日本は「ものづくり大国」と評されるほど
知恵と技術に長けた商品づくりを行っています。
一方、知恵と技術はどこに行ったの?
と呆れてしまうようなモノも巷に溢れています。
その原因は・・・後ほど書くとして、
私が呆れたモノを紹介したいと思います。
(私が呆れたモノその1)
マンションや大きな施設に設備されている“サイクルスタンド”です。
自転車の前輪をサイクルスタンドのタイヤを納めるところに入れることで
自転車が倒れず、きちんと等間隔に整理収納されるはずのものです。
1台置きに逆向きから入れられるようになっていて、
更に逆側は一段高くなっていて
ハンドルがぶつからないように設計されています。
ところが、間に逆向き自転車1台を挟んで、
隣り合わせて置けるはずの自転車のハンドルが
ぶつかって納まらないのです。
あと5センチずつタイヤを納める位置が広ければ
設計どおりに置けるのでしょうが、
結局2台置きじゃないと置けないような
設計になっているのです。
狭いスペースに置けるようにと設計したつもりなのでしょうが、
それならばタイヤを載せる位置を3段階にするなどして、
その幅で置けるようにしなければ、
本来置けるはずの自転車が置けません。
(私が呆れたモノその2)
これは、我が家の地震対策で大いに役立った“転倒防止突っ張り棒”です。
この突っ張り棒のおかげで、我が家の家具はどれも倒れることありませんでした。
この突っ張り棒も何社かの突っ張り棒を使ってみて、
良し悪しがあることがわかりました。
ちなみに我が家のお気に入りはこちらのメーカーです。
平安伸銅工業 ヘイアン 強力家具転倒防止ポール
一方ダメだったのはA社のもの。
ダメな理由はどこかといいますと、ネジの位置です。
突っ張り棒は、家具の後ろ(壁近く)に付けるのですが、
洋服ダンスのような奥行きのある家具の場合、
突っ張り棒のネジの位置がとても重要になります。
身長が2メーターぐらいあるような方なら大丈夫かも知れませんが、
そうでない場合、ネジの位置が少しでも高いところにあると
ギッチリ締め付けることができません。
椅子に上がっても両手が届くようでなければ
キッチリと設置することができません。
ちなみにキャタツなどをお持ちであれば問題ないかも知れません。
我が家には身長2メートルの人も、キャタツもなかったので、
ネジの位置がとても重要でした。
ふつうのご家庭でキャタツがある割合ってどのぐらいでしょうか?
キャタツがないと使えないようなものは、私はNGだと思います。
“サイクルスタンド” も “突っ張り棒”も、
商品が完成した場合に、
通常使用される状況で使ってみたのかどうか?
サイクルスタンドに1台だけとめてOKと思ったのでしょうか?
突っ張り棒も、背の高い男性が家具に取り付けて
OKと思ったのでしょうか?
昔・・・システムキッチンのデザインの場に男性しか居ない時代があり、
そうすると“流し”の高さが女性には高過ぎて使いづらいことがわかり、
その後デザインの場に女性が進出したと聞いたことがあります。
まさに、使う人の立場がどれだけ大事か?ということです。
ときどき、観光施設などのトイレに入ると、
ドアの内側にバッグを掛けるフックが付いているのですが、
まるで手が届かないような位置に付いていることがあります。
女性がこのトイレに入らなかったから気付かなかったんだろうなぁと
思います。
モノづくりの基本は、それを使う人にとって
どれだけ使い勝手が良いか?だと思うのです。
そこに“使う人”が存在しないで作られたモノには
欠陥品と言いたくなる様なモノが多いような気がします。
日本のモノづくりの技術を活かすためにも
実際に使われる場面をどれだけイメージできるか?
実際に使う人の声をどれだけ取り入れるか?
そこを忘れないで欲しいなと思います。