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アイヌ文化、動画で世界へ 国際映画祭最終選考作品に 「自然豊かな阿寒湖知って」

2020-12-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/03 19:01

ユーチューブで公開されている、阿寒湖温泉の冬景色とアイヌ文化の魅力を伝えるプロモーション動画
 【阿寒湖温泉】阿寒アイヌ工芸協同組合と釧路市が制作した阿寒湖温泉とアイヌ文化の魅力を紹介するプロモーション動画が、カナダの世界的なアウトドア映画祭「バンフ・マウンテン・フィルムフェスティバル」で上映され、最終選考作品に選ばれた。受賞は逃したものの、海外へ発信する機会となり、関係者から喜びの声が上がっている。
 動画は「The Fuchi~and the Winter~」で、長さは10分と1分の2種類。阿寒湖温泉の冬の雄大な景色とともに、阿寒湖アイヌコタンに住むフチ(おばあさん)の日川菊子さん(83)の日常を追いかけ、過去と現在のアイヌ民族の暮らしや、伝統歌を歌う姿などをドキュメンタリーで描いている。
 国のアイヌ政策推進交付金を活用して制作。米国の映像制作会社「CAMP4 COLLECTIVE」が撮影し、今年3月に完成した。市阿寒観光振興課によると、映画祭は10月31日から11月8日まで行われ、最終選考の75作品の一つに選ばれた。
 「CAMP4」がフェイスブックに8月に動画を公開すると、1カ月間の再生回数が約14万回に達したという。同組合の西田正男代表理事は「阿寒湖のアイヌ文化が世界に発信されうれしい。多くの人に知ってもらう機会になれば」と期待。同課は「冬の阿寒湖に足を運び、アイヌ文化を体験してほしい」とし、地元での上映も検討している。
 企画などを手がけたクリエーティブディレクター坂本大輔さん=東京在住=は「アイヌ民族と和人が共生する自然豊かな阿寒湖の魅力を世界中の人に知ってほしい」とコメントを出した。プロモーション動画は動画投稿サイト「ユーチューブ」の阿寒湖アイヌコタンチャンネルで公開している。(熊谷知喜)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/488057

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結婚相手を探すホタルが、最後の最後に選んだのは誰だったのか? アイヌと神々の物語、アイヌと神々の謡

2020-12-04 | アイヌ民族関連
山と渓谷 2020年12月04日
アイヌ語研究の第一人者、故・萱野茂氏が、祖母や村のフチから聞き集めたアイヌと神々の13の謡(うた)を収録した『アイヌと神々の謡』。ヤマケイ文庫『アイヌと神々の物語』の対となる名著です。北海道の白老町に「ウポポイ(民族共生象徴空間)」もオープンし、アイヌについて関心が高まる今、本書からおすすめの話をご紹介していきます。第10回は婿探しに飛び回るホタルの謡です。

※アイヌ語本文の次の行に、日本語訳を置いています(ただしアイヌ語本文と訳文とはその位置が必ずしも一致していません。訳すにあたって、日本語の言葉の流れをよくするため、3行から5行くらい先取り、あるいは後の行へ移した場合があります)。
ホタルの婿選び
トゥカナカナ チ・ムッカネ
 大きな体のわたくしは
トゥカナカナ アトゥイ・クルカ
 海の表の隅々(すみずみ)まで
トゥカナカナ エ・マッカクル
 強い光で照らしながら
トゥカナカナ アトゥイ・トモトゥイェ
 海の上を横切って
トゥカナカナ チ・ヤイ・コトムカプ
 自分に似合う婿(むこ)さんが
トゥカナカナ チ・フナラ・クス
 いないものかと探しに行った
トゥカナカナ パイェ・アシ・アワ
 しばらくの間飛んでいくと
トゥカナカナ ピリカ・オッカイポ
 いい若者が目に入った
トゥカナカナ チ・ヌカラ・コロカ
 だんだんと近づくと
トゥカナカナ ウトンナ・シコ
 そのお方は斜視(しゃし)であった
トゥカナカナ チ・エ・コパン・カラ
 それが嫌(いや)でわたくしは
トゥカナカナ オロワノ・スイ
 しばらくの間飛んでいき
トゥカナカナ チ・ムッカネ
 大きい体で飛んでいった
トゥカナカナ アトゥイ・ソ・クルカ
 海の表の隅々まで
トゥカナカナ エ・マッカクル
 強い光で照らしながら
トゥカナカナ パイェ・アシ・アイネ
 しばらくの間飛んでいくと
トゥカナカナ シネ・オッカイポ
 一人の若者に出会ったので
トゥカナカナ チ・ヌカラ・コロカ
 よくよく見るとそのお方は
トゥカナカナ コンカネ・シコ
 目の色が黄金色
トゥカナカナ チ・エ・コパンカラ
 それが嫌でわたくしは
トゥカナカナ オロワウン・スイ
 そのあとふたたび飛んでいくと
トゥカナカナ パイェ・アサイネ
 その次にまたわたくしは
トゥカナカナ ピリカ・オッカイポ
 いい若者に出会ったので
トゥカナカナ チ・ヌカラ・コロカ
 よくよく見るとそのお方は
トゥカナカナ シネ・レッ・トゥ・コロ
 顎(あご)の所に一本のひげ
トゥカナカナ チ・エ・コパンカラ
 それが嫌でわたくしは
トゥカナカナ オロワノ・スイ
 そのあとふたたび飛んでいき
トゥカナカナ チ・ムウッカネ
 大きい体のわたくしは
トゥカナカナ アトゥイ・クルカ
 強い光で海の表の
トゥカナカナ エ・マッカクル
 隅々まで照らしながら
トゥカナカナ パイェ・アサイネ
 海の向こうへ飛んでいき
トゥカナカナ ピリカ・オッカイポ
 しばらく行くといい若者に出会ったので
トゥカナカナ チ・ヌカラ・ルウェ
 よくよく見るとそのお方の
トゥカナカナ エネ・オカ・ヒ
 器量といえば
トゥカナカナ シキヒ・カ・ポロ
 体も大きく目も大きい
トゥカナカナ エトゥフ・カ・タンネ
 鼻だけ少し長いけれど
トゥカナカナ キワ・ネコロカ
 わたくしのようないい女に
トゥカナカナ チ・