神岡鉄道 神岡口駅発行 開業記念乗車券

1984(昭和59)年10月に神岡鉄道神岡口(後の神岡鉱山前)駅で発行された、同線開業記念乗車券です。


    神岡口駅から猪谷駅ゆき

    奥飛騨温泉口駅から猪谷駅ゆき

水色神岡鉄道自社地紋のA型相互式大人・小児用券で、日本交通印刷で調製されたものです。開業時に登場したKM-100型気動車がデザインされておりますが、どちらも同じイラストになっていて、開業記念の乗車券にしては「使い回し感」があります。


    神岡口駅から猪谷駅ゆき

    奥飛騨温泉口駅から猪谷駅ゆき

裏面です。どちらも神岡口駅で発売されておりましたので、発行駅名は神岡口駅になっていました。1枚ずつバラバラで発売されていましたので、同時に購入しても券番は異なっていました。金額の安い神岡口~猪谷の券よりも金額の高い奥飛騨温泉口~猪谷の券のほうが売れていたのは意外です。


同線は国鉄神岡線が特定地方交通線に指定されて廃止された後、岐阜県の第三セクターとして路線が継承されたもので、正式名称は神岡鉄道神岡線といいました。存続理由は、沿線にある神岡鉱山からの安定した硫酸輸送を確保するためで、全株式の51%については鉱山を所有する三井金属鉱業が所有していました。
営業キロは19.9kmの路線で、途中の神岡口(のちの神岡鉱山前)駅以外では列車交換ができず、2閉塞区間が連続してスタフ閉塞式になった路線になっていました。

国鉄から継承されて開業した時点で、神岡駅が奥飛騨温泉口駅に、飛騨船津駅が飛騨神岡駅に、西漆山駅が漆山駅にそれぞれ改称されたうえで開業していますが、同駅だけは神岡口駅として開業し、半年後の1985(昭和60)年4月に神岡鉱山前駅に改称されています。そのため、同社の神岡口駅は開業から6ヶ月間だけの期間しか存在していません。
神岡口駅は同線では唯一の駅員配置駅になっていましたが、配置されている駅員はスタフ交換のための運転要員しか配置されておらず、駅事務室と待合室が別棟になっており、乗車券発売の窓口はなく、券売機が置かれているのみでした。
開業時には駅舎横に本社事務所があり、定期券や回数券、記念乗車券などの乗車券類はこちらで発売されておりましたが、普通乗車券の発売は行われていませんでした。

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