JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
帝都高速度交通営団 外苑前駅発行 渋谷接続新玉川線経由東急線150円区間ゆき片道連絡乗車券
見本券ですが、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄/東京メトロ)外苑前駅で発行された、渋谷駅接続新玉川線経由東急線150円区間ゆきの片道連絡乗車券です。
青色JPRてつどう地紋のB型金額式大人・小児用券で、山口証券印刷系の帝都証券印刷で調製されたものと思われます。
この券には特段但し書きはありませんので、外苑前駅から銀座線で渋谷駅まで乗車し、渋谷駅で階段と通路を歩いて東急新玉川線(現・田園都市線)に乗り換える乗車経路の他に、途中の表参道駅で同じホームで乗換のできる半蔵門線に乗り換え、そのまま渋谷駅で乗り換えずに新玉川線に入る乗車経路の2通りのどちらでも有利用できたものと思われます。
東京急行電鉄(現・東急電鉄)では、渋谷駅からの新玉川線と東横線では最低運賃および運賃の組立体系が異なっておりましたため、この券はあくまでも新玉川線用として作成されています。
実際、渋谷駅から田園都市線方面の二子玉川駅以遠各駅までの運賃は、新玉川線経由と東横線経由では前者の方が割高となっており、着駅での混乱を防止するため「東急線150円区間」とはせず、敢えて「新玉川線経由東急線150円区間」と表記されています。
裏面です。
券番の他に発行駅名と循環番号の記載があります。
かつての外苑前駅は構内が大変狭く、改札口1か所に出口2か所という駅でした。そのため神宮外苑地区でのイベント開催時には人があふれ、混雑解消させるために券売機だけでなく窓口での硬券による乗車券の発売が行われておりました。
この券が実際に外苑前駅に設備されていたかどうかは不明ですが、同駅では混雑時以外でも窓口での硬券乗車券の発売が行われていましたので、この券は実際に設備されていた可能性が高いです。
JR九州 竜田口駅発行 南阿蘇鉄道中松ゆき片道連絡乗車券
平成4年1月にJR九州豊肥本線の竜田口駅で発行された、竜野駅接続南阿蘇鉄道中松駅ゆきの片道連絡乗車券です。
桃色JRK地紋のB型一般式大人・小児用券で、門司印刷場で調製されたものです。
経由欄には「南阿蘇鉄道経由」とのみ表記され、接続駅である立野駅記載がありませんが、南阿蘇鉄道への接続は立野駅しかありませんので問題はないと思います。
同区間は平成28年4月14日と16日に発生した熊本地震発生以来、途中の肥後大津駅から立野駅までの豊肥本線区間および立野駅から中松駅までの南阿蘇鉄道線区間が、土砂崩れによる線路や流出や、鉄橋やトンネル施設への被害によって運休状態が続いており、復旧の目途は立っていないようです。
平成28年7月には南阿蘇鉄道の中松駅から先の高森駅までの区間が運転再開となっていますが、JR豊肥本線との接続ができていない状況です。
京浜急行電鉄 京浜鶴見駅発行 八丁畷接続国鉄線小児60円区間ゆき連絡片道乗車券
前回エントリーで京浜急行電鉄京浜鶴見(現・京急鶴見)駅で発行された、八丁畷接続国鉄線120円区間ゆき連絡片道乗車券を御紹介いたしましましたが、同時に同区間の小児専用券も購入しておりましたので御紹介いたしましょう。
橙色PJRてつどう地紋のA型小児専用券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。
同区間は乗継割引が適用されている区間のため、大人・小児用券同様、運賃の前に四角で囲まれた「割引」の表記がある券となっています。
裏面は図示いたしませんが、券番と「発売当日限り有効 下車前途無効」の文言および発行駅名が記載されており、券番は前回エントリーの大人・小児用券が「0087」であったのに対し「0019」となっており、券売機でも対応している口座であったからでしょうか、発売実績は決して良くはなかったようです。
京浜急行電鉄 京浜鶴見駅発行 八丁畷接続国鉄線120円区間ゆき連絡片道乗車券
昭和62年5月、京浜急行電鉄京浜鶴見(現・京急鶴見)駅で発行された、八丁畷駅接続の国鉄線120円区間ゆき片道連絡乗車券です。
橙色PJRてつどう地紋のA型大人・小児用券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。
同区間は乗継割引が適用されている区間のため、運賃の前に四角で囲まれた「割引」の表記がある券で、当時の国鉄や他社でも採用されていましたが、A型券となっています。
京浜鶴見駅は国鉄(当時は鐵道省)の鶴見駅と少し離れており、京浜急行電鉄の前身である京浜電鉄は「本家」鶴見駅と区別するために頭に社名である「京浜」の文字を冠して京浜鶴見駅として開業していますが、この券が発行された半月後の昭和62年6月に京浜鶴見駅に改称されています。
八丁畷駅で乗り換える南武(支)線は昭和62年4月の国鉄民営化によってJR東日本に継承されていますが、この券は国鉄時代に設備されたと思われ、民営化後となっても「国鉄線」のまま継続して発売されていた残券になります。
裏面です。
いつごろから設備されていたかが不明ですが、同区間は券売機で発売されるものが殆どで、当時の出札窓口では硬券も日常的に発売されていたものの、券番0087はさほど需要があったとは言えません。
恐らく、昭和62年4月の民営化の際、2か月後に迫る駅名改称を見据え、「国鉄線」表記のまま、残券が引きつづき発売されていたものと思われます。
国吉駅発行 普通入場券
昭和61年3月に木原線(現・いすみ鉄道)国吉駅で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
同駅は木原線開業時の昭和初期に一般駅として開業していますが、昭和40年代後期に貨物営業が廃止され、さらに昭和50年代後期には小荷物営業までが廃止されてしまっています。
さらには、この券が発行された約1年後の昭和62年4月には国鉄民営化によってJR東日本の駅となりますが、そのまた1年後の昭和63年3月には木原線は廃線となり、第三セクターのいすみ鉄道に移管されて現在に至っています。
いすみ鉄道となった後の同駅は、古い駅舎が改築されて綺麗な駅になり、土曜休日には観光急行が長時間停車する観光駅「風そよぐ谷 国吉」駅としてたくさんのお客様で賑わう駅に変貌しています。
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