JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
岳南鉄道 吉原駅改称50周年記念入場券
平成18年1月に岳南鉄道(現・岳南電車)吉原駅で発行された、吉原駅改称50周年記念入場券です。
無地紋のB型券で、関東交通印刷で調製されたものと思われます。
同社の硬券は長らく、印刷会社名は不明ですが親会社である富士急行と同じ印刷場で調製されたものを使用していましたが、末期になると印刷場が閉鎖されたのでしょうか、関東交通印刷で調製されたものに替わってゆきました。入場券についても同様に切り替わってゆきましたが、様式は基本的に社紋の印刷された従来様式を踏襲しておりました。
裏面です。
発行駅名の印刷がありますが、社名についての記載はありません。
ここまでですと、何が「鈴川駅改称50周年記念」なのかと思ってしまいますが、「メイン」と思われるのはセットとなっていたもう1枚の入場券であったと思われます。
こちらが「メイン」と思しきもう1枚です。駅名は鈴川駅となっており、これは同駅改称前の駅名となります。
発行日は昭和31年1月14日であり、いかにも当時の入場券のように見えるレプリカ券です。
この頃の同社は富士急系列ではなく駿豆鉄道の系列会社であり、当時の乗車券類を見ると山口証券印刷で調製されたと思われるものが使用されていましたので、このレプリカ券もそれに準じたものとなっているようです。
鈴川駅が吉原駅に改称されたのは昭和31年4月10日ですので、記念券としては大変中途半端な日付設定ですが、この日付を印字しているダッチングに注目です。
ダッチングは字体から菅沼式で、最末尾には「ヨ」の文字がうっすらと印字されていることから、翌日扱いの「ヨ」を印字できることのできる時代の機種であると推測されます。
鈴川駅入場券の裏面です。
「復刻版」「岳南鉄道鈴川駅改称50周年記念」と印刷されています。
この部分を見て、初めてこれが何の記念入場券であるのかがわかるもので、記念券のセットものとしてはちょっと風変わりな気がします。