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2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~ 

2015年04月16日 | ●佐藤優
 (1)4月5日、那覇市内のホテルで、翁長雄志・沖縄県知事が菅義偉・官房長官と会見した。翌6日、「琉球新報」は一面トップで報じた。
 <米軍普天間飛行場移設問題に関し、菅氏は「辺野古移設を断念することは普天間の固定化にもつながる。(仲井真弘多前知事に)承認いただいた関係法令に基づき、辺野古埋め立てを粛々と進めている」と説明した。翁長氏は「『粛々』という言葉を何度も使う官房長官の姿が、米軍軍政下に『沖縄の自治は神話だ』と言った最高権力者キャラウェイ高等弁務官の姿と重なる。県民の怒りは増幅し、辺野古の新基地は絶対に建設することはできない」と強く批判した。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の阻止を公約した翁長氏が知事に就任した2014年12月以降、官房長官が翁長氏と会談したのは初めて。
 会談冒頭、菅氏が先に発言し、政府が取り組んできた基地負担軽減策や今後予定している経済振興策などを説明し「沖縄の皆さんと連携しながら信頼感を取り戻させていただきたい」と辺野古移設に理解を求めた。
 それに対し、翁長氏は沖縄の民意に触れ「私と前知事の政策の違いは埋め立て承認以外になく、埋め立て承認の審判が知事選の大きな争点だった。10万票差で私が当選したことは辺野古基地反対の県民の圧倒的な考えが示された」と説明した。
 日米安保体制の重要性は認識しているとした上で「基地建設のために土地を強制接収され、県民は大変な苦しみを今日まで与えられてきた。そして普天間飛行場は世界一危険になったから『危険性除去のために沖縄が負担しろ』と言う。(反対すると)『日本の安全保障はどう考えているんだ』と言う。こんな話が出ること自体、日本の政治の堕落ではないか」と批判した。
 さらに「(辺野古新基地)建設途中で頓挫することで起こり得る事態は全て政府の責任だ。辺野古(移設)ができなければ、官房長官もラムズフェルド元国防長官も世界一危険だと言う普天間飛行場が固定化されるのか聞かせてもらいたい」と突き付けた。>【注1】

 (2)菅長官は「沖縄の皆さんと連携しながら信頼感を取り戻させていただきたい」という。
 しかし、翁長知事は、菅長官を中心とする中央政府の沖縄に対する姿勢が信頼関係の構築とはほど遠い実態を手厳しく批判する。それとともに、「辺野古の新基地は絶対に建設することはできない」と決意を再確認した。

 (3)安倍政権の沖縄政策は植民地主義そのものだ。そのことを翁長知事は批判しているのだ。
 ここで鍵になるのが、「キャラウェイ高等弁務官の姿と重なる」という表現だ。・・・・沖縄以外のメディア以外は、この表現が持つ重みに気づいていない。
 高等弁務官(High Commissioner)とは、一般に宗主国が植民地に置いた行政最高責任者を意味する。米国は、1957年6月5日付けの大統領行政命令によって沖縄に係る高等弁務官制を設けた。それまで沖縄の民生長官は極東軍総司令官が兼ねていた(極東軍は廃止になった)。高等弁務官は国防長官が国務長官に諮り、大統領の承認を得て現役軍人から選任された。
 高等弁務官の権限は強大だった。高等弁務官の恣意的判断により琉球政府の裁判権を制限できるなど、絶対権力を持っていた。
   ・琉球政府の行政主席の任命権(1968年の主席公選実現まで)
   ・琉球上訴裁判所裁判官の任命権
   ・琉球政府裁判所に提起される訴訟で「米国の安全、財産又は利害に影響を及ぼすと認める場合」の米国政府裁判所への移送命令権限
   ・刑の執行の延期・減刑・赦免の権限
   ・琉球政府の立法に対する修正権や拒否権、法令の公布権
   ・琉球政府のすべての公務員に係る罷免権
 特にポール・ワイアット・キャラウェイ・第3代琉球列島高等弁務官(1961年2月~1964年7月)は、琉球政府をまったく信頼せず、直轄統治を強化しようとした。そうしなければ沖縄の米軍基地を維持できないと考えたからだ。キャラウェイ高等弁務官の強圧的な姿勢に沖縄の民意は激しく反発し、親米的だった保守勢力も分裂し、復帰運動が加速した。

 (4)安倍政権が、沖縄の民意を無視して、辺野古での新基地建設を「粛々と」進めていくならば、沖縄人の基本的人権を保全するために、沖縄は自己決定権の回復を志向することになる。
 <翁長氏は今回の会談に、挑発的とも取れる発言で政権に「石を投げる」思惑を込めた。会談用の原稿には「このまま政府が埋め立てを強行するなら、県は今後いかなる行政手続きにも応じられない、と申し上げる」という一文すらあった。
 ただ、ここにはペンで大きく「×」。翁長氏が冒頭発言で行政手続きに触れることはなく、政治的な議論に持ち込む策をとった。背景には、移設阻止に向けた戦略の変化がある。これまでの行政手続きによる対抗策が「やや無理筋になっている」(県幹部)という認識があるからだ。>【注2】
 ・・・・この記事を書いた記者は、翁長知事が投げた石が、
    米国の高等弁務官と
    東京の中央政府と
の類比であることに気付いていない。差別が構造化している場合、差別者は自らが差別者であることを意識していないのが通例だ。
 キャラウェイ高等弁務官の事例を想起させることによって、翁長知事は東京の中央政府とマスメディアに、沖縄差別を脱構築しなくては日本の国家統合が揺らぐ、というシグナルを発している。

