趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
東京急行電鉄 府立高等駅発行 青山師範駅ゆき乗車券
昭和18年7月に東京急行電鉄府立高等駅で発行された、青山師範駅ゆきの片道乗車券です。
桃色地紋のB型矢印式大人・小児用券です。地紋ははっきりしませんが、特に東急のものということではないようで、近年まで九州で使用されていたものによく似ています。
通用期間は発売日共2日間となっており、途中下車に関する記述はありません。
裏面です。
発行箇所名と券番のほか、循環番号(符号?)と思われる「(ぬ)」の文字が本片および小児断片の裏に印刷されています。
府立高等駅は昭和2年に柿ノ木坂駅として開業していますが、昭和6年に府立高等学校(後の東京都立大学。現・首都大学東京)が移転してきたことを受けて府立高等前駅と改称され、昭和8年に府立高等駅と再び改称されます。その後、この券が発行された4か月後の昭和18年12月1日に都立高校駅と再度改称されますが、昭和27年に都立大学駅に改称され、現在に至っています。
一方、着駅である青山師範駅は昭和2年に碑文谷駅として開業しますが、昭和11年に青山師範駅に改称され、この券が発行される6か月前の昭和18年2月1日には第一師範駅と再度改称されています。そして、都立大学駅と同じ昭和27年に学芸大学駅に改称され、現在に至っています。
ということは、この券が発行された時にはすでには青山師範駅は第一師範駅に改称されていたことになりますが、昭和18年といいますと戦局が激しくなってきて物資が不足してきている頃であり、また、年末には駅名改称が予定されていることから旧券がそのまま使用されていたのかもしれません。
現在では都立大学は八王子市へ、学芸大学は高等学校を残して小金井市へ移転してしまい、両駅ともに大学が存在しない大学駅となっており、みなとみらい線開業時や一昨年の東横線と東京メトロ副都心線との直通運転開始時などの節目ごとに駅名改称の議論が出ていましたが、結局は改称されないままとなっています。