趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
東京急行電鉄 雪が谷大塚乗務区乗務員発行 車内補充券
購入年は失念してしまいましたが、管理人が会社業務の近距離出張の時に購入したので、平成2年から3年くらいの間であったと思います。
東京急行電鉄(現・東急電鉄)池上線の車内で購入した、雪が谷大塚乗務区乗務員発行の車内補充券です。
桃色PJRてつどう地紋の図補で、概算鋏でせん孔して発券するタイプになります。
当時何回か業務で同区間を利用していたのですが、あるとき車掌さんが他のお客様の乗車券の車内精算をしているのを見て、「次の機会」に挑戦したものです。
まだ自分は社会人になったばかりのころで、上司に同行での乗車でしたので、上司の話を聞いている「フリ」をして精算しているのを見つめていたものです。通勤電車の車内で車掌さんが概算鋏を使って車内補充券にパチパチ鋏を入れている姿は、きっぷ蒐集家としてはたまらないものでした。そして、やっと一人で行動することになったとき、わざと本来は110円である区間なのに最短の90円の乗車券を購入し、車内で20円を精算して購入したものです。
いまでは首都圏の大手私鉄各線では、東武鉄道を除いて車内精算はしていないようです。おそらくIC乗車券の発達と省力化といったところが理由でしょう。
京王電鉄 吉祥寺駅発行 新宿経由 吉祥寺駅ゆき 片道乗車券
2012(平成24)年5月に、京王電鉄井の頭線の吉祥寺駅で発行された、新宿駅接続のJR吉祥寺駅ゆきの片道連絡乗車券です。
鼠色KEIO自社地紋のノンカーボン式特別補充券での発行になります。
乗車経路は京王吉祥寺~(京王井の頭線)~明大前~(京王本線)~新宿~(JR中央線)~JR吉祥寺という一周の経路になります。
同社では新宿駅・吉祥寺駅・分倍河原駅・渋谷駅の各駅(高尾駅は廃止)でJR線との連絡運輸が行われていますが、接続駅毎に連絡対象駅(社線側の運賃設定駅)が定められており、すべての同社駅でJRの4駅での連絡運輸が行われている訳ではありません。
例えば井の頭線の管内発では神泉駅~東松原間各駅に限られるため、吉祥寺駅では発売できません。ただし、JR線側からですと、例えば山手線の恵比寿駅で渋谷駅接続の東松原駅までの連絡乗車券を購入して乗り越してしまえば、吉祥寺駅までの乗車は可能かと思われますが、特段意味はありません。
御紹介の券は、吉祥寺駅から当時は連絡運輸が取り扱われていました新宿駅を経由してJR吉祥寺駅までの乗車券になりますが、吉祥寺駅の券売機にはJR連絡乗車券口座に渋谷駅はあるものの新宿駅の設定が無いため、窓口での購入ということになりました。
裏面のご案内文です。京王の特別補充券は、かなり以前のご案内文が使用されています。
現在では連絡乗車券そのものの発売範囲が小さくなっており、駅によっては乗継割引設定区間など、連絡乗車券を発売しなければならない区間に限られている場合が多く、実際に新宿駅接続の連絡乗車券についても京王本線の初台駅~笹塚駅間の各駅に限られてしまっていることから、このような連絡乗車券の発売はなくなっています。
伊東駅発行 伊豆7号 急行券・指定席券
1977(昭和52)年8月に、伊東線伊東駅で発行された、急行伊豆7号用の急行券・指定席券です。
若草色こくてつ地紋のA型小児専用券で、区間常備式券になります。
急行券と座席指定券が1枚にまとまった一葉券で、国鉄部内では「急ザ」と呼ばれていました。
国鉄の急行列車は自由席が基本形態で、指定席というのはさらに座席が指定されたもので、編成の中でも連結されている両数が自由席車に比べて少ないのが一般的でしたから、需要の少ない小児用で発売されたものは、大抵大人・小児用券の断片を切断して発売されていましたが、駅によっては小児専用券が設備されていた所もありましたが、ごく少数でした。
裏面です。券番の他、発行駅名の記載があります。
御紹介の券は、管理人が小学生の頃の家族旅行の時のものだったと思います。
当時列車の手配をしてくれた父が、なぜ8月末の夏休み終盤の時期の家族旅行で、帰りの指定券を取らずに現地で取るといった暴挙に至ったのか、今では不明です。
ただそのおかげで、発行例としては大変少ない急ザの小児専用券を、手元に残すことができたことに感謝です。
江ノ島鎌倉観光 藤沢駅から100円区間ゆき 片道乗車券
1976(昭和51)年3月に、江ノ島鎌倉観光(現・江ノ島電鉄)の藤沢駅で発行された、同駅から100円区間ゆきの片道乗車券です。
若草色PJRてつどう地紋のB型金額式大人専用券で、山口交通印刷で調製されたものです。
裏面です。券番の他、循環番号が印刷されています。
同社では、現在では硬券乗車券は使用されていませんが、当時は有人駅各駅で硬券乗車券が発売されており、小児用としては専用の小児用券が設備されていました。
なお、江ノ島鎌倉観光は、1981(昭和56)年9月に江ノ島電鉄に商号変更されています。
横浜駅発行 横浜から10円区間ゆき 3等車用片道乗車券
1960(昭和35)年6月17日に、東海道本線横浜駅で発行された、同駅から30円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型地図式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
着駅は、東海道本線上り方面が新子安駅で下り方面が保土ケ谷駅まで、途中の東神奈川駅から分岐する横浜線が大口駅までになっています。
前回エントリーで御紹介いたしました券と発売額と等級および有効区間は同じですが、体裁が少々違います。
再掲いたしますが、こちらが前回御紹介いたしました券になります。
1枚目の券と2枚目の券を比べますと、1日に発行された券は、左上に裏面の注意書きを見るように促す「(裏面注意)」の文言がありますが、17日に発行された券にはそれがありません。
また、1日に発行された券は、右上に利用出来る等級と発売額を示す「3等10円」の表記がありますが、17日に発行された券には、発売額と等級を示すように「10円3等」の表記になっています。
17日に発行された券の裏面です。
券番および発行駅の他、「横浜から 表面太線区間内の1駅ゆき」「通用発売当日限り 下車前途無効」の文言があります。
1日に発行された券の裏面を再掲しました。17日に発行された券は券売機用と思われ、発行駅名の前に「◯自」の符号がありますが、1日に発行された券は窓口用と思われ、「◯自」の符号がありません。
それぞれ自動券売機用と窓口用の違いがありますが、裏面については然したる違いは無いようです。
しかも、循環番号はたまたま㉜(◯32)で同じです。
表面の表記の違いについてですが、当時の国鉄では、1958(昭和33)年9月24日に、国有鉄道公示第325号において、「3等◯◯円」と表示していた表示方法を「◯◯円3等」という表記に変更するという公示が行われ、翌月の10月1日に実施されていますが、御紹介の券2種類の違いはこの公示に基づいたものと思われます。
となると、1日に発行された券は公示が実施されてから1年8ヶ月が過ぎていますが、券の記載方法の違いだけであって効力に変更がないことと、窓口用であったため、券売機用券と違って発行枚数が少なかったことから、旧様式の券がそのまま使用されていた可能性があります。
次ページ » |