JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR九州 薩摩大口駅から190円区間ゆき片道乗車券
ちょうど30年前の昭和62(1987)年4月1日、多額の債務を抱えていた国鉄が6つの地域別「旅客鉄道会社」と1つの「貨物鉄道会社」に分割解体され、「民営化」して再スタートをしました。
あれから30年が経過し、6つの旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社はそれぞれ別の道を歩み、その中でも経営が困難とされた「3島会社」のひとつであるJR九州は昨年10月に見事上場し、新たな展開を見せています。
JR民営化初日の昭和62年4月1日にJR九州山野線薩摩大口駅で発行された、190円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ暫定地紋のB型大人・小児用金額式券で、門司印刷場で調製されたものです。当然ながらこの券が印刷されたのはJR民営化となる4月1日より以前の国鉄時代に印刷されたものであり、当時はまだJR乗車券類の地紋が制定されていなかったことから、国鉄時代の地紋を「暫定地紋」として翌年3月31日までの期限付きで使用することになっていましたが、JR各社の地紋が制定された後に欠札となった口座から新地紋に切替えられて行っています。
小児券です。やはり桃色こくてつ暫定地紋のB型小児専用金額式券で、門司印刷場で調製されたものです。
薩摩大口駅はかつて鹿児島県大口市現・伊佐)市にあったJR九州山野線の駅で、大きな木造の駅舎と2面3線と行止りの0番線と、吉松機関区薩摩大口機関支区が併設された比較的大きな、旧大口市の中心駅でした。
民営化直前の昭和62年1月には宮之城線が廃止されてしまって山野線だけが乗り入れる駅となってしまっていましたが、民営化から1年も経たないの昭和63年2月には山野線も廃止されてしまい、それに伴って廃駅となってしまっています。
民営化直前に宮之城線が廃止され、民営化1年も経たないうちに山野線までが廃止されたという事実は、国鉄民営化には厳しい現実があり、また、公共企業体から「民間会社」となったということは、イコール今まで以上に採算が重視されるということであるということを実感させられた出来事でもあったように思います。