(1)キャンベラ社製WBC
南相馬市は、人口66,105人。昨年10月、緊急時避難準備区域を解除されたが、市南部の一部が依然として警戒区域に指定されたまま。今年の米作は2年連続で作付け見送りが決まり、4月以降、22,669の全世帯に個人線量計が配布される。
同市立総合病院では、昨年7月以来、住民を対象にホールボディーカウンター(WBC)による内部被曝検診を実施。今年1月末には受信者10,000人を超えた。当初は国産WBCだったが、9月以降キャンベラ社製WBCを使用することで精度の高い検査ができるようになった。
(2)「無視できないレベル」の16人
9~12月の検査で、最大値を示したのは60代男性の7,200Bq(体重1kg当たり110.7Bq)で、被曝量は国の規制値1mSv/年をただ一人超過した。また、高校生以上の4,745人中16人から「無視できないレベル」のセシウム137が測定された。16人中3人が警戒区域に指定された小高地区、残る13人が原町地区の住民で、いずれも体重1kg当たり50Bqを超えていた。
チェルノブイリ原発事故に基づく海外の研究期間の調査では、大人の安定基準を50Bqと定めているケースがある。「無視できないレベル」たる所以だ。
7,200Bqの男性は、(a)震災直後の原発の爆発で大量被曝(セシウム137の生物学的半減期は70日だから推定30,000Bq)したか、(b)食事や水などによる慢性期被曝か、いずれであるかはWBC検査では明らかにできない。重要なのは、これ以上の被曝を避け、今後数値を下げることだ。【坪倉正治・東大医科学研究所/南相馬市立総合病院非常勤医師】
(3)「要注意レベル」の173人
「要注意レベル」は、海外研究機関の調査によれば、子どもでは体重1kg当たり20Bq以上を指す。
中学生以下で4人(検査人数579人)、高校生以上では169人(うち高校生1人)、計173人が該当した。
大人では(2)の16人を除けば安全圏とされる数字だが、被曝の経緯が不確かな以上、「要注意」は当然だ。
女性より男性、若年層より高齢者に高い数値が検出される経口がある。「要注意レベル」の人には再検査を始めている。きめ細かな診療体制の構築が必要なのだ。【上昌広・東大医科学研究所特任教授】
ことに懸念されるのは、「要注意レベル」の中学生以下の4人と高校生1人だ。食事や水を介した慢性被曝が疑われている。
家庭菜園や地元農家の直売所などで購入した野菜や果物が「内部ルート」ではないかという疑念だ。今後は3~6ヵ月おきに検査するなど、観察を継続する必要がある。【上特任教授】
数値が低くても体内の局所にとどまって同じ細胞を傷つける内部被曝の性質を考えると、将来の健康被害を軽視することは絶対にできない。しかも、ベータ線核種のストロンチウム、アルファ線核種のプルトニウムなどはWBCでは検出できないため、決して安心できない。【西尾正道・北海道がんセンター院長】
以上、徳丸威一郎(本誌)「南相馬で最大7200ベクレル 内部被曝173人「要注意レベル」」(「サンデー毎日」2012年3月18日号)に拠る。
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南相馬市は、人口66,105人。昨年10月、緊急時避難準備区域を解除されたが、市南部の一部が依然として警戒区域に指定されたまま。今年の米作は2年連続で作付け見送りが決まり、4月以降、22,669の全世帯に個人線量計が配布される。
同市立総合病院では、昨年7月以来、住民を対象にホールボディーカウンター(WBC)による内部被曝検診を実施。今年1月末には受信者10,000人を超えた。当初は国産WBCだったが、9月以降キャンベラ社製WBCを使用することで精度の高い検査ができるようになった。
(2)「無視できないレベル」の16人
9~12月の検査で、最大値を示したのは60代男性の7,200Bq(体重1kg当たり110.7Bq)で、被曝量は国の規制値1mSv/年をただ一人超過した。また、高校生以上の4,745人中16人から「無視できないレベル」のセシウム137が測定された。16人中3人が警戒区域に指定された小高地区、残る13人が原町地区の住民で、いずれも体重1kg当たり50Bqを超えていた。
チェルノブイリ原発事故に基づく海外の研究期間の調査では、大人の安定基準を50Bqと定めているケースがある。「無視できないレベル」たる所以だ。
7,200Bqの男性は、(a)震災直後の原発の爆発で大量被曝(セシウム137の生物学的半減期は70日だから推定30,000Bq)したか、(b)食事や水などによる慢性期被曝か、いずれであるかはWBC検査では明らかにできない。重要なのは、これ以上の被曝を避け、今後数値を下げることだ。【坪倉正治・東大医科学研究所/南相馬市立総合病院非常勤医師】
(3)「要注意レベル」の173人
「要注意レベル」は、海外研究機関の調査によれば、子どもでは体重1kg当たり20Bq以上を指す。
中学生以下で4人(検査人数579人)、高校生以上では169人(うち高校生1人)、計173人が該当した。
大人では(2)の16人を除けば安全圏とされる数字だが、被曝の経緯が不確かな以上、「要注意」は当然だ。
女性より男性、若年層より高齢者に高い数値が検出される経口がある。「要注意レベル」の人には再検査を始めている。きめ細かな診療体制の構築が必要なのだ。【上昌広・東大医科学研究所特任教授】
ことに懸念されるのは、「要注意レベル」の中学生以下の4人と高校生1人だ。食事や水を介した慢性被曝が疑われている。
家庭菜園や地元農家の直売所などで購入した野菜や果物が「内部ルート」ではないかという疑念だ。今後は3~6ヵ月おきに検査するなど、観察を継続する必要がある。【上特任教授】
数値が低くても体内の局所にとどまって同じ細胞を傷つける内部被曝の性質を考えると、将来の健康被害を軽視することは絶対にできない。しかも、ベータ線核種のストロンチウム、アルファ線核種のプルトニウムなどはWBCでは検出できないため、決して安心できない。【西尾正道・北海道がんセンター院長】
以上、徳丸威一郎(本誌)「南相馬で最大7200ベクレル 内部被曝173人「要注意レベル」」(「サンデー毎日」2012年3月18日号)に拠る。
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