 【注1】記事「「キャラウェイと重なる」 知事、弁務官例え批判 菅官房長官と初会談」(琉球新報 2015年4月6日)
 【注2】記事「攻めた翁長氏「政治の堕落ではないか」 菅長官と応酬」(朝日新聞デジタル 2015年4月6日)

□佐藤優「自治は神話だと言ったキャラウェイに重なる ~佐藤優の飛耳長目 第106回~」(「週刊金曜日」2015年4月10日号)
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 【参考】
【沖縄】辺野古対抗と「わが軍」 ~安倍政権の思考停止~
【沖縄】の今(2) ~日米同盟の再構築へ向けて~
【沖縄】の今(1) ~東アジアの中の琉球~

【詩歌】ボランティア ~傾聴~

2015年04月15日 | 詩歌

   傾聴といふボランティア
   あるを聞く
   貝のやうなる口思ひつつ
                  後藤進(岐阜市)
                  朝日歌壇 佐々木幸綱・選 第三席(2015年4月13日)

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     アリウム・ギガンチウム
   

【TPP】の最大の抵抗勢力 ~米国の議会と社会~

2015年04月15日 | 批評・思想
(承前)
 (10)「オリジナルTPP」が成立困難になった今、ゾンビTPPの合意をめざして昨年末から事務局会議、首席交渉官会議が開催されているが、日米間の合意は容易ではない。そして、日米間の完全合意の詳細が明らかにならないと、他の10か国は自分たちの交渉カードを切れない。
 かといって、TPP経済圏の7割とされる日米が合意さえすれば他の諸国は「長いものに巻かれる」わけでもない。参加国のすべてが自国にセンシティブな問題を抱えている。
  (a)農業・・・・カナダを筆頭に、オーストラリア、ニュージーランドなど米国の農業保護政策への反発は強い。逆に、10月の総選挙に直面し、抵抗するカナダをTPPから排除せよ、との米国側の主張も出てきた。
  (b)国営企業・・・・マレーシア、ベトナムだけでなく、シンガポール、ニュージーランドも問題がある。むしろ米国こそが、経営破綻のGMまたフレディマックやファニーメイといったサブライム住宅ローン関連支援など多額の公的融資や政府管理をしている、と索制する声も強い。
  (c)イスラム圏・・・・マレーシア、ブルネイなどは深刻な政治的緊張を抱えている。昨今の「イスラム国」情勢と空爆は、反米感情を高め、一方、ブルネイは厳格なイスラム刑法(シャリア法)を制定したため、同国をTPPから排除せよ、、との運動も米国では激しい。
  (d)米国の独善・・・・「TPP協定は米国の国内法・制度に影響を与えない」というアメリカ合衆国通商代表部(USTR)の議会への約束は、参加国を唖然とさせた。これまでの国際協定も、例えばウルグアイ・ラウンド協定も37州しかその効力を認めていない。米国は空前の好景気のはずだが、雇用に不安を抱える各州はむしろバイアメリカン法(米国製品を優先購入)を強化しようとしている。米国市場、特に政府調達市場が開放されなければ、マレーシアやベトナムなどはTPP参加の意味がない。

 (11)今春にTPP大枠合意が成立するかどうかは、議会が早期に貿易促進権限(TPA)をオバマ大統領に与えるか否かにかかっている。米大統領には貿易交渉権限がなく、便法として一時的に交渉権限を議会が大統領に付与するのがTPAだ。
 中間選挙に勝利した共和党は、次期大統領を身内から出したい。共和党が早期にTPAを成立させて、オバマ大統領にTPP、TIP(EUとの経済連携協定)、TiSA(サービス貿易協定)・・・・の3メガ貿易協定締結という米国史上最大の権限と栄誉を与えるとしたら、椿事だ。
 TPPには、大統領の与党民主党内に激しい抵抗がある。民主党の最大のサポーターである労働組合と環境保護団体が反対の急先鋒だ。TPPの前の、まずTPA成立に、そうした背景のある議員は反対する。今年の年頭議会演説で、オバマ大統領はついにTPPを口にしなかった。
 今、米国社会では、TPPの内容が次第に伝えられ、各地でTPP反対の嵐が巻き起こっている。
     ・FTAによる雇用喪失を忘れない労働組合
     ・環境劣化を恐れる環境保護団体
     ・遺伝子組み換え作物(GMO)反対の消費者運動
     ・国家主権に抵触するISDS条項や、州や地域の独自性を否定する国際協定に対する反発・・・・共和党では躍進著しいティーパーティ系が強く批判している。

 (12)これまでも通貨操作、特に円安誘導が日米間の貿易不均衡を生んだ、という批判は米国産業界には強かった。特にアベノミクスによる円安誘導が宣伝され、公式に日本政府が通貨操作を認めたことになり、今や米国自動車業界には日米自動車ギャップを通貨面で是正しようという気運が満ちている。
 米国が通貨操作条項をTPA付与の条件とし、TPP協定に盛り込もうとしていることを、日本側交渉団は日本国内にはひた隠しにしてきた。アベノミクスとTPPとの根本的矛盾が明らかになるからだ。しかし、ついに昨年10月のシドニー閣僚会合の際、ステイクホルダー・ブリーフィングで初めて日本の関係者が公式に認めた。
 通貨操作禁止は諸刃の剣で、日本の円安誘導を非難するなら、米国のQE2などの量的緩和も同じだ。また、それは貿易問題ではなく、財務省とG20の場で討議すべきというのが正論だ。
 しかし、米国議会は、通貨操作の証拠として継続的な貿易黒字や多額の外貨準備蓄積をあげている。どう定義すれば、米国に跳ね返らない形で日本の円安操作を批判できるか、シンクタンクやロビイストが理論化を進めている。
 通貨操作イシューは、さらに広がり先鋭化し、全米的・全産業的話題になりつつある。2月に入って、上下院でつぎつぎと通貨条項強制法案が超党派で提出された。

