JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
上野駅発行 80円区間ゆき片道乗車券
昭和52年5月のゴールデンウィークの混雑により、臨発された80円区間ゆき乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
現在ではSuica等のIC乗車券が主流となっていますので混雑したからと言って臨発が出ることはありませんが、当時は混雑によって券売機に長い行列が出来て収拾が付かなくなると、テーブルを出してきて硬券の手売りが行われることがありました。
この券はたまたまそのような場面に出くわしたために入手できたもので、上野駅では通常、硬券による近距離乗車券の発売は行われていませんでした。
券はあくまでも「非常用」として設備されており、特定の窓口に設備されているものではありませんでしたので、発行箇所名の頭には同駅の常備券にあるような窓口番号の記載がありません。
実際に使用していますので改札で鋏を入れられていますが、複数枚の乗車券をまとめて改札掛に差し出すと、軟券のように重ねて鋏を入れるのにかなりの力が必要となりますので、重ねられた券を扇のように開き、あろうことに短い辺に1枚づつ入鋏されてしまうことが多々ありました。
新幹線の中間改札で乗車券と特急券をまとめて差し出した際にも、このように鋏を入れられてしまうことがありました。そのためか、ヤフオクなどで新幹線の硬券の特急券を見ると、横に鋏を入れられているものをよく見かけます。
横の辺に鋏を入れられてしまうことは上の辺に鋏を入れられてしまうことよりも悲しい気持ちになったものですが、大量の乗車券に鋏を入れる改札掛にとっては硬券の存在そのものが鬱陶しいものであり、それが重ねられて差し出されればこのように鋏を入れたくなる気持ちもわかります。ましてや、首都圏の鋏は取っ手の先がくっ付いてカチカチ鳴るタイプですので、ここに手のひらの月丘部分を挟んだら血豆になってしまいます。
そのため、以後は複数人の場合でも各々が乗車券を持って改札を通り、下辺に入鋏されるように差し出すことを学習した次第です。