(1)沖縄戦が終結してから1946年6月まで、沖縄は米海軍政府の統治下に置かれた。
ジェームス・T・ワトキンズ少佐/軍政府政治部長は、米軍と沖縄との関係をネコとネズミにたとえた。彼は、日本専門家、後にスタンフォード大学教授。
ワトキンズいわく、<たとえば軍政府はネコで沖縄はネズミである。ネズミはネコの許す範囲でしか遊べない>
いわく、<ネコとネズミは今好い友達だがネコの考えが違った場合はこまる。>
いわく、<平和会議がすむまでは米国はネコで沖縄はネズミであるから其事を心得て置く。ネコがネズミに躍び付かない様にする機構は今の機構が安全である>
植民地主義の発想だ。
(2)2013年12月27日、仲井眞弘多・沖縄県知事は、中央政府による辺野古の埋め立てを承認した。この過程で露見した中央政府の沖縄に対する姿勢は、日本をネコ、沖縄をネズミと見なすものだった。
自民党本部の圧力により、沖縄関係自民党国会議員5人のうち、國場幸之助・衆議院議員を除く4人が、県外移設の公約を撤回した。自民党県連も、県外移設から「辺野古を含むあらゆる可能性を排除しない」という方針に転換した。
中央政府のかかる強権的対応に対して、沖縄では激しい異議申し立てが行われている。12月28、29日に「琉球新報」と「沖縄テレビ放送」が行った緊急世論調査の結果が、沖縄の民意を反映している。
(a)米海兵隊普天間飛行場の問題の解決・・・・県外・国外移設、無条件閉鎖・撤去を73.5%が支持している。辺野古移設支持は、15.9%にすぎない(その他の県内移設を含めても22.6%)。
沖縄県民の7割以上が反対している状況での辺野古移設は、事実上不可能だ。中央政府が現在の移設計画を強行すると、流血の発生が予想される。
(b)知事の埋め立て承認を指示しない理由・・・・「新たな米軍基地を造るべきでないから」が最高(33.2%)。
伊佐浜、伊江島を始めとする沖縄の米軍基地は、民意に反し、「銃剣とブルドーザー」によって造られた。しかし、今回、中央政府はアメ(沖縄振興策という名のカネ、基地負担軽減という空手形)とムチ(普天間固定化という恫喝)により、県の有権者によって選出された知事、名護市長の了承を得る、という形を取り付け、「県民の民意を踏まえた」という擬制を整えて辺野古に巨大な軍事基地を建設しようとした。中央政府の目論見が成功すれば、県民の民意の承認を得ていない国際基準の民主主義原則に反する存在である、という主張が辺野古基地に関しては通らなくなる。この危機感が、新たな米軍基地建設に対する県民の強い反発を呼び起こした【注】。
(c)知事の説明・・・・「公約違反・公約違反と言われても仕方がない」72.4%。
知事の支持率が、過半数を大きく割り込んで38.7%となった(初めてのこと)。不支持率は、「支持しない・どちらかと言えば支持しない」53.9%。中井眞知事は、現在も県外移設を主張している、と釈明したが、もはや知事は「話者の誠実性」を喪失している。中井眞知事は、中央政府の許す範囲でしか自らの主張をしない、という日本への過剰同化を起こしている。ちなみに、知事に県外移設の公約を方針転換させた中央政府・自民党の姿勢に納得できないという回答は72.6%にも達した。知事に対する不支持率を18.7ポイントも上回る数字で、中央政府に対する県民の忌避反応の強さを示す。
【注】1月19日、辺野古移設に反対する現職市長が再選された。
記事「押しつけ、名護拒む 稲嶺氏「移設圧力に反発」 市長選現職再選」(朝日デジタル 2014年1月20日05時00分)
□佐藤優「沖縄をネズミと見なす中央政府への激しい異議 ~佐藤優の飛耳長目 91~」(「週刊金曜日」2014年1月17日号)
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ジェームス・T・ワトキンズ少佐/軍政府政治部長は、米軍と沖縄との関係をネコとネズミにたとえた。彼は、日本専門家、後にスタンフォード大学教授。
ワトキンズいわく、<たとえば軍政府はネコで沖縄はネズミである。ネズミはネコの許す範囲でしか遊べない>
いわく、<ネコとネズミは今好い友達だがネコの考えが違った場合はこまる。>
いわく、<平和会議がすむまでは米国はネコで沖縄はネズミであるから其事を心得て置く。ネコがネズミに躍び付かない様にする機構は今の機構が安全である>
植民地主義の発想だ。
(2)2013年12月27日、仲井眞弘多・沖縄県知事は、中央政府による辺野古の埋め立てを承認した。この過程で露見した中央政府の沖縄に対する姿勢は、日本をネコ、沖縄をネズミと見なすものだった。
自民党本部の圧力により、沖縄関係自民党国会議員5人のうち、國場幸之助・衆議院議員を除く4人が、県外移設の公約を撤回した。自民党県連も、県外移設から「辺野古を含むあらゆる可能性を排除しない」という方針に転換した。
中央政府のかかる強権的対応に対して、沖縄では激しい異議申し立てが行われている。12月28、29日に「琉球新報」と「沖縄テレビ放送」が行った緊急世論調査の結果が、沖縄の民意を反映している。
(a)米海兵隊普天間飛行場の問題の解決・・・・県外・国外移設、無条件閉鎖・撤去を73.5%が支持している。辺野古移設支持は、15.9%にすぎない(その他の県内移設を含めても22.6%)。
沖縄県民の7割以上が反対している状況での辺野古移設は、事実上不可能だ。中央政府が現在の移設計画を強行すると、流血の発生が予想される。
(b)知事の埋め立て承認を指示しない理由・・・・「新たな米軍基地を造るべきでないから」が最高(33.2%)。
伊佐浜、伊江島を始めとする沖縄の米軍基地は、民意に反し、「銃剣とブルドーザー」によって造られた。しかし、今回、中央政府はアメ(沖縄振興策という名のカネ、基地負担軽減という空手形)とムチ(普天間固定化という恫喝)により、県の有権者によって選出された知事、名護市長の了承を得る、という形を取り付け、「県民の民意を踏まえた」という擬制を整えて辺野古に巨大な軍事基地を建設しようとした。中央政府の目論見が成功すれば、県民の民意の承認を得ていない国際基準の民主主義原則に反する存在である、という主張が辺野古基地に関しては通らなくなる。この危機感が、新たな米軍基地建設に対する県民の強い反発を呼び起こした【注】。
(c)知事の説明・・・・「公約違反・公約違反と言われても仕方がない」72.4%。
知事の支持率が、過半数を大きく割り込んで38.7%となった(初めてのこと)。不支持率は、「支持しない・どちらかと言えば支持しない」53.9%。中井眞知事は、現在も県外移設を主張している、と釈明したが、もはや知事は「話者の誠実性」を喪失している。中井眞知事は、中央政府の許す範囲でしか自らの主張をしない、という日本への過剰同化を起こしている。ちなみに、知事に県外移設の公約を方針転換させた中央政府・自民党の姿勢に納得できないという回答は72.6%にも達した。知事に対する不支持率を18.7ポイントも上回る数字で、中央政府に対する県民の忌避反応の強さを示す。
【注】1月19日、辺野古移設に反対する現職市長が再選された。
記事「押しつけ、名護拒む 稲嶺氏「移設圧力に反発」 市長選現職再選」(朝日デジタル 2014年1月20日05時00分)
□佐藤優「沖縄をネズミと見なす中央政府への激しい異議 ~佐藤優の飛耳長目 91~」(「週刊金曜日」2014年1月17日号)
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