JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR東海バス 大穴馬⇔白馬洞 縁起乗車券
日付の印字がありませんが、平成2年8月に越美北線九頭竜湖駅売店で購入したJR東海バス美濃白鳥営業所発行の、大穴馬⇔白馬洞間の乗車券です。
これは、美濃白鳥駅~九頭竜湖駅間を結んでいたJR東海バス大野線内にある大穴馬停留所と白馬洞停留所が縁起の良い名称であることから作成されたもので、桃色JRC地紋のB型硬券で、名古屋印刷場調製と思われます。
実際に乗車することは可能ですが、当該停留所間相互を利用する旅客は皆無に近く、また、区間内に乗車券発売所が無いことから、事実上記念券に近いものとなっていました。
JR東海バス大野線は国鉄時代、越美南線(現・長良川鉄道)と越美北線を結ぶために開業した先行路線で、将来的に「越美線」として両鉄道線が美濃太田駅から南福井駅まで一本で結ばれることを前提としての暫定的な路線でした。
しかし、越美南線は昭和62年に第三セクターの長良川鉄道に移管され、東海北陸自動車道が整備されると、公共交通機関として越美線の全線開業意義は薄れ、平成14年には大野線が廃止となり、以後壮大な「越美線構想」は事実上白紙状態になってしまっています。
発行箇所であった美濃白鳥自動車営業所は同年を以って廃止され、同社の一般路線は瀬戸支店のみになり、さらに平成21年には瀬戸支店管内の一般路線がすべて廃止され、JR東海バスは一般路線バス事業から全面撤退することとなります。
東京臨海高速鉄道 新木場駅発行 硬券入場券
昨年末に東京臨海高速りんかい線の新木場駅で発行された、硬券入場券です。
大人用と小児用の2種類があります。
同社では平成23年の秋ごろからJR管理駅である大崎駅を除く各駅で硬券入場券を発売していますが、なぜか売り切れる度に様式が変更となっています。
第1弾は自社地紋入りのB型大人・小児用が発売されていましたが、第2弾になってからは無地紋のA型券で、大人用および小児用がそれぞれ設備されました。
今回ご紹介のものは恐らく第3弾のもので、レイアウトは第2弾と同じA型の大人用および小児用ですが、自社地紋が追加されています。
しかし、券面を良く見ますと、あることに気づきます。
先ずは表面です。
今までは各駅用に駅名の印刷された券となっていましたが、第3弾では駅名記入式となっており、ゴム印で駅名が捺印されているために、大人用の表記が若干右上がりになっているのが分かります。面白いことに、他社の駅名記入式の入場券とは異なり、最後の「駅」の文字までがゴム印となっているのが特徴です。
そして、相変わらずですが、第2弾同様に小児用の「小」の影文字はゴム印で捺印されたものとなっており、大人専用券に小児料金が、小児専用券に大人料金が表記されているのも特徴です。
要するに、第1弾では大人・小児用券が各駅用1種類であったものが、第2弾では大人用と小児用の2種類となっていますが、小児用は予め「小」の文字を捺印するだけですので、結果的には各駅分が1種類づつであったことになります。第3弾に至っては、大人用・小児用はおろか、駅名までが記入式になっていますので、全社的に1種類しか存在しないことになります。
上から大人用・小児用の裏面です。
裏面には自動改札が使用できない旨と発行駅が表記されていますが、駅名記入式であるのですから、当然ながら発行駅名も記入式でなければなりません。
それぞれの発行駅名の部分を拡大してみました。どうやら、発行駅名の部分もゴム印で捺印されているようで位置が違っていますし、下の小児用のものは若干左側の印圧が強かったようで太くなっています。
やはり裏面も表面同様、「駅発行」の部分までもがゴム印となっており、そのために駅名部分と「駅発行」の部分の間隔があいてしまったりする事象を防ぐことができます。
ひたちふるさと号 急行券・指定席券
昭和55年12月に運転された、ひたちふるさと号の急行券・指定席券です。
常磐線の常陸多賀駅で発行された、緑色こくてつ地紋のA型券で、東京印刷場調製によるものです。
乗車日の捺印はされておりますが、ダッチングによる日付印字と座席指定の記入がなされていませんので、廃札券である可能性があります。
ひたちふるさと号は年末に下りのみ運転される臨時列車で、土浦~青森間を常磐線・東北本線経由で運転されていました。
当初は普通列車として登場していたようですが、途中で急行列車に格上げとなったようで、運転区間も上野発であったり、運転されない年もあったりと、その時々で違っていたようです。
そのような「超」不定期列車であったからか、この列車の指定席はマルス端末には収容されず、停車駅への割り当てで発売されていたようで、停車駅および近隣の旅行会社だけの限定発売でした。
(晩年はマルスへ収容されたようです。)
常陸多賀駅分も発行駅名および金額記入式の券が使用されており、売上計算の関係上、予め枚数を設定して乗車券簿に記入のうえ作成され、売れ残ったものは廃札券として処理されたものと思われます。
裏面です。
