眠る山にかへる雲あり南禅寺
この句は高浜虚子の作です。
有名なものではないですが、印象的な句です。
この句の季語は「眠る山」。
冬は山が眠るというのが、俳句の世界。
春は笑い、夏は滴り、秋は粧うというそうで。
なるほど、簡潔に四季それぞれの山の趣を表している言葉ではあります。
春、ぱっと笑顔になったように若葉が萌え出ます。
夏、滴らんばかりに色濃くなった緑は眩しいほどです。
秋、華やかな化粧をしたように、赤や黄色に色づきます。
そして冬、トーンを落とした山は、まるで眠るよう。
やがてまた春がやってきて……。
四季の巡りを感じさせてくれますね。
ここで言う山は、南禅寺の背後にそびえる東山連山のことでしょう。
京都の町から見れば、当然東の方角にあります。
東から西へと流れることが多い雲の動きを、見事に描ききった句だと思います。
それを寂しいと思うも良し、侘びがあると思うもよし。
俳句に詳しくない人でも、聞けば心が動かされますね。
こうした句の一つを知りながら歩くのと、そうでないのとでも、京都旅行の感興は変わってくるでしょう。
皆様も是非、一つ心に句を携えて、京都散策をしてみてはいかがでしょうか。
”あいらんど”