 (13)TPP交渉の実態把握が難しいのは、複数の関係者の証言がそれぞれ違うからだ。皆、ウソを言っているのではなく、そのようにUSTRと日本の交渉官から少しずつ違う話を伝えられているんどあ。
 USTRが①米国産業界と②議会、日本側が③官邸と④与党自民党と⑤産業界に、少しずつニュアンスの異なる話をしたり、一方にだけ情報を出し、そこで得た反応を次に伝えるなどして、全体を誘導している気配だ。

 (14)最大の問題は「承認」問題だ。
 TPAの下、12か国がTPP協定に署名しても、現実にその協定義務が履行され、その成果が明らか(<例>日本で米国車爆発的に売れる)でなければ、議会はその国の参加を認めず、その国への協定上の特別待遇を停止する。
 対象国が、障害となっている法律・制度・慣行を反省して改め、それを米国議会が「承認(certification)」して初めてTPPの利益を享受できることになる。
 TPPに関してISDS条項が憲法に抵触するとよく言われるが、この「承認」は明白に主権の侵害だ。
 オーストラリアは、すでにそれを迫られている。さらに、ラテン・アメリカ諸国では、米国に影響が出る法改正は法務大臣がワシントンに出向いて米国司法長官の承認を得、拒否されれば、再度本国の議会で修正案を出す、という。
 この「承認」問題を個別部会で米国側が持ち出してきていることは、昨年10月のシドニー会合で日本側交渉官から初めて言及があった。彼は、次のように言い添えた。「アメリカは必ずこの問題を閣僚会議でも主張してくる。しかし、それは協定交渉の出口、最終段階の問題だ。幸い、今はまだ入口で激しく議論していて、その段階ではない」

□首藤信彦(前衆議院議員)「ゾンビ化するTPPの脅威」(「世界」2015年4月号)
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 【参考】
【TPP】というゾンビに食い荒らされる日本
【TPP】というドラキュラの死とTPPのゾンビ化
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】「多古町旬の味産直センター」の試み ~農業経営の安定化~
【TPP】「限界農業」化の危機 ~農業の持続可能性~
【TPP】持続可能な農業を ~いま必要な政策~
【TPP】自民党の二枚舌、甘利大臣の無知
【TPP】国家主権の放棄 ~国民の知らないところで~
【TPP】条件闘争は不可、途中下車も不可 ~韓米FTA~
【TPP】1%の1%による1%のための協定 ~医療・食の安全~
【TPP】安部首相の二枚舌 ~信じがたい事態~
【TPP】医療制度崩壊を招くTPP参加
【TPP】その先にあるFTAAP ~国家ビジョンの不在~
【TPP】米国製薬会社の要求 ~日本医療制度の営利化~
【TPP】蚕食される医療保険制度 ~審査業務という盲点~
【経済】TPP>米韓FTAの「毒素条項」 ~情報を隠す政府~
【経済】TPPは寿命を縮める ~医療と食の安全~
【経済】中野剛志の、経産省は「経済安全保障省」たるべし ~TPP~
【経済】中野剛志『TPP亡国論』
【震災】原発>TPP亡者たちよ、今の日本に必要なのは放射能対策だ
【経済】TPPをめぐる構図は「輸出産業」対「広い分野の損失」
【経済】TPPで崩壊するのは製造業 ~政府の情報隠蔽~
【経済】中国がTPPに参加しない理由 ~ISD条項~
【社会保障】TPP参加で確実に生じる医療格差
【社会保障】「貧困大国アメリカ」の医療 ~自己破産原因の5割強が医療費~
【経済】TPPとウォール街デモとの関係 ~『貧困大国アメリカ』の著者は語る~
【経済】TPP賛成論vs.反対論 ~恐るべきISD条項~
【経済】米国は一方的に要求 ~TPP/FTA~
【経済】伊東光晴の、日本の選択 ~TPP批判~
【経済】伊東光晴の、TPP参加論批判
【経済】TPPはいまや時代遅れの輸出促進策 ~中国の動き方~
【震災】復興利権を狙う米国
【読書余滴】谷口誠の、米国のTPP戦略 ~その対抗策としての「東アジア共同体」構築~
【読書余滴】野口悠紀雄の、日本経済再生の方向づけ ~外資・外国人労働力・TPP・法人税減税~
【読書余滴】野口悠紀雄の、中国抜きのTPPは輸出産業にも問題 ~「超」整理日記No.541~

【詩歌】晩春 ~ハナズオウ~

2015年04月14日 | 詩歌
 江戸時代に中国から渡来したハナズオウ(花蘇芳、紫荊)。歳時記によれば晩春の花。
 2015年の春は、立夏(5月6日)の前日までで、残り1か月もない。

   いまはむかしのいろの蘇芳の花ざかり  飯田龍太

   ハナズオウ、米子市三本松にて。
      


【TPP】というゾンビに食い荒らされる日本

2015年04月14日 | 批評・思想
(承前)
 (5)TPPはしかし、死亡広告のないまま、墓から出て別な姿で徘徊している(TPPのゾンビ化)。
 ブランドとして確立したTPPの錦の御旗の下で、多国間交渉ではなく、米国必死の二国間交渉とテーマの各個撃破が急展開している。
 それはもはや「オリジナルTPP構想」とは無縁なものだ。米国との二国間の歴史的で特殊な経済・外交・地政学的関係を通じて、関税縮減、制度変更要求を多層的に積み重ね、貿易自由化らしき図式をもたらそうとするものだ(米国主導の「マルチ・二国間貿易協定」)。
 その結果、各国が容易に譲れない課題は「プチ聖域」として処理することになる。日本では聖域5品目死守の国会決議があるが、政府も「プチ聖域」確保で妥協しようとしているのではないか。与党自民党としても、外圧をある程度押し返したと業界に自慢できる。
 最近、西川公也・農水大臣へのTPP関係業界からの献金が表面化し、同大臣は辞任へ追い込まれたが、こういう状況に族議員は妙味を感じるのだ。妥協交渉の細かい数字争いにこそ、政治献金を生む金脈が埋まっている。

