京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

四女・ハルル

2015-04-05 | 宿日記

当館のクリスタルで3月末から販売しております、ハルルです。
中村チーフの四姉妹の四女です。長女・夏実、次女・秋乃、三女・・・・は、ま、それはともかく、四女のハルルです。
オリーブオイルとバターで炒めた春キャベツとベーコンのパスタに、上にのってるバジルソースを絡めると、バジルの香りが華やかに広がります。
春のアスパラ、サーモンがトッピングされております。
是非、一度お試しあれ!



クリスタル


散りぬべき時知りてこそ

2015-04-05 | 京都案内

 TPPで著作権の保護期間が延びる可能性があるという。

 現在、日本では、著作者の没後50年間が保護期間だが、これが70年になる可能性が高いようだ。

 でも、今はまだ50年。

 そして、今年その節目を迎える大物に、江戸川乱歩と、谷崎潤一郎がいる。

 この二人の版権フリーは大きい。

 

 さて、江戸川乱歩は、京都とそう縁も深くないが、谷崎は縁が深い。

 何しろ、谷崎の墓は京都にある。

 東山、鹿ヶ谷の地にある、法然院が、その場所だ。

 参道を覆い尽くさんばかりに落ちた散り椿や、盛り砂の絵で有名なこの寺の墓地に、それはある。

 墓地と言うからには、たくさんの墓がある。

 その中から谷崎の墓を見つけるのは、この時期であればそう難しいことではない。

 寺自体が山腹にあるせいもあって、墓地は背の高い木々に囲まれ、鬱蒼としている。

 そこは濃緑色の世界だが、今の時期だけ、そこへ足を踏み入れれば、一点だけ、明るさを見いだせるだろう。

 薄紅色の花を湛えた枝を垂れ下げた桜が、一本だけ植えてあるのだ。

 その枝垂れた枝の下に、谷崎の墓はある。

 谷崎の墓には、今の時期に行くべきだ。 

 

 

     願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ

 

 平安末期・鎌倉初期の歌人、西行はそう詠んだ。

 そして、西行はその通りに死んだという。 

 旧暦でいえば、昨日は2月16日で、満月だった。

 桜も満開で、 なるほど、西行が死んだのもこんな夜だったのだろう。

 今日からはしばらく雨で、今年は昨日が最後の花見日和だっただろう。

 

 桜の木の下には屍体が埋まっていると書いたのは梶井基次郎だったか。

 西行は桜の下で死んだ。

 谷崎は、桜の下に眠っている。

 

”あいらんど”