(1)若者の「安部崇拝」とでもいえる現象をどう理解するか。
2013年12月29日付け朝日新聞が報じた、年代ごとの自民党に対する「イメージ」調査の結果に手がかりがある。
(a)「安定」と「変革」の程度について、1を最も変革、6を最も安定として数字で表して(中間点が3.5)自民党に対するイメージを調べると、
①年代が若いほど、「変革」のイメージが強くなる。
②70歳以上では、変革と安定の中間点3.5よりわずかに「安定」寄りの3.51だが、
③年代が若くなるに従って「変革」の度が強まり、20代では、3.03まで上がる。
④昨年夏の参院選比例区で自民党に投票した20代は、2.92と特に高い。
(b)一方、もう一つのイメージ軸として、「左寄り」(最も左が1)か、「右寄り」(最も右が6)か、質問すると(中間点3.5)、
①どの年代でも「右寄り」と見ているが、
②70歳以上では、4.09とかなりの右翼だと見ているのに対して、
③20代では、3.61と、中間点に近いイメージを持っている。
(2)(1)の2つの軸による調査は、次の2つの政策軸による古賀茂明の分析を踏襲したもののようだ。
今後の日本政治の進路を議論する際に、最も重要な政策の軸が2つある。
(a)横軸・・・・<右方向>経済・社会政策の「改革」(民主導・既得権と闘う・バラマキ反対)vs.<左方向>「守旧」(官主導・既得権擁護・バラマキ志向)。
(b)縦軸・・・・<上方向>外交・安保政策のタカ派vs.<下方向>ハト派。
この2軸で測れば、政治家の立ち位置が明確化できる。
安部総理は、明らかに極度のタカ派であることに異存はあるまい(図の最上部)。一方、改革は叫んでいるが、実際の政策は守旧派寄りだから、左右で言えばほぼ中央だ。予算のバラマキには熱心だが、規制改革などの成長戦略はまったく実行できないのがその証左だ。つまり、タカ派の似非改革派だ。
(3)(1)の調査結果を(2)の政策軸に置き換えて見ると、20代の若者は、自民党をかなりの改革派で、ハト派ではないが、若干のタカ派(右上=第1象限)と見ている可能性が高い。
これまで、若者の「右傾化」と「安定志向ないし保守化」現象は、あちこちで指摘されてきた。安部自民党の勝因は、若者世論の右傾化と保守化の表れ、と見る向きもあったが、必ずしもそれは正しくはないのではないか。
(1)の調査では、愛国心教育について20代が最も消極的だった。命の危険があっても国のために戦う、と答えたのも、30代12%についで20代は12%という低い数字は、右傾化どころか、逆に平和志向が強いとも言える。
(4)その若者に安部首相支持が多いのは何故か。
若者たちは、安部自民党がタカ派で、実は守旧派であることに気づいていないからだ。
若者が、実は「改革志向で平和志向」なら、(2)の分類では右下の領域=第4象限の潜在的支持層だ。しかし、そこを代表する政党はない。
「安部の詐術」の虜になった若者を解放するには、真の「第4象限の党」の出現に期待するしかない。
【注】
記事「(20代はいま)保守化懸念、広く存在」(朝日デジタル 2013年12月28日22時34分)
記事「(20代はいま)保守化懸念、広く存在」(朝日デジタル 2013年12月28日21時59分)
記事「右傾化は際立たず 朝日新聞世論調査「20代はいま」」(朝日デジタル 2013年12月29日05時00分)
□古賀茂明「若者を虜にする「安部の詐術」 ~官々愕々第94回~」(「週刊現代」2014年1月15日・2月1日号)
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2013年12月29日付け朝日新聞が報じた、年代ごとの自民党に対する「イメージ」調査の結果に手がかりがある。
(a)「安定」と「変革」の程度について、1を最も変革、6を最も安定として数字で表して(中間点が3.5)自民党に対するイメージを調べると、
①年代が若いほど、「変革」のイメージが強くなる。
②70歳以上では、変革と安定の中間点3.5よりわずかに「安定」寄りの3.51だが、
③年代が若くなるに従って「変革」の度が強まり、20代では、3.03まで上がる。
④昨年夏の参院選比例区で自民党に投票した20代は、2.92と特に高い。
(b)一方、もう一つのイメージ軸として、「左寄り」(最も左が1)か、「右寄り」(最も右が6)か、質問すると(中間点3.5)、
①どの年代でも「右寄り」と見ているが、
②70歳以上では、4.09とかなりの右翼だと見ているのに対して、
③20代では、3.61と、中間点に近いイメージを持っている。
(2)(1)の2つの軸による調査は、次の2つの政策軸による古賀茂明の分析を踏襲したもののようだ。
今後の日本政治の進路を議論する際に、最も重要な政策の軸が2つある。
(a)横軸・・・・<右方向>経済・社会政策の「改革」(民主導・既得権と闘う・バラマキ反対)vs.<左方向>「守旧」(官主導・既得権擁護・バラマキ志向)。
(b)縦軸・・・・<上方向>外交・安保政策のタカ派vs.<下方向>ハト派。
この2軸で測れば、政治家の立ち位置が明確化できる。
安部総理は、明らかに極度のタカ派であることに異存はあるまい(図の最上部)。一方、改革は叫んでいるが、実際の政策は守旧派寄りだから、左右で言えばほぼ中央だ。予算のバラマキには熱心だが、規制改革などの成長戦略はまったく実行できないのがその証左だ。つまり、タカ派の似非改革派だ。
(3)(1)の調査結果を(2)の政策軸に置き換えて見ると、20代の若者は、自民党をかなりの改革派で、ハト派ではないが、若干のタカ派(右上=第1象限)と見ている可能性が高い。
これまで、若者の「右傾化」と「安定志向ないし保守化」現象は、あちこちで指摘されてきた。安部自民党の勝因は、若者世論の右傾化と保守化の表れ、と見る向きもあったが、必ずしもそれは正しくはないのではないか。
(1)の調査では、愛国心教育について20代が最も消極的だった。命の危険があっても国のために戦う、と答えたのも、30代12%についで20代は12%という低い数字は、右傾化どころか、逆に平和志向が強いとも言える。
(4)その若者に安部首相支持が多いのは何故か。
若者たちは、安部自民党がタカ派で、実は守旧派であることに気づいていないからだ。
若者が、実は「改革志向で平和志向」なら、(2)の分類では右下の領域=第4象限の潜在的支持層だ。しかし、そこを代表する政党はない。
「安部の詐術」の虜になった若者を解放するには、真の「第4象限の党」の出現に期待するしかない。
【注】
記事「(20代はいま)保守化懸念、広く存在」(朝日デジタル 2013年12月28日22時34分)
記事「(20代はいま)保守化懸念、広く存在」(朝日デジタル 2013年12月28日21時59分)
記事「右傾化は際立たず 朝日新聞世論調査「20代はいま」」(朝日デジタル 2013年12月29日05時00分)
□古賀茂明「若者を虜にする「安部の詐術」 ~官々愕々第94回~」(「週刊現代」2014年1月15日・2月1日号)
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