発行駅名が記入式の様子が分かります。憶測ですが、券番0608は同駅割り当て分が0601~8枚目ということだった可能性が考えられます。
上信電鉄 南蛇井駅発行 硬券入場券
正月三が日は干支の「蛇」に因んだきっぷとして、上信電鉄南蛇井(なんじゃい)駅発行の硬券入場券を御紹介いたします。
山口証券印刷調製のB型無地紋券です。同社の硬券入場券はすべて赤色印刷となっているのが特徴で、かつて国鉄(JR)の新幹線精算窓口で発売されていた赤刷券を彷彿させます。
裏面です。
発行駅名と券番が印刷されています。裏面は国鉄の赤刷券のようにすべて赤色で印刷されているものとはとは異なり、発行駅名と券番は通常の黒色印刷となっているのが特徴です。
かつての同社の硬券入場券は、途中の比較的小規模の駅分についてはさほどの需要が無いためか駅名記入式が使用されていましたが、昭和末期ごろより各駅に駅名の印刷された専用券が設備されており、蒐集家にとっては大変ありがたい存在です。
御紹介の駅名記入式券は様式が古いものですが、南蛇井駅もかつては駅名記入式の券が使用されており、現在は駅名の印刷されたものに切り替えられています。
律義に駅名までが赤色のスタンプで捺印されているところに好感が持てます。
吉井駅発行分ですが、現行様式の駅名記入式券です。
同社には印刷が間に合わない等の非常用として、現在でも存在しているのかは不明ですが、駅名記入式の券も設備されています。ただし、こちらはあくまでも非常用ですので必ずしもお目にかかれるというものではなく、出てきたときにはハッピー(?)ですが、その代わり、各駅コンプリートを目指す場合には後日再訪問をするか、高崎駅で購入する(※1)必要が出てきてしまうのが難点です。
(※1) 高崎駅の窓口では、有人駅全駅の硬券入場券を発売しています。
JR東日本 蛇田から大蛇ゆき乗車券
今年の干支であります「蛇(へび)」に因んだ乗車券を御紹介いたしましょう。
MV端末でセルフ発券された、仙石線蛇田から八戸線大蛇ゆきの片道乗車券です。
蛇田駅は宮城電気鉄道時代に開業した仙石線の駅で、昭和40年代に無人化されてしまっていますが、駅付近に大型ショッピングセンターが開業した関係でしょうか、民営化直後の昭和62年に再び駅員配置駅となっています。そして、平成23年3月11日に新しい現駅舎で営業を開始しましたが、不幸にも当日午後に発生した東日本大震災に遭い、大津波の影響で不通となるという経緯のある駅です。
大蛇駅は八戸線の駅で、単式ホーム一面一線の無人駅です。
乗車経路は、大蛇~仙石線~石巻~石巻線~小牛田~東北本線~盛岡~IGRいわて銀河鉄道~目時~青い森鉄道~八戸~八戸線~大蛇という3社連絡になっています。
意外にも「蛇」の付く駅名は多くなく、他に上信電鉄の南蛇井(なんじゃい)駅がありますが、こちらはJR線との連絡運輸を廃止してしまっていますので、発着ともに「蛇」の文字が付く乗車券はこれくらいしか思い当たりません。
東日本大震災発生から本年で3年目を迎えますが、被災地の復興状況は決して芳しいものではなく、依然として被災された方々の生活が脅かされている状況です。
せっかく自民党政権に戻ったのですから、政府には、是非とも今まで以上に復興事業に力を入れて頂きたいと思います。
東京メトロ 辰から巳(蛇)へ
あけましておめでとうございます。
本年も、拙ブログを御贔屓の程、よろしくお願い申しあげます。
さて、蛇年(巳年)であります本年最初に御紹介いたしますのは、東京メトロ有楽町線辰巳駅の話題です。
辰巳駅の券売機で発売された、同駅から160円区間ゆきの乗車券です。水色東京メトロ自社地紋のA型金額式券となっています。
辰巳駅は有楽町線の途中駅で、これといって大きなランドマークのあるわけではない地味な駅ですが、平成24年の干支であります辰(龍)と本年の干支であります巳(蛇)が順良く並んだ駅名として、この年末から密かなブームが起きています。
東京メトロ側も12年に1度の機会ですので、昨年12月26日から本年1月6日までの間、きっぷうりば横の壁に、このような記念撮影ボードが掲げられており、記念スタンプまで設備されています。
東京メトロホームページ
ホームページにありますように、スタンプを捺印するためのスタンプ用紙までが用意されています。(なくなり次第終了)
スタンプ用紙は名刺サイズのカードになっており、右半分が銀座線1000系電車の図柄のものが1種類です。左半分にスタンプを捺せるようになっており、赤い四角の記念スタンプを余白部分に捺します。
カードの裏面です。1000系電車の説明が書かれています。
同駅には券売機が2台と定期券発売機能付き券売機が1台ありますが、うち真ん中の1台が御紹介した様式の券で、
両端の券売機から出てくる券は若干フォントの細い様式のものが出てきます。
こちらがフォントの細い方の様式です。
人それぞれ好みはあるかと思いますが、私はフォントの太い方が好きです。
不定期ではありますが、皆様に忘れ去られないように記事の更新をして参りますので、本年も何卒よろしくお願いいたします。
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