 (6)米国は、これまで「年次改革要望書」で日本政府に突きつけたテーマを、今やTPPの旗のもとで、日本収奪の二国間交渉に全力をあげている。
 安倍政権の米国依存傾向は、米国にとって好都合だ。
 それでも本当にTPP基本合意が成立するか否かは不透明だが、それが成立しなくても、すでに安倍政権は国内産業保護の防潮堤や橋頭堡を十分に開け放っている。
     ・米国の自動車産業が目の敵にする軽自動車の税金は上がった。
     ・郵政も米国企業に食い込まれた。
     ・2月には長く日本農業に君臨してきたJA全中の解体も決まった(「分割して収奪」する米国の対日戦略)。
     ・牛肉関税は現行の38.5%から9%まで劇的に減少することになった。
     ・豚の安価肉を対象とする関税おドラマチックに下げる予定だ(キロ482円から50円程度まで)。

 (7)「コメの関税死守」は抵抗のシンボルのようなもので、米国側は別に譲歩にこだわらない。高い輸入関税を残しても、資本・流通の自由化が劇的に進めば、グローバル企業の進出と全国展開で、いかようにも高関税の壁をすり抜けられる。
 さらに、米国の譲歩を引き出すために、日本側はコメの輸入特別枠5万トンを提供すると報道されている。米国が強欲に要求したのではなく、日本側からの「おもいやり」と配慮を米国が受けとめた、という形になる。
 政府は公式にはまだ否定しているが、情けないのはメディアの報道だ。新聞各紙はそれを「TPP交渉」と書いている。二国間だけで、強国の恫喝と卑屈な日本政府の擦り寄りが、なぜ新次元の多国間交渉“TPP”なのか?

 (8)今、抵抗勢力として浮上してきているのは、自動車分野と経済産業省だ。
 両者は当初は25%のトラック(ピックアップ・SUV)輸入関税撤廃を期待してTPP推進の急先鋒だった。しかし、米国は妥協せず、日本車への関税は「実質的に」「結果的に」死守する覚悟だ。
 さらに自動車部品の問題が浮上してきている。米国側は部品のサプライチェーンをターゲットにしている。米国は日本車の輸入阻止は困難と見て、完成車で競争するのではなく、対米輸出される日本車の部品を米国製品にしようとする。ピラミッドのような日本の自動車産業を支える中堅・中小企業を突き崩す戦略だ。

 (9)折しも、
     ①自動車のエアバッグ事件(タカタのリコール)
     ②ソニーピクチャーズの北挑戦指導者をコミカルに扱った映画の放映中止
という事件が起きた。
 ①は、事故発生後から米国運輸省と協議を続けていた同社が、急に議会公聴会に呼び出されてリコールを迫られた。そもそも部品メーカーが直接リコールを迫られること自体が不思議だ。自動車業界や経産省は、日本の自動車の安全基準の高さを盾に米国の圧力と闘っていたが、①は日本の自動車安全基準の主張に影を投げかけた。
 ②も、ハッカー問題がからみ、また、当初、映画館の放映中止に踏み切ったことはソニーが直接関係する問題とは言いがたかったが、なんとオバマ大統領は名指しでソニーの対応を批判した。
 ①、②は単に偶然の一致かもしれないが、結果的に日本が米国の圧力に抵抗する安全基準問題にも、激しい未来市場を争う知的財産権問題の交渉にも心理的影響を与えた。
 米国では、その経済力が衰えを見せ始めた1980年代ぐらいから、貿易はCIA、国防省、NSCなどが関係する問題になっている。「広場で叩いて、密室で妥協を迫る」のが、米国外交の常套手段だ。

□首藤信彦(前衆議院議員)「ゾンビ化するTPPの脅威」(「世界」2015年4月号)
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 【参考】
【TPP】というドラキュラの死とTPPのゾンビ化
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
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【経済】TPP賛成論vs.反対論 ~恐るべきISD条項~
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【経済】伊東光晴の、日本の選択 ~TPP批判~
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【TPP】というドラキュラの死とTPPのゾンビ化

2015年04月13日 | 批評・思想
 (1)環太平洋経済連携協定(TPP)は、
     その原型:2005年のP4協定(シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド)交渉開始から10年、
     2009年の米国による参加意思表明から6年近く、
ウルグアイ・ラウンドの7年(交渉長期化のシンボル)に近づきつつある。
 最終合意はおろか、その前提となる「大筋合意」に関しても・・・・昨年10月末のシドニー閣僚会合では「基本的要素」の合意すら成立しなかった。そこで表面化したのは、これまでTPP交渉の障害として指摘されてきた
     ・知的財産権(IP)
     ・国営企業(SOE)
     ・保険医療制度    
などの今日的問題ではなく、関税率引き下げ、原産地問題といった前世紀的世界に先祖返りしつつある状況だった。

 (2)(1)にもかかわらず日米両国がTPPにこだわるのは、次の理由からだ。
     ・オバマ政権には、8年間の政権の成果として歴史に残す実績が他にない。
     ・安倍政権にも、これ以外成長戦略の具体策がない。

