ガレキの広域処理によって放射能汚染が全国に広がるのではないか、と危惧する声が高まっている。
放射性物質に汚染された高濃度廃棄物を「中間貯蔵」する場所すら政治決断できずに問題を先送りする。その一方、「30年後には必ず福島県外で最終処分するよう法制化する」と粋がる。「口先番長」な発言が政権全体に蔓延している。本末転倒な「政治主導」の迷走を象徴する。
メルトダウンを超えた福島第一原発の周囲は「放射能に汚染された領土」と冷徹にとらえ、原発から少なくとも30km圏内は居住禁止区域に設定し、住民には国家が新たな住居と職業を保障すべきだ。
<例>人口6,000人弱の飯舘村の除染費用(ゼネコンが元請け)は3,200億円強だ。その税金を新天地での村民の生活再建に用いるべきだ。
放射能は消え去らない物質だ。除染は「移染」に他ならない。携わる人に内部被曝をもたらす。「未必の故意」だ。
除染も被害をさらに拡大する。福島県の阿武隈川から太平洋に流れ込む放射性セシウム量は、1日に500億Bqに達する。【京都大学・筑波大学・気象研究所の共同調査】
原発再稼働のため精力に動き回る仙石由人・民主党政調会長代行は、「巻き込み自殺」の主謀者だ。
1年経っても処理したガレキは全体の1割にも満たない。政府の指針が現場の実情に即していないからだ。
こうした震災・原発対応の無為無策を覆い隠す意図で始まったとしか思えない「広域処理キャンペーン」でも、奇妙な精神論が横行している。全体の2割を全国で分け合ってこそ「日本の絆」だと細野豪志・大臣は川崎や京都の駅前で絶叫しているが、残りの7割のガレキを被災地でどう処理・活用するのか、政府は具体的に示していない。
5,000万円といわれる公費を投じて3月6日付け朝日新聞に見開き全2面カラー掲載された政府公報は、目くらまし以外の何物でもない。放射能に占領された「フクイチ」周辺30km圏内と、宮城・岩手両県の問題は分けて考えるべきだ。
阪神・淡路大震災のガレキは、2,000トンだった。半分は焼却、半分はリサイクル(埋め立て・土地醸成)に用いて、実質1年で処理した。他方、今回の震災では、3県で2,300トンだ。被災面積あたりのガレキ分量は遙かに少ない。しかも、昨年11月段階で被災地のガレキは住宅地、商業地、道路からすべて撤去され、「仮置き場」=中間貯蔵所に置かれている。
“緑の防潮堤”(宮脇昭が提唱、坂本龍一らが賛同)にガレキを用いたら、鎮魂として後世に語り継げる「地産地消」だ。法律改正を含む超党派のムーブメントを立ち上げるべく準備している。
「持ちこまない、持ちこませない」と域内処理を自治体に行政指導してきた環境省が、なぜ広域処理にこだわるのか。
自治体が運営する焼却施設は、全国に1,242。その半数は「全連続式」【注】だ。ダイオキシン対策を御旗に掲げ、建設費用の7割を国庫負担する制度の下、全国各地に出現した巨大焼却場は、原発同様に一旦動かすと稼働を止められないジレンマを抱える。しかも、維持修繕費用は自治体負担だ。だから、ガレキ処理受け入れ自治体に財政支援、自治体焼却場の減価償却費も国が支援・・・・と首相が会見で述べたのだ(深意)。
東京都が受け入れているガレキは、岩手県宮古市と宮城県女川町からJR貨物で運ばれてくる。その処理を江東区青梅地区で担当する「東京臨海リサイクルパワー」は、その株式の95.5%東京電力が保有し、社長も東電出身だ。
仙石由人・政調会長代行も枝野幸男・経産相も東電から献金を受けている。
【注】24時間燃やし続けなければ機能に支障が生じる。
以上、 以上、インタビュイー:田中康夫(新党日本代表)/インタビュアー:伊田浩之(編集部)「放射性がれきを全国にばらまいてはならない!」(「週刊金曜日」2012年月日号)に拠る。
*
放射性物質はバグフィルターで除去可能・・・・という環境省の説明は、はたして本当か?
