語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】被爆と甲状腺癌の因果関係は本当にないのか? ~「専門家意見交換会」~

2014年01月12日 | 震災・原発事故
 (1)福島県民健康管理調査で、58人の子どもが甲状腺癌、あるいは癌の疑いがあると診断された。
 子どもの甲状腺癌は、原発事故が原因なのか?
 予防や治療体制は、どうすればよいのか?

 (2)「放射線の健康影響に関する専門家意見交換会」が、2013年12月21日、白河市で開催された。主催者は環境省と福島県、事務局は原子力安全研究協会だ。
 しかし、専門家の意見が分かれ、健康対策、治療体制の充実に関する意見は深まらず、県民が抱く疑問はちっとも解消されなかった。

 (3)福島県民健康管理調査は、福島県立医科大学が行う。
 今発見されている子どもの甲状腺癌は放射線被曝とは関係がなく、原発事故前から既にできていたものと思われる。超音波機器は、チェルノブイリ原発事故当時よりもずっと高性能で、小さな結節なども見つかるようになっていて、子どもでも早期に発見されたスクリーニング効果の可能性が高い。【鈴木眞一・福島県立医科大学教授(外科・甲状腺内分泌学)】
 この、原発事故との因果関係を否定する意見に対して、反論がある。
 100mSv以下の被爆でも放射線による癌は増加するが、「癌が出ない」、安全である、というような「雰囲気」が作り出され、建設的な意見を阻んでいる。因果関係はまだわからないが、発生率と有病割合の関係から、スクリーニング効果を考慮しても、多発といえる。今は治療体制を早急に議論、整備することが必要で、その対応を否定する理由はない。【津田敏秀・岡山大学教授(疫学)】

 (4)主催者は、当初、メディアに対し、「冒頭撮影のみ」と動画取材を規制した。
 前夜にはオープン取材になったが、開催前に環境省が、
 「誹謗中傷対策を取る」
との文書にサインをしなければメディアを会場に入れない、とする一幕があった。
 知る権利や報道の自由に制約を加える主催者、「放射線の健康影響に関する専門家意見交換会」の問題点が露呈した。

□藍原寛子(ジャーナリスト)「原発事故の被爆と甲状腺がん 因果関係は本当にないのか?」(「週刊金曜日」2014年1月10日号)
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 【参考】
【原発】初期被曝量は県発表の倍の数値7mSv ~福島県・飯舘村~
【原発】被曝影響を隠蔽する恐れ ~IAEAの福島進出~
【原発】福島県民健康管理調査の情報隠し ~被曝の影響~
【原発】「子どもたちを放射能から守るネットワーク」代表に聞く
【原発】内部被曝量を公表しないエートス・プロジェクト ~福島~
【原発】今なお続く犠牲 女性・子どもへの影響 ~チェルノブイリからの警告(2)~
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