 (3)最近では、米国の凋落が話題になる中、諸国の期待を6年間引っ張ってきた超大国のメンツ上、オバマ政権はどんな形でも「何らかの合意宣言」を作り上げる必要に迫られている。合意しない国を排除したり、合意した部分だけで協定案を作成するなどの噂が一部には流れている。
 しかし、そんな不完全な協定では、(年内に12か国のTPP合意形成が行われても)その成果がいつ出るかはわからない。最近の貿易協定の傾向として、交渉開始から署名まで時間がかかり、署名からその実施まではさらに長時間を要する。<例>米韓FTAは2007年署名から実施まで実に57か月を要した。
 TPPのように、貿易協定にとどまらず国内制度改革までテーマが拡散し、さらに知的財産権・サービス分野のように刻々と変化して再交渉を繰り返す分野の国際協定は、協定署名後も長期の紆余曲折が予想される。

 (4)TPPに対しては、パブリック・シチズン(国際的なNGO)やジェーン・ケルシー教授(ニュージーランド)などが国際的に警鐘を鳴らし、主として反グローバリズムの立場から一貫して反対を主張し続けた。
 彼らが採用したのは「ドラキュラ作戦」だ。
 「多国籍企業のショッピングリスト」と酷評される「TPPという筋の悪い政策」は、完全秘密交渉だから生き延びてきたのであって、ひとたび日の当たるところに出せば、誰でもその欠陥に愕然として反対にまわるだろう。だから、問題点を指摘し、反対をつづけ、交渉を長引かせれば、いずれTPPの害悪も露見し、朝日に当たって滅びるドラキュラと同じように崩壊する・・・・という戦略だ。
 現実は、その通りとなった。知財章や環境章などに係る度重なる交渉原案のウィキリースからのリークに、国際社会の識者をも呆れさせ、マレーシアなど発展途上国そして産業界からも、TPP自体に疑問の声があがるようになった。
 かくして、「オリジナルTPP構想」(21世紀の野心的貿易協定、関税の完全撤廃と各国の貿易制度改革)は、昨年中旬、ついに死んだのだ。

□首藤信彦(前衆議院議員)「ゾンビ化するTPPの脅威」(「世界」2015年4月号)
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【経済】中国がTPPに参加しない理由 ~ISD条項~
【社会保障】TPP参加で確実に生じる医療格差
【社会保障】「貧困大国アメリカ」の医療 ~自己破産原因の5割強が医療費~
【経済】TPPとウォール街デモとの関係 ~『貧困大国アメリカ』の著者は語る~
【経済】TPP賛成論vs.反対論 ~恐るべきISD条項~
【経済】米国は一方的に要求 ~TPP/FTA~
【経済】伊東光晴の、日本の選択 ~TPP批判~
【経済】伊東光晴の、TPP参加論批判
【経済】TPPはいまや時代遅れの輸出促進策 ~中国の動き方~
【震災】復興利権を狙う米国
【読書余滴】谷口誠の、米国のTPP戦略 ~その対抗策としての「東アジア共同体」構築~
【読書余滴】野口悠紀雄の、日本経済再生の方向づけ ~外資・外国人労働力・TPP・法人税減税~
【読書余滴】野口悠紀雄の、中国抜きのTPPは輸出産業にも問題 ~「超」整理日記No.541~


【詩歌】桜まつり ~八重桜~

2015年04月12日 | 詩歌
 2015年は4月3日(金)から始まった当地の桜まつり。本日、12日(日)で終わる。
 一重の桜は葉桜に移りつつあり、川には花筏。かたや、八重は盛りを迎えている。
 暖かな日で、 

   八重桜日輪すこしあつきかな  山口誓子

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   八重桜
   

【詩歌】季感について ~著莪の花~

2015年04月12日 | 詩歌

 水垢離の水流れくる著莪の花  飯田龍太

 射干(しゃが)、胡蝶花、金茎花、藪菖蒲・・・・いずれも著莪の花の別名で、夏の季語。掲句も、夏であってこそ爽快さを呼び、季感が生きてくる。春だと、水垢離するには水はまだ冷たく、陰々滅々の気配さえ漂いかねない。
 その著莪の花が、「呼吸器内科・小児科・アレルギー科医療法人社団 健クリニック」(米子市中町)の敷地に、早くも咲いていた。陰々滅々では気の毒だ。ひと足先に夏が来たと言うべきか。
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       著莪の花
   

【ピケティ】現象を生んだ思想の空白 ~「格差」と経済学のゆくえ~

2015年04月12日 | 心理
 (1)ブームの最上の定義は、すぐ過ぎ去ることだ。ピケティ現象もブームに過ぎなかったかのようだ。
 しかし、なぜフランスの経済学者トマ・ピケティがこのような学術書を世に問うたのか。
 『21世紀の資本』の中に、現在の経済学のありさまを辛辣に批判した箇所がある。
 <19世紀の経済学者たちは、経済分析の核心に分配の問題を据え、長期トレンドを研究しようとした点で大いに賞賛されるべきだ。かれらの答えは必ずしも満足いくものではなかったが、少なくとも正しい質問はしていた。成長がバランスのとれたものになるなどと考えるべき本質的な理由などない。格差の問題を経済分析の核心に戻して、19世紀に提起された問題を考え始める時期はとうに来ているのだ。あまりに長きにわたり、経済学者たちは富の分配を無視してきた。>

 (2)これだけ格差問題が叫ばれ、議論されているのに、経済学者という専門家集団内で「富の分配」に関心が向けられていないなんてことが、本当にあるのだろうか。
 たぶん、本当にあるのだ。
 <例>ノーベル経済学賞を受賞した高名なある経済学者は、ある時、「私の考えではもっとも有害なものは、分配の問題に焦点を当てることである」と断言した。
 主流派の経済学のなかで「格差の問題を経済分析の核心に戻す」のはそう容易なことではない。
 ピケティは主流派と呼べる経済学者ではない。

