たちが所有しているため、この産業の発展により、地域の経済がどんどん豊かになている。

 自然エネルギーは、世界で非常に大きなお金の流れも生んでいる。10年前、全世界で自然エネルギー産業への投資金額は1兆円にも満たなかったが、どんどん拡大して、2010年は2,430億ドル、22兆円がこの産業に投資されている。うち、ドイツが5兆円、中国が5兆円、米国が3兆円を占めるが、日本への投資額はわずか3,000億円しかない。
 ミクロ経済でも、世界の株式時価総額のランキング上位に、世界の自然エネルギー企業が次々に入ってきている。その企業は、欧米のさまざまな国や中国・印度といった新興大陸に拡がっているが、日本企業は上位に一つもない。この大きな経済構造変革期に、日本企業はほとんど存在感がない。
 日本は、太陽光発電については2006年には世界で半分のシェアを持っていたが、世界のマーケットの拡大が速すぎて、相対的に日本のシェアがどんどん小さくなり、2009年には12%にまで落ち込んだ。
 2020年までの自然エネルギー電力の割合(目標)は、フランス27%、ドイツ39%、イタリア26%、スペイン40%、スコットランド100%。菅元首相は2020年代までに20%という目標を表明したが、これは非常に消極的な目標だ。

 以上、インタビュイー:飯田哲也(NPO法人環境エネルギー政策研究所長)/インタビュアー:川辺美希「原子力発電というのは、国際社会ではもう終わっているものなんですね」(『私たちは原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。』、ロッキング・オン、2011)に拠る。
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