語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>“東電派遣教員”大橋弘忠教授の東大話法

2012年03月22日 | 震災・原発事故
 大橋弘忠・・・・東京大学原子力工学科から同大学院を経て東京電力に入社。1986年1月、東大助教授に転身。現在、同大学院工学系研究科システム創成学教授。原子力安全・保安院「原子炉安全小委員会」委員長、「総合資源エネルギー調査会」委員など政府の委員を歴任。昨年10月には、北陸電力志賀原発「原子力安全信頼会議」委員に就任。その経歴から、一部に“東電派遣教員”と揶揄される。

 2005年12月5日、於佐賀県唐津市、九州電力玄海原発へのプルサーマル導入の安全を問う公開討論会で、大橋はうそぶいた。
 <事故の時どうなるかは、想定したシナリオにすべて依存する。(原子炉の)格納容器が壊れる確率を計算するのは、大隕石が落ちてきた時にどうするかという起こりもしない確率を調べるのと一緒。専門家になればなるほど、格納容器が壊れるなんて思えない。>
 <プルトニウムは実際には何にも怖いことはない。水に溶けないので飲んでも体に吸収されず、体外に排出されるだけだ。>

 『原発危機と東大話法』【注1】の著者、安冨歩・東大教授はいう。
 <国内初となる玄海原発へのプルサーマル導入に、大橋氏の“原発推進トーク”がひと役買ったと言われても仕方がない。その延長線上で10年9月には福島第一原発の3号機にMOX燃料が投入され、半年後にその3号機が水素爆発で大量の放射性物質をばらまいた。>

 大橋の一連の発言は、原発事故後に改めて注目を集めた。「大隕石が落ちる確率」と同じはずの格納容器の損傷が確実となった今、大橋は尻に帆をかけて遁走しなければならない立場だ。
 ところが大橋は、自身の研究室のホームページでこっそり反論していた【注2】。プルサーマル公開討論会の本質、説明責任、プルトニウムは飲めるか、話し方について、「やらせ」事件、マスコミ報道・・・・の6項目にわたり見解を綴っている。

<例1>「プルトニウムは飲んでも安全」発言について
 <プルトニウムは水に溶けにくいので、仮に人体に入っても外へ出ていく、と述べたのが、それならプルトニウムは飲めるのか、飲んでみろ、となっているらしい。文脈を考えればわかるのに、いまどき小学生でもこんな議論はしないだろう。>

 【コメント】
 これは、「スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度をとらせる」(規則10)という東大話法の典型例だ。しかも、水に溶けないから安全というのは、それこそ文脈を考えてみれば、むちゃくちゃな議論であることは明らか。プルトニウムを吸い込めば肺の中にとどまり、放射線を出し続けるおそれがあるからだ。【安冨教授】

<例2>九電の「やらせ問題」発言について
 <この討論会について、九州電力のいわゆる「やらせ」が問題となった。私は、佐賀県から依頼されて登壇したもので、話す内容や質疑などについて九州電力からの連絡は一切なかった。/客観的にみれば、この種の討論会は、推進派も反対派も動員をしてそれぞれの立場から質疑を行うのは当然であり、違和感はない。国会答弁でも何でも同じだろう。目立ちたがり屋の弁護士さんが「やらせやらせ」と言い出し、それに社会全体が翻弄されただけではないだろうか。>

 【コメント1】
 小出裕章助教らの発言に噛みつき、ケチをつけているだけ。学者ではなく、「学者ゴロ」「原発ゴロ」にすぎない。発言がデタラメすぎて、論外。我々は徹底した調査で巧妙なやらせのカラクリを解明した。大橋にまともに反論できることがあれば、堂々と私たちに反論したらどうか。自分の身分、立場を隠して世論を誘導する質問を仕込んだ推進派と他の聴衆は一緒にできない。【郷原信郎・弁護士/元・第三者委員会委員長】

 【コメント2】
 あきれるばかり。こんな人物が東大教授なのだ。「技術的」「客観的」など何の根拠も示さないまま、自分勝手な論理を主張するだけで、「いまどき小学生でもこんな議論はしないだろう」。福島原発の事故が起きてしまっている現実をまず見るべきだ。自分がどういう役割を果たしてきたのか、胸に手をあてて考えよ。【小出裕章・京都大学原子炉実験所助教】

 【注1】「【震災】原発>原発危機と東大話法 ~傍観者の論理・欺瞞の言語~
 【注2】「プルサーマル公開討論会に関する経緯について」(HP「オオハシ ラボ」、2月28日掲載)

 以上、徳丸威一郎(本誌)「東電の“派遣教員”東大教授 “逆ギレ”反論の東大話法」(「サンデー毎日」2012年月日号)に拠る。
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