 (3)経済学者は「正しい問い」を設定できていないのではないか・・・・というピケティの指摘は、単に専門家集団内の言い争いとして片付けられない問題を孕んでいる。
 ジョン・メイナード・ケインズは、主著『雇用、利子および貨幣の一般理論』(1936年刊)の中で、こう言う。
 <経済学者や政治哲学者の思想は、それらが正しい場合も誤っている場合も、通常考えられている以上に強力である。実際、世界を支配しているのはまずこれ以外のものではない。誰の知的影響も受けていないと信じている実務家さえ、誰かしら過去の経済学者の奴隷であるのが通例である。虚空の声を聞く権力の座の狂人も、数年前のある学者先生から[自分に見合った]狂気を描き出している。>

 (4)ピケティが言うように、影響力のある経済学者の思想が「正しい問い」に目をつぶるようなものだとしたら、われわれもまた問題への核心へ迫るルートをあらかじめ塞がれている、ということになりかねない。
 主流派の経済学者ではないピケティが、経済学界ひいては言論界に多少なりとも揺さぶりをかけたことは、やはり注目に値する。
 彼が経済学に革新を起こせるか、どうか、ではない。
 時代を支配していた経済思想が大きく揺らぎ、空白地帯が生まれていることが、“ピケティ現象”によって露わになった・・・・そのことが重要なのだ。

□佐々木実「「格差の問題」と経済学のゆくえ 思想の空白が生んだ“ピケティ現象” ~佐々木実の経済私考~」(「週刊金曜日」2015年3月27日号)
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 【参考】
【ピケティ】の格差理論は日本でも当てはまるか(2) ~法人企業統計~
【ピケティ】の格差理論は日本でも当てはまるか ~GDP統計~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本には手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【ピケティ】なぜ米国で大きな反響を呼んだか ~世襲財産制批判~
【ピケティ】富裕層の地位は揺らぐことがない
【ピケティ】理論の本ではなく、歴史的事実の本
【ピケティ】の“capital”は「資本」ではなく「資産」 ~誤読の危険性~
【ピケティ】討論会「格差・税制・経済成長 『21世紀の資本』の射程を問う」
【ピケティ】をめぐる経済学論争 ~米英で沸騰中~
【ピケティ】格差を決める持ち家、社会は6対4で分断 ~日本~
【ピケティ】池上彰の3ポイントで解説 ~ そうだったのか!『21世紀の資本』~
【ピケティ】アベノミクス批判 ~金融緩和・消費税~
【ピケティ】シンプルで明快な主張 ~『21世紀の資本』~
【ピケティ】格差は止めなければ止まらない ~政治的無為への警告~
【ピケティ】総特集号(「現代思想」2015年1月増刊号)の目次
【ピケティ】『21世紀の資本』詳細目次
【ピケティ】に対するインタビュー ~失われた平等を求めて~
【ピケティ】勲章拒否の警告 ~再構築される「世襲的資本主義」~
【佐藤優】【ピケティ】はマルクスとは異質な発想 ~『21世紀の資本』~
【ピケティ】『21世紀の資本』に係る書評の幾つか
【ピケティ】は21世紀のマルクスか ~ピケティ現象を読み解く~
【ピケティ】資本主義の今後の見通し ~トマ・ピケティ(3)~
【ピケティ】現代経済学を刷新する巨大なインパクト ~トマ・ピケティ(2)~
【ピケティ】分析の特徴と主な考え ~トマ・ピケティ『21世紀の資本』~
【経済】累進資産課税が格差を解決する ~アベノミクス批判~
【経済】格差が広がると経済が成長しない ~株主資本主義の危険~
【経済】なぜ格差は拡大するか ~富の分配の歴史~


【詩歌】山吹伝説

2015年04月11日 | 詩歌

 七重八重花は咲けども山吹の
 実のひとつだに
 なきぞ悲しき
                    兼明親王(後拾遺和歌集)

   *

 太田道灌が父を尋ねて越生(おごせ)に来た。にわか雨に遭い、蓑を借りようと農家に立ち寄った。娘が顔を出した。そして、黙って一輪の山吹の花を差し出す。結局、蓑は借りられなかった。
 ムカッときた道灌は、後でこの顛末を家臣に話した。すると、解説してくれた。・・・・山間の茅葺きの家には「蓑(実の)ひとつさえ持ち合わせがない」。余りにも哀しい貧困の実態。そのことを山吹の花でもって、気持ちだけは優雅に奥ゆかしく暗示したのだ、「七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)一つだに なきぞ悲しき」。
 古歌を知らなかったことを恥じた道灌は、それ以後歌道に励み、歌人としても名高くなったという。

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  山吹
   

【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~

2015年04月11日 | ●佐藤優
 (1)ロシアが、対独戦勝70周年を利用し、ヨセフ・スターリンの再評価を始めている。2月5日、クリミア半島のヤルタ市にスターリンの銅像が設置された。
 <昨年3月にロシアが編入したウクライナ南部クリミア半島のヤルタで5日、旧ソ連の独裁者スターリンなどの銅像が設置された。第2次大戦末期の1945年2月にソ連が対日参戦する密約を米英と結んだヤルタ会談から70周年を迎え、舞台のリバディア宮殿前に置かれた。
 ただ、少数先住民族タタール系住民は設置に強く反発している。44年5月、ナチス・ドイツの「スパイ」のぬれぎぬを着せられ、スターリンによって約20万人がクリミアから追放された歴史があるためだ。>【注】

