語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】ガレキ広域処理は真の被災地支援になっているか?

2012年03月25日 | 震災・原発事故
 高瀬幸子・「ストップ放射能汚染がれき首都圏ネットワーク」事務局は、3月14日、都庁で会見し、「広域処理は真の被災地支援になっているのか」と疑問を投げかけた。
 佐藤れい子・「さよなら原発・みなと」事務局長も、「利権構造が原発立地の時と同じ。住民も分断されつつある」と、原発立地の際に受け入れ自治体の住民が分断された歴史になぞらえた。

 被災ガレキのうち、広域処理される割合は全体の2割弱。
 奈須りえ・大田区会議員は、異議を唱える。「復興が進まないのは広域処理が進まないからだとし、住民のNIBY【注】が原因とするのは責任転嫁ではないか」「がれきを受け入れるには科学的正当性が欠けている」

 【注】Not In My Back Yard(身勝手)。

 以上、野中大樹(編集部)「復興が進まないのは住民エゴか? 「かれき処理=支援」に疑問」(「週刊金曜日」2012年3月23日号)に拠る。

    *

 ところで、当の被災地は、はたして本当にガレキの県外処理を望んでいるのか?

 田中康夫・衆議院議員/「新党日本」代表はいう【注1】。
 戸羽太・陸前高田市長、伊達勝身・岩泉町長によれば、現行の処理場のキャパシティーを考えれば、全ての瓦礫が片付くまでに3年はかかる。そこで陸前高田市内に瓦礫処理専門のプラントを作れば、自分たちの判断で今の何倍ものスピードで処理ができる。そこで、国と県に相談したら、門前払いで断られた。<「現場からは納得出来ない事が多々有る。山にしておいて10年、20年掛けて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。元々、使ってない土地が一杯あり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこに有るのか?」>
 公金を投入し、ガレキを岩手や宮城から遠隔地に遠隔地へ運ぶのは利権に他ならない。東京都でガレキ処理を受け入れる元請け企業は、東京電力が95.5%の株式を保有する「東京臨海リサイクルパワー」だ。
 仙谷由人・民主党政策調査会長代行とともに東電から献金を受け、父親が北関東の産廃業界で重鎮の枝野幸男・経産相、同じく東電が重用する細野豪志・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構担当)よ、「李下に冠を正さず」だ。

 田中議員は、またいう【注2】。
 20%=400万トンの瓦礫を10トントラックで全国に運搬したら40万台。この驚愕すべき現実を再認識すべきだ。
 にも拘らず、被災地が求める焼却場の建設を事実上、政府は却下し続けている。
 被災地の瓦礫処理はあくまでも一時的な事業と政府は規定している。事業終了時までの仮設焼却場整備ならば相談に応じるが、常設焼却場建設は域内の人口等設置要件を満たさねばならず、仮に設置後10年未満で財産処分の場合は交付金の国庫返還を求める、と。
 が、この「規定」こそ、小泉純一郎政権時代に創設された「循環型社会形成推進交付金」なる“飴と鞭”がもたらした自家撞着の悪夢にほかならない。起債償還時の後年度交付税措置も含め、建設費用の7割を国庫負担する制度の下で、24時間燃やし続けねば施設機能に支障をきたす、身の丈を超えた巨大焼却施設が全国各地に林立した。
 市町村、複数自治体が「一部事務組合」を設置して運営する焼却施設は、日本全国に1,242。うち879施設が全連続式、準連続式だ。一旦動かすと電力需要が少ない深夜も稼働を止められない原発同様、「需給」に拘らず動かし続けねばならぬ全国各地の処理場は、燃やし続けるゴミの確保を切望しているのだ。

 あるいは、斎藤恭紀・衆議院議員(新党きづな)も同趣旨の指摘をしている【注3】。

 【注1】「笑止千万!「みんなの力で瓦礫処理」」(ブログ「日刊ゲンダイ」)
 【注2】「「絆」で瓦礫は処理できるのか」(ブログ「日刊ゲンダイ」)
 【注3】「瓦礫広域処理 私の考え」、「”みんなで瓦礫処理”の裏側」、「”広域処理について・記事を紹介」(以上、ブログ「衆議院議員・気象予報士 斎藤やすのりのBLOG」)

 以上、岩本太郎(ライター)「地元は県外処理を望んでいない!? 瓦礫をめぐる異論反論」(「週刊金曜日」2012年3月23日号)に拠る。
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