JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
〇T 鶴見駅発行 大川から140円区間ゆき片道乗車券
昭和59年6月に東海道本線鶴見駅の、鶴見線と東海道本線の乗換改札にあった「〇T」窓口で発行された、鶴見線大川駅から140円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
現在でもそうですが、鶴見線内の各駅は無人駅となっており、鶴見線から東海道本線に乗り換える際には中間改札を通るようになっていますが、当時は改札口の前に出札窓口があり、鶴見線各駅から無札で乗車した旅客はここで乗車駅からの乗車券を購入して乗り換えていました。
窓口には各駅発の乗車券が券箱に多数設備されており、常備券に無い駅へは駅名式の補充券や出札補充券が使用されていました。
御紹介の券は大川支線の大川駅からの乗車券で、当時は鶴見以遠へ乗車する際の最短の運賃が140円であったことから140円区間ゆきの券が設備されていました。
実態としては精算窓口で発売しているようなものなので改札補充券のようなものではありますが、国鉄部内では「鶴見線用の特殊金額式乗車券」と制定され、「〇T」鶴見駅発行限定である他、小児断片には「〇継 発駅 大人運賃」の順で記載することが決められていました。
東京印刷場では金額式の小児断片には「金 小児運賃」の記載をしていますが、特殊金額式乗車券の場合は発駅からの運賃を明確に区別するため、このような様式が決められていたようです。
裏面です。
鶴見線区間は乗車してから購入した乗車券となりますので、「鶴見線内使用ずみ」という文言が印刷されています。
京王帝都電鉄 分倍河原から120円区間ゆき片道乗車券
前回エントリーで分倍河原から80円区間ゆきの片道乗車券を御紹介いたしましたが、120円券も購入いたしておりましたので御紹介いたしましょう。
当日、120円区間ゆき券については欠札をしていたようで、拙ブログ2017年11月23日エントリーの「京王帝都電鉄 下北沢から90円区間ゆき改札補充券」で御紹介いたしました改札補充券(?)のような券の記入式版を使用した代用券での発売となっていました。
桃色けいおうていと自社地紋のA型記入金額式大人専用券で、こちらも千切り軟券式となっています。
発駅および金額は記入式となっており、ゴム印を捺印して対応してありました。発駅の下には「原券」金額欄が、金額の下には「領収額」を記入する欄があり、下北沢で使用されていた改札補充券のような券と同じ用途であるものと思われます。
再掲いたしますが、こちらが下北沢の改札補充券です。乗継割引の表記がありませんが、基本的な仕様は同一です。
どちらも右下に「(A旅)」という表記がありますが、これは発行した部署が当時検札や臨時改札を行っていた「旅客班」であることの略であるものと推測されます。
京王帝都電鉄 分倍河原から80円区間ゆき片道乗車券
拙ブログ2017年11月25日エントリーの「京王帝都電鉄 下北沢から90円区間ゆき片道乗車券」で同駅で発行された千切り軟券式の乗車券を御紹介いたしましたが、分倍河原駅でも同じような乗車券を購入しておりましたので、御紹介いたしましょう。
昭和58年12月に京王帝都電鉄(現・京王電鉄)分倍河原駅の国鉄南武線との乗換通路で臨発されていました80円区間ゆきの片道乗車券です。桃色けいおうていと自社地紋のA型金額式大人専用券で、千切り軟券式となっています。
同駅での臨発は、当時の分倍河原駅の京王線と南武線のホームが無改札の状態で繋がっていたことから、不正乗車が頻繁に行われていたことに対する特別改札であったようです。
階段を登り終わったところにテーブルを置いて乗車券を発売しており、通過する旅客の乗車券類を検札し、有効な乗車券を所持していない旅客に対して精算をしていました。
当日は京王八王子から明大前経由吉祥寺まで有効な乗車券を所持しておりましたが、乗車券を蒐集している旨を説明のうえ、コレクション用として購入しています。
小田急電鉄 鶴巻温泉から新宿ゆき片道乗車券
昭和61年10月に発行された、鶴巻温泉から新宿ゆきの片道乗車券です。
橙色PJRてつどう地紋のB型相互式大人・小児用券で、井口印刷で調製されたものと思われます。
同社の相互式券は「下車前途無効」の下(最下段)に発行駅名を表示するのが一般的ですが、この券には印刷されておらず、空白のバランスが悪いレイアウトになってしまっています。
裏面です。
裏面を見ると発行駅名が表面に印刷されていない理由が解ってくるのですが、この券は小田急電鉄の窓口発行ではなく、系列旅行代理店である小田急トラベルサービスで発行されており、表面では記載しきれなかったために裏面に回されたものと推測できます。
小田急トラベルサービス伊勢原営業所は橋上駅舎である伊勢原駅の南口側にあり、各種旅行商品の他にロマンスカーの特急券と乗車券も取り扱っておりますため、改札口を隔てて、南口には同店舗が、北口には電鉄直営の出札窓口がありますので、どちらでも特急券が購入できることになります。
この券は同駅から急行などの普通列車に乗車して本厚木から上り特急を利用する旅客用として設備されていたものと思われますが、往復印を捺印すれば新宿駅からの下り特急用の乗車券としても使用できる相互式となっており、当時の新宿から370円の運賃帯は一つ先の鶴巻温泉駅までであったことから「伊勢原⇔新宿」とせずに鶴巻温泉発とし、様々な場面で使用できるようにされているものと思われます。
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