京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

あなたはコナン

2009-12-18 | インポート

 京都の北西、金閣寺の辺りの地区は、衣笠と呼ばれています。

 その名の由来は、金閣寺の西にそびえる、衣笠山。

 この衣笠山の麓をたどるように伸びる道があって、それを「きぬかけの路」といいます。

 「きぬかけの路」沿いには、有名な寺院が点在し、観光にはもってこいの散策コースです。

 金閣寺、等持院、龍安寺、仁和寺、といった具合。

 「きぬかけ」というのは、衣掛山からきていて、この衣掛山というのは、衣笠山のことです。

 衣掛山=衣笠山となったのは、一つの故事に由来します。

 平安時代の初めのころ、宇多天皇がこの地を行幸されたときのことです。

 それは真夏で、京都のことですから、さぞかし暑かったことでしょう。

 その暑さがたまらなかったのか、天皇は、雪見がしたい、とおっしゃられたそうな。

 しかし、当然真夏に雪など、どだい無理な話。

 そこで、白い絹を衣笠山にかけさせた、ということです。

 そこで、絹掛け山=衣掛山となったわけですね。

 なかなか無茶な話だとは思うんですが。

 宇多天皇は、藤原氏の勢力が強まる中、天皇自ら政治に腕を振るった方です。

 それ故、その権力の大きさを示すこんな故事が生まれたのかもしれません。

 もちろん、それだけではこの場所に故事が生まれることはなかったでしょう。

 宇多天皇はこの地と深いかかわりを持っておられたのです。

 というのも、仁和寺が宇多天皇の勅願で建てられたお寺なのです。

 そもそも宇多天皇という諡号も、この辺りの地名、宇多野から取られているのです。

 さて、ここ数日、京都は厳しい冷え込みに襲われております。

 明日辺りは、衣笠山が本物の雪で覆われることにもなるかもしれません。

”あいらんど”