 (2)ソ連共産党第20回大会(1956年)で、フルシチョフ第一書記(当時)がスターリン批判の秘密演説を行った後、スターリンの銅像はソ連全土から撤去された。唯一、グルジアのゴリ市(スターリンの出生地)にだけ銅像が残った。
 今回ヤルタに設置されたのは、ヤルタ会談(1945年2月)で、一つのベンチにチャーチル英首相、ルーズベルト米大統領、スターリンが座っている像だ。チャーチルとルーズベルトを加えることで、
 「われわれは歴史的事実を銅像で示しただけで、スターリンを称賛しているわけではない」
とロシアが言い訳できるようにしているだ。

 (3)スターリンには二つの顔がある。
  (a)共産主義者・・・・スターリンは一国社会主義路線を推進したが、それは世界共産主義革命を行う拠点として、まずソ連国家を強化する必要がある、と考えていたからだ。ソ連崩壊後、共産党中央委員会の秘密文書が公表された。1991年8月(共産党守旧派のクーデターが失敗)まで、ソ連共産党国際部は、各国の共産党を通じて資本主義国家を転覆する陰謀を放棄していなかった。
  (b)帝国主義者・・・・ロシア民族主義とは異なる。スターリンはオセチア系グルジア人で、ロシア人の血は流れていない。ロシア語も流暢ではなかった。しかし、スターリンが独裁者としてソ連に君臨することができたのは、権力の中枢(ソ連共産党中央委員会)の掌握に成功したからだ。スターリンはイデオロギーよりも現実を重視した。

 (4)独ソ戦が始まったとき(1941年6月)に、スターリンは、これまでの
    「同志諸君」
という呼びかけを止め、
    「兄弟、姉妹のみなさん」
と語りかけた。これは、グルジア正教会やロシア正教会で神父が信者に説教するときの呼びかけだ。
 スターリンは、独ソ戦を
    「大祖国戦争」
と名づけた。ナポレオンのロシア侵攻(1812年)が「祖国戦争」と呼ばれていることを念頭に、「あのときよりも大きな危機が迫っている」と国民に訴えた。共産主義を嫌う人々も「祖国の危機だ」という認識で積極的に戦ったのだ。

 (5)プーチン大統領は、対独戦勝70周年を機に、スターリンの帝国主義を21世紀に甦らせようとしている。

 【注】記事「ヤルタにスターリン像=大戦末期の密約会談70年」(時事ドットコム 2015年2月6日)

□佐藤優「戦勝70周年で甦った「独裁者」 ~佐藤優の人間観察 第108回~」(「週刊現代」2015年4月18日号)
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 【参考】
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

【人】安倍首相とやしきたかじん“純愛妻”の共通点 ~百田尚樹~

2015年04月10日 | 批評・思想
 (1)安倍晋三と、やしきたかじんの問題妻さくらには、共通項がある。二人とも、百田尚樹に持ち上げられたことだ。

 (2)安倍晋三の父、晋太郎の異母弟、西村正雄・元日本興業銀行頭取は、
 「戦争を知る人間が、その体験を戦争を知らない世代に語り継ぐことが僕の人生の最後の役目です。戦争を知らない世代には、言うまでもないが僕の甥の安倍晋三も入っている」
 と松田賢弥に語った【松田賢弥『絶頂の一族』(講談社)】。 
 西村は、安倍が最初に首相になる直前の2006年8月1日に亡くなった。
 「晋三は、小泉(純一郎)総理の靖国神社参拝を巡り、(小泉総理と同様に)『心の問題だ』という理屈を持ち出しているが、靖国神社参拝は『心の問題』ではない。歴史的事実の問題だ。一銭五厘の赤紙(召集令状)一枚で強制的に徴兵されて戦士した兵士と、戦争を主導したA級戦犯の職業軍人らが合祀されている靖国神社への参拝が、アジアだけでなく国際的にも『心の問題だ』という方便は通用しないことが晋三には全くわかっていない」
 西村は、こうも指摘した。
 西村は佐高信への手紙で、安倍の周囲に「過去の戦争を肯定するなど歴史認識が欠如している」若手議員や調子がいいだけで無責任な学者や自称ジャーナリストしかいないことを強く憂えていた。
 西村が生きていたら、百田など一喝して遠ざけたに違いない。
 しかし、批判に過敏なボンボンの安倍晋三は、ヨイショする百田を重用し、NHKの経営委員にまでしてしまった。

 (3)百田尚樹『純愛』(幻冬舎)のウソを暴いた『百田尚樹「純愛」の真実』(宝島社)という快著がある。
 やしきたかじんの問題妻さくらが言うことだけを信じた『純愛』の矛盾を徹底的に解剖している。百田は、「あかるクラブ」への2億円の遺贈(たかじんが遺言書に記載)を放棄させようとする話合いの席に、さくらに同行した。・・・・作家というよりブローカーの行動だ。
 この席で問題妻は、遺贈金の受け皿として新しい財団法人を立ち上げる話を持ち出し、発起人に、
   安倍晋三・首相
   橋下徹・大阪市長
   安藤忠雄・建築家
   秋元康・作詞家
   星野仙一・元楽天イーグルス監督
   ビートたけし・コメディアン兼映画監督
   越智常雄・読売テレビ会長
   百田尚樹
 以上8人の名を挙げた。たかじんの仲間でもなるが、安倍晋三のサポーターでもある。
 さくらの言い分を全面的に取り入れた『純愛』で、たかじんの長女は一方的に悪者扱いされている。それを、売れる作家に極端に弱い文藝春秋、新潮社、講談社が後押しした。

