当館より西北、徒歩約3分、寺町通丸太町を少し南に行くと「行願寺」(ぎょうがんじ)があります。
都七福神巡りの長寿・福徳を授ける「寿老人」をおまつりするとともに、「西国三十三所観音霊場第19番札所」でもあることから、多くの方が訪れています。
行願寺は一千年の歴史を持つ天台宗のお寺で、別名「革堂(こうどう)」とも呼ばれています。
行願寺を創建した行円上人は、俗人のころは狩猟を生業としていました。ある時、射止めた雌鹿から子鹿が生まれたのを見て、これまでの殺生を悔い仏門に入りました。
行円上人は、死んだ雌鹿の革(皮)にお経を記して常に身にまとい、人々の救済に尽くしていたことから、「皮聖」「皮聖人」と呼ばれ、そのころから行願寺を「革堂」と呼ぶようになったそうです。
行円上人が肌身離さずつけていたとされる雌鹿の革衣は、現在も行願寺の「宝物館」で大切に保管されています。
行願寺のある寺町通りは、近くに老舗のお茶屋さん(日本茶)やパン屋さん、骨董店が立ち並ぶ通りです。
行願寺をお参りした日は、穏やかな小春日和で、境内では数匹の「猫」が出迎えてくれ、中には人懐こい猫が足元にすり寄って来て、しばしの間、心を癒してくれました。
ちなみに、行願寺は、「西国三十三所観音霊場札所」で唯一の尼寺で、境内のあちこちに尼寺ならではの優しい心遣いが感じられるお寺です。
京都市内のある「西国三十三所観音霊場札所」は、この行願寺のほかに、
「醍醐寺」(伏見区)、「清水寺」(東山区)、「今熊野観音寺」(東山区)、「六波羅蜜寺」(東山区)、「六角堂」(中京区)の五寺があり、京都市内の西国三十三所めぐりをされる際は、交通の便利な当館をご利用ください。
小五郎