語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【消費税】増税に係る民主党案と自民党案との異同 ~財務族~

2012年04月09日 | 社会
(1)民主党案と自民党案とは双子
 (a)「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」」(2008年12月24日閣議決定)
 (b)「社会保障・税一体改革成案」(2011年年6月30日政府・与党社会保障改革検討本部決定)
 (c)「社会保障・税一体改革大綱」(2012年2月17日閣議決定)

 (a)は自民党、(b)と(c)は民主党という違いはあるが、(c)の骨格は(a)の焼き直しだ。
 (c)のたたき台が(b)だ。
 (a)のⅡ-3-(1)の<社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を主要な財源として確保する。>という文言は、(b)のⅢ-1-(1)の<国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点などから、社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税収(国・地方)を主要な財源として確保する。>と瓜二つだ。
 (a)も(b)も、社会保障4経費(年金・医療・介護・少子化対策)の不足を補うために消費税率を上げる、と宣言するが、何%まで上げれば賄えるのかを説明しない点までそっくりだ。
 要するに、両者は財務省が生んだ双子だ。

(2)民主党案と自民党案との微妙な違い
 (a)低所得者保護の建前から導入を進める納税者番号に愛称(「マイナンバー」)をつけた。
 (b)増税の方便「世界経済の混乱から国民生活を守る」が、「震災からの復旧復興」「原発事故との闘い」に変わった。
 (c)「主要な財源」とした消費税に「負担能力に応じて社会保障の負担を分かち合う仕組み」が加わり、さらなる増税を示唆した。
 (d)財務省主導で再配分される社会保障費が、地域主権戦略室に設置された「国と地方の協議の場」で議論され、増税5%のうち1.54%が総務省による再配分となった。
 最後の(d)だけは民主党政権らしさが加味されたが、総じて、惨事(震災・原発事故)便乗型増税だ。
 いまや民主党は、財務省の夢見る納税者番号と増税を実現させる財務族議員の集合となった。

 以上、まさの あつこ(ジャーナリスト)「族議員対官僚 予算委員会では話されない予算の話」(「週刊金曜日」2012年3月30日号)に拠る。
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