「週刊金曜日」は、廃棄物処理施設を施工している主な会社13社【注】にアンケートを実施したところ、「除去可能」という明確な回答はどの社からも無かった。
「株)タクマ」のみ、「一定の除去が可能と考えられる」と回答しているが、やはり「一定の」という限定がつく。大飯原発再稼働に係る政権の見解、「おおむね」安全の「おおむね」と同じだ。
【注】(株)IHI環境エンジニアリング、エスエヌ環境テクノロジー(株)、荏原環境プラント(株)、(株)川崎技研、川崎重工業(株)、(株)協和エクシオ、三機工業(株)、JFEエンジニアリング(株)、(株)神鋼環境ソリューション、新日鉄エンジニアリング(株)、(株)タクマ、日立造船(株)、(株)プランテック。
以上、弓削田理絵(編集部)「放射性物質除去可能との明確な回答なし」(「週刊金曜日」2012年月日号)に拠る。
【参考】「【震災】原発>亡国の日本列島放射能汚染 ~震災がれき広域処理~」ほか
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放射性物質に汚染された高濃度廃棄物を「中間貯蔵」する場所すら政治決断できずに問題を先送りする。その一方、「30年後には必ず福島県外で最終処分するよう法制化する」と粋がる。「口先番長」な発言が政権全体に蔓延している。本末転倒な「政治主導」の迷走を象徴する。
メルトダウンを超えた福島第一原発の周囲は「放射能に汚染された領土」と冷徹にとらえ、原発から少なくとも30km圏内は居住禁止区域に設定し、住民には国家が新たな住居と職業を保障すべきだ。
<例>人口6,000人弱の飯舘村の除染費用(ゼネコンが元請け)は3,200億円強だ。その税金を新天地での村民の生活再建に用いるべきだ。
放射能は消え去らない物質だ。除染は「移染」に他ならない。携わる人に内部被曝をもたらす。「未必の故意」だ。
除染も被害をさらに拡大する。福島県の阿武隈川から太平洋に流れ込む放射性セシウム量は、1日に500億Bqに達する。【京都大学・筑波大学・気象研究所の共同調査】
原発再稼働のため精力に動き回る仙石由人・民主党政調会長代行は、「巻き込み自殺」の主謀者だ。
1年経っても処理したガレキは全体の1割にも満たない。政府の指針が現場の実情に即していないからだ。
こうした震災・原発対応の無為無策を覆い隠す意図で始まったとしか思えない「広域処理キャンペーン」でも、奇妙な精神論が横行している。全体の2割を全国で分け合ってこそ「日本の絆」だと細野豪志・大臣は川崎や京都の駅前で絶叫しているが、残りの7割のガレキを被災地でどう処理・活用するのか、政府は具体的に示していない。
5,000万円といわれる公費を投じて3月6日付け朝日新聞に見開き全2面カラー掲載された政府公報は、目くらまし以外の何物でもない。放射能に占領された「フクイチ」周辺30km圏内と、宮城・岩手両県の問題は分けて考えるべきだ。
阪神・淡路大震災のガレキは、2,000トンだった。半分は焼却、半分はリサイクル(埋め立て・土地醸成)に用いて、実質1年で処理した。他方、今回の震災では、3県で2,300トンだ。被災面積あたりのガレキ分量は遙かに少ない。しかも、昨年11月段階で被災地のガレキは住宅地、商業地、道路からすべて撤去され、「仮置き場」=中間貯蔵所に置かれている。
“緑の防潮堤”(宮脇昭が提唱、坂本龍一らが賛同)にガレキを用いたら、鎮魂として後世に語り継げる「地産地消」だ。法律改正を含む超党派のムーブメントを立ち上げるべく準備している。
「持ちこまない、持ちこませない」と域内処理を自治体に行政指導してきた環境省が、なぜ広域処理にこだわるのか。
自治体が運営する焼却施設は、全国に1,242。その半数は「全連続式」【注】だ。ダイオキシン対策を御旗に掲げ、建設費用の7割を国庫負担する制度の下、全国各地に出現した巨大焼却場は、原発同様に一旦動かすと稼働を止められないジレンマを抱える。しかも、維持修繕費用は自治体負担だ。だから、ガレキ処理受け入れ自治体に財政支援、自治体焼却場の減価償却費も国が支援・・・・と首相が会見で述べたのだ(深意)。
東京都が受け入れているガレキは、岩手県宮古市と宮城県女川町からJR貨物で運ばれてくる。その処理を江東区青梅地区で担当する「東京臨海リサイクルパワー」は、その株式の95.5%東京電力が保有し、社長も東電出身だ。
仙石由人・政調会長代行も枝野幸男・経産相も東電から献金を受けている。
【注】24時間燃やし続けなければ機能に支障が生じる。
以上、 以上、インタビュイー:田中康夫(新党日本代表)/インタビュアー:伊田浩之(編集部)「放射性がれきを全国にばらまいてはならない!」(「週刊金曜日」2012年月日号)に拠る。
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放射性物質はバグフィルターで除去可能・・・・という環境省の説明は、はたして本当か?
「週刊金曜日」は、廃棄物処理施設を施工している主な会社13社【注】にアンケートを実施したところ、「除去可能」という明確な回答はどの社からも無かった。
「株)タクマ」のみ、「一定の除去が可能と考えられる」と回答しているが、やはり「一定の」という限定がつく。大飯原発再稼働に係る政権の見解、「おおむね」安全の「おおむね」と同じだ。
【注】(株)IHI環境エンジニアリング、エスエヌ環境テクノロジー(株)、荏原環境プラント(株)、(株)川崎技研、川崎重工業(株)、(株)協和エクシオ、三機工業(株)、JFEエンジニアリング(株)、(株)神鋼環境ソリューション、新日鉄エンジニアリング(株)、(株)タクマ、日立造船(株)、(株)プランテック。
以上、弓削田理絵(編集部)「放射性物質除去可能との明確な回答なし」(「週刊金曜日」2012年月日号)に拠る。
【参考】「【震災】原発>亡国の日本列島放射能汚染 ~震災がれき広域処理~」ほか
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