語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】産業廃棄物のゴミ捨て場と化す被災地

2012年03月19日 | 震災・原発事故
 あまり知られていないが、実は被災地で、産廃の不法投棄が深刻化している。
 集積場には、津波では明らかに出ていない鉄くずなどが日に日に増えていった。夜間も警備したが、無駄だった。【福島でガレキ処理のボランティアを務めた男性】
 不法投棄には、業者個々に独自のテクニックがある。震災直後には「災害派遣等従事車両証明書」を申請し、ボランティアのふりをして去り際に産廃を捨てていく不届き者も多かった。
 最近は難しいが、昨年ぐらいまでの狙い目は沿岸部や河口。いろんなものが流されているから。とにかく、そこらじゅうにあるんだから、ガレキの山が一つや二つ増えたところで誰も気づかない。【不法投棄業者】

 行き場を失った大量の鉄鋼スラグも、「ポイ」されているかもしれない。
 鉄鋼スラグとは、鉄や鋼の製造過程に出る残りカスだ。廃棄物処理法上は「産廃」だが、「リサイクル製品」として扱われている。再利用が製造事業として確立していたり、自ら有効利用している場合には廃棄物に該当しない。だから、鉄鋼スラグは道路工事などに年間3,800万トンも使われている。鉄鋼スラグの処理費を要しないおかげで、日本の鉄鋼メーカーは国際競争力を保てている、といっても過言ではない。
 元はゴミだから、工事業者としてもありがたい。
 <例>名古屋港飛島埠頭南側コンテナターミナルでは、鉄鋼スラグを使うことで18%のコスト削減につながった。

 だが、愛知県では、野積み保管された鉄鋼スラグの溶出水から環境基準を超す鉛やホウ素などが検出された。
 また、愛媛県では、塩田跡地の埋め立てに使用したところ、沿岸海域で魚が浮き、カキやエビが死に絶えた。 

 この2月、ある運送会社は、関西の港で受け入れが拒否されて青森でも断られた鉄鋼スラグを、岩手県沿岸部のある市に6万トン運び込んだ。復興でごたごたしている混乱に乗じたのだ。
 恐らく、地元の漁協は知らないでしょう。心が痛みますよ。【くだんの運送会社の幹部】

 以上、窪田順生(ジャーナリスト)「混乱に乗じて産廃をポイ捨て “ゴミ箱”と化す被災地の現実」(「週刊ダイヤモンド」2012年3月10日号)に拠る。
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