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頭髪四色中を立て直した話8

2023-09-01 20:31:18 | 生活指導
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2023-09-01
頭髪四色中を立て直した話8
全校で6クラスしかない中学校で体育祭ができるのだろうか。
しかも、3年の授業と生活はほぼ正常に戻ったが、2年は授業もHRもメチャクチャだった。

前任校は時間も労力も膨大に使った。
組体操の途中で男子の腕が骨折すると、体育科が何もなかったように、
折れたか救急車呼べ代わり入れ、
と言い練習を続ける職場だった。

今度は9月末日のために、それほどとは思わない時間で練習した、気がする。
細かいことは記憶も記録もない。覚えているのは、
1 応援合戦がある。
2 昼食をはさんで午後まである。
3 種目はそれなりにけっこうある。
4 学年縦割りで2カラーで行う。
ことくらいだ。
前年度の体育祭がまともだったわけはない。
誰にも訊けなかった。

僕は苦手な応援合戦指導をした。誰も他にいないからだ。
団員は3年中心に2年生を入れて、10人か12人だった。
前年通りの人数だったのだろう。
毎日教室で練習して、シンプルに見栄えがして、短時間で終わるようにした。
やわらかい、チアダンの初歩のような演出で、けっこうきれいにまとまった。
2学年主任の剛腕で僕と同い年の男性が、ひと工夫を生徒に教えてくれた。
カラー席の生徒も少し使い、一体感を出した。

組体操の練習時間、体育科が指導するのをとなりで見て、補助に入った。
この練習は結構好きでうまくいくので、さり気なくあちこちの男子の手直しをした。

生徒は、皆、いつもとてもがんばった。
だらだらしたり、途中で帰っちゃったり、文句を言ったりすることは一度もなかった。
体育科の指導は……。行事の指導は、授業と同じなのだ。
一時一事。短い指示。見本。反復。激励。コツを教える。それができるかどうか。
名高いかっこいい人だったが授業もこんなふうなんだろうな、と想像した。

体育祭当日は、今40年近く経っても覚えがないくらい寒い日だった。
生徒の中には「寒くて、体育祭のことは何も覚えていない」という女子もいた。
競技は、皆、全力だった。
生徒が少なすぎて、選手以外の応援席はガラガラだったが、席にいる生徒は思い切り応援した。
応援合戦は明暗が別れた。
僕のカラーは、始め中終わりがくっきりして鮮やかだった。
隣のカラーは、何をやっているのかわからないまま終わった。
たぶん、生徒の主体性を尊重、して作ったのだろう。崩れる学校のパターンだ。

体育祭の結果は、僕のカラーの勝ちだった。

たった2カラーで、勝ちも負けもどうでもいい。
去年、授業も、宿泊キャンプも、行事も、遅刻欠席も、メチャクチャだったのだ。
修学旅行の終わりに、行事の成功を職員が感激して喜び合った。
だから、
「体育祭が、正常に成り立った」
ことだけで、奇跡的な大成功だ。
しかも、形だけできたどころか、生徒全員が全力を尽くした行事だった。
僕はとても感激した。
職員の喜びと達成感は、そこにある。

だから、職員室に戻ると、隣クラスの女性担任と、大成功を喜び合おうと待ち構えていた。
でも彼女は言った。
「悔しい。負けた」
顔つきが本気だった。
修学旅行の成功を忘れたのだろうか。
それで僕は「素晴らしい大成功の行事でしたね」と言うこともできなかった。

問題は、生徒がどうだったか、今年度を乗り切れるか、来年度にどうつながるかなんだ。
がっかりした。
そんな意識だから荒れ果てたんじゃないかとさえ思った。
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