趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
山形鉄道 宮内から160円区間ゆき金額式乗車券
平成元年2月に山形鉄道宮内駅で発行された、160円区間ゆき片道乗車券です。
桃色山形鉄道自社地紋のB型大人・小児用金額式券で、JR東日本の金額式券によく似た様式のオリジナル券です。
現在の同社の硬券乗車券は一般式券か両矢印式券のどちらかになっていますが、開業当初は金額式券も存在していました。
その後宮内駅の金額式券がいつごろまで設備されていたのかは不明ですが、平成2年に発券されたという情報は得ています。
同駅は平成10年に無人化され、平成22年に再び有人化された経緯がありますが、現在は硬券の発売は入場券のみで、乗車券は第1種出札補充券のみの扱いとなっています。
JR北海道 石狩沼田駅発行 秩父別ゆき片道乗車券
平成4年8月に石狩沼田駅で発行された、秩父別(ちっぷべつ)ゆきの片道乗車券です。
桃色JR北地紋のB型一般式大人・小児用券で、札幌印刷場で調製されたものです。
拙ブログ3月21日エントリーの「JR北海道 〇簡 石狩沼田駅発行 留萌ゆき片道乗車券」で申しましたように、同駅は窓口業務を簡易委託化したのち、JR化後に再度直営に戻している経緯がありますが、発行日が平成4年8月であることから、この券は直営に戻された期間中に発行されたものであることがわかります。そのため、発行箇所名の頭に「〇簡」の符号がありません。
北恵那鉄道 中津町駅発行田瀬ゆき往復乗車券
廃札券ですが、北恵那鉄道(現・北恵那交通)中津町駅で発行された、田瀬ゆきの往復乗車券です。
桃色GJRてつだうしゃう地紋のB型往復券で、同社が鉄道省に委託して調製された委託調弁券と思われます。
作成された時期の特定は残念ながらできませんが、昭和10年前後頃のものではないかと勝手に推測しています。
折り返し駅の田瀬駅は無人駅でしたが、廃線時には駅舎はありませんでしたが、駅の規模からかつては駅員が配置されていた駅であったと思われる駅です。
この券はどのような経緯で現在まで残されたのかわかりませんが、通用日が「3日」という中途半端な往復券で、当時の同社の往復券の通用日数が3日間というのが一般的であったのか気になるところです。
JR北海道 〇簡 竹浦駅から苫小牧ゆき 片道乗車券
日付が不鮮明ですが、平成3年8月に室蘭本線竹浦駅で発行された、苫小牧ゆきの片道乗車券です。
桃色JR北地紋のB型一般式簡易委託用大人専用券で、札幌印刷場で調製されたものです。
竹浦駅は敷生川上流の砂利場へ砂利専用線や北海道製鉄敷生鉱山専用線などの路線が分岐する駅でしたが、戦後専用線は廃止・撤去され、国鉄時代の昭和55年頃には簡易委託駅化され、平成19年になって簡易委託も解除され、現在は無人駅となっています。
この券は苫小牧ゆきの片道乗車券に往復印が捺印され、往復券として発行されたもので、復路用として苫小牧駅で入鋏を受けて使用されたものです。
まだ簡易委託駅が多く存在した当時は、受託者が少しでも乗車券を発売して委託料収入を得ようとした営業努力が各駅で行われ、一般式券や相互式券に往復印を捺印することによって往復乗車券の代用として発行された乗車券が散見されましたが、受託者の後継者不足やJR側からの委託解除などにより、このような乗車券も過去のものになりつつあります。
南阿蘇鉄道 高森駅発行瀬田ゆき連絡乗車券
平成28年熊本地震は大きな余震が長く続き、甚大な被害状況となっています。御被災者様には改めて心よりお見舞い申し上げます。
まだ先が見通せない被害状況ではありますが、いつまでも自粛していても始まりませんし、本日から熊本城のライトアップが再開され、先月からは自治体側も罹災証明を発行するなど復興への一歩を踏み出したとのことですのでブログの更新を再開することに致しました。
もし、御被災者様が御訪問されることによって少しでも気を紛らわせることができれば幸いです。
ありがたいことに、拙ブログの再開を喜んでくださる方がいらっしゃる半面、更新が自粛されたことや再開を快く思っていない方もいらっしゃるのは重々承知しています。そのような方に限って不思議なくらい毎回内容をチェックされていることも承知しています。中には血眼になって内容の不備な点を重箱の隅をつつくように探している暇な方もいらっしゃるわけですが、毎日1,800名近い方が訪問されていれば、その中には私のすることすべてが気にくわない方もいらっしゃるわけで、そのような方々は気にくわないブログを見ても時間の無駄ですし、健康にも悪い影響を及ぼしますからスルーして頂ければ良いかと思っています。管理人には万人受けするような内容を書くほどの文才はありませんし、研究者ではありませんから潤沢な資料と知識を持ち合わせているのではないのです。
中年きっぷバカの戯言として訪問頂ければと思います。
さて、今回御紹介いたしますのは、平成21年9月に南阿蘇鉄道高森駅で発行された、JR豊肥本線瀬田駅ゆきの連絡片道乗車券です。
青色南阿蘇鉄道自社地紋のA型一般式大人・小児用の軟券で、インクジェットプリンターで印字されたような券です。
同社では自社線用普通乗車券の発行は行っておらず、本社所在駅であり唯一の有人駅でもある同駅では、普通乗車券は連絡乗車券のみの発売で、JR立野駅から1駅目の瀬田駅ゆきの乗車券が最短区間のものになるようです。
社名は「南鉄」としか記載されており、「南阿蘇鉄道」の表記はありません。また、小児断線はありますが、断線脇の「小」の字は省略されています。
裏面です。
券番のみの印刷となっています。
当時、同駅にはダッチングの設備がありましたが、券紙が薄いためダッチングでの日付印字をすることができず、日付はスタンパーのみで行っているとのことでした。購入してから6年が経過しておりますので、同じ様式が継続して設備されているかどうかは不明です。
南阿蘇鉄道の地震による被災状況はあまり明確ではありませんが、情報によると鉄橋やトンネル設備の破損や軌道のたわみや土砂に埋まるなどの被害があり、復旧費用は30~50億円くらいになるとの報道があり、実際に復旧しても、全線復旧までには1年以上かかる見通しとのことです。
現在、同社では運転再開のための義援金を募集しています。懐事情から多額の捻出はできませんが、運転再開の願いを込めて、わずかながら送金させていただきました。大きなトレッスル橋や素朴な車窓風景など、同鉄道は魅力の多い貴重な鉄道資産です。風光明媚な南阿蘇鉄道にまた乗車できる日が来ますよう、1日でも早い運転再開を期待したいものです。
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