 (4)百田は、メディア業界が長いわりに週刊誌や言論がどうおいうものかよく分かっていない。これまでのヘイト的な発言もそうだが、自分の言い分だけを掲載する媒体が正しく、少しでも批判的な、例えば長女やその関係者を取材しただけで気分を害している。自分たちの言い分だけを掲載した『週刊文春』と『FRIDAY』は合格だが、長女を取材した『週刊新潮』と『FLASH』はダメ。敵か味方かしか頭にない発想だ。【あるジャーナリスト、『百田尚樹「純愛」の真実』】
 これは、安倍とまったく同じだ。

□佐高信「百田尚樹に持ち上げられた安倍晋三と“純愛妻” ~佐高信の新・政経外科~」(「週刊金曜日」2015年3月27日号)
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【古賀茂明】役立たずの「情報監視審査会」 ~国民は知らぬがホトケ~

2015年04月10日 | 社会
 (1)ある国、ある時、ある人々の会話。
「総理、もし、その情報が間違っていたらどうするんですか」
「米国のCIAの情報だから大丈夫だろう」
「でも、万が一、後で間違いだとわかったら、大変なことになりあすよ」
「大丈夫だよ。これは特定秘密だからね。当分は開示されない」
「でも、国会の情報監視審査会で審査されたら、とても持たないですよ」
「大丈夫。国の安全保障に著しい支障を及ぼすと言えば、提示を拒否できるじゃないか」
「審査会が特定秘密の解除を勧告してくるかもしれません」
「それも大丈夫。その時のために、勧告には従わなくても良い、ということにしてあるんだ」

 (2)「情報監視審査会」とは何か。
 特定秘密に関する政府の運用状況を監視する国会の常設機関で、衆参両院に設置されることになっている。

 (3)2013年秋の臨時国会で特定秘密保護法が制定される際、大きな反対運動が展開され、国民の関心を集めた。
 その1年後、2014年12月、同法が施行される時、衆議院選挙の真っ最中ということもあって、マスコミの取り扱いも反対運動も盛り上がりに欠けたままだった。
 特定秘密保護法という法律それ自体にある問題点のほか、法施行に関する重大な欠陥があるのだが、あまり知られていない。
 同法施行直後には、「情報監視審査会」が設置されていて、各議院の所属議員が審査会の委員なり、その監視活動を始めていなければならなかった。
 ところが、衆参両院の「情報監視審査会」が初会合を開いたのは3月30日。・・・・「政府の恣意的な運用を防止するために、国会による監視が絶対に必要だ」とあれだけ大騒ぎしていたのに、4か月近くの間、どんどん指定されていた特定秘密が監視されないままだったのだ。
 マスコミも、チェック機能が弱いのがこの法律の問題点だ、と一貫して批判していたのに、何故かおとなしかった。

 (4)「情報監視審査会」は、国会が必要だと判断した特定秘密を国会に出せ、と要求できる。また、政府の運用が恣意的・不適切だと判断すれば、指定解除などを政府に勧告することもできる。
 スウェーデンのオンブズマンのように行政に厳しい機関のように見える・・・・が、まったく違う。なぜなら、
  (a)審査会の勧告に政府側が従う義務がない。
  (b)政府は国の安全保障に著しい支障を及ぼす情報の提示を拒否できる。・・・・政府のほうが国会より強い力を持っている。
  (c)監視審査会の構成メンバーは次のとおりだから、運営は与党ベースになる。
    ①衆議院側・・・・額賀福志郎・会長(自民党)、委員8人中与党が6人。
    ②参議院側・・・・金子原二郎・会長(自民党)、委員8人中与党が5人。

 (5)審査会では、これから具体的な審査ルールづくりを始める、と言う。
 どこまでも、「なくても全く困らない」と言っているようなのんびりした対応が続いている。

 (6)今後、国家安全保障会議で(1)のようなやりとりが行われ、日本が中東で戦争を始める日が近いかもしれない。
 しかも、国民には、それがまったく知らされないままで。

□古賀茂明「役立たずの「情報監視審査会」 ~官々愕々第150回~」(「週刊現代」2015年4月18日号)
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 【参考】
【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~
【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~
【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~
【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~
【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~
【古賀茂明】これが「美しい国」なのか ~安倍政権がめざすカジノ大国~
【古賀茂明】原発廃炉と新増設とはセット ~「重要なベースロード電源」論~
【古賀茂明】改革逆行国会 ~安倍政権の官僚優遇~
【古賀茂明】安部総理の「大嘘」の大罪 ~汚染水~
【古賀茂明】「政治とカネ」を監視するシステム ~マイナンバーの使い方~
【古賀茂明】南アとアパルトヘイト ~曽野綾子と産経新聞~
【古賀茂明】報道自粛に抗する声明
【古賀茂明】「戦争実現国会」への動き
【古賀茂明】日本人を見捨てた安倍首相 ~二つのウソ~
【古賀茂明】盗人猛々しい安倍政権とテレビ局
【古賀茂明】安倍政権が露骨な沖縄バッシングを行っている
【古賀茂明】官僚の暴走 ~経産省と防衛省~
【古賀茂明】安倍政権が、官僚主導によって再び動き出す
【古賀茂明】自民党の圧力文書 ~表現の自由を侵害~
【古賀茂明】自民党が犯した最大の罪 ~自民党若手政治家による自己批判~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走 ~傾向と対策~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走
【古賀茂明】文書通信交通滞在費と維新の法案
【古賀茂明】宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~原発再稼働~
【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で
【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権
【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り
【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~
【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~
【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~
【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器
【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ
【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~
【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~
【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~
【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~
【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~
古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ
【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」
【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~
【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任
【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造
【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~
【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~