京都の北西、金閣寺の辺りの地区は、衣笠と呼ばれています。
その名の由来は、金閣寺の西にそびえる、衣笠山。
この衣笠山の麓をたどるように伸びる道があって、それを「きぬかけの路」といいます。
「きぬかけの路」沿いには、有名な寺院が点在し、観光にはもってこいの散策コースです。
金閣寺、等持院、龍安寺、仁和寺、といった具合。
「きぬかけ」というのは、衣掛山からきていて、この衣掛山というのは、衣笠山のことです。
衣掛山=衣笠山となったのは、一つの故事に由来します。
平安時代の初めのころ、宇多天皇がこの地を行幸されたときのことです。
それは真夏で、京都のことですから、さぞかし暑かったことでしょう。
その暑さがたまらなかったのか、天皇は、雪見がしたい、とおっしゃられたそうな。
しかし、当然真夏に雪など、どだい無理な話。
そこで、白い絹を衣笠山にかけさせた、ということです。
そこで、絹掛け山=衣掛山となったわけですね。
なかなか無茶な話だとは思うんですが。
宇多天皇は、藤原氏の勢力が強まる中、天皇自ら政治に腕を振るった方です。
それ故、その権力の大きさを示すこんな故事が生まれたのかもしれません。
もちろん、それだけではこの場所に故事が生まれることはなかったでしょう。
宇多天皇はこの地と深いかかわりを持っておられたのです。
というのも、仁和寺が宇多天皇の勅願で建てられたお寺なのです。
そもそも宇多天皇という諡号も、この辺りの地名、宇多野から取られているのです。
さて、ここ数日、京都は厳しい冷え込みに襲われております。
明日辺りは、衣笠山が本物の雪で覆われることにもなるかもしれません。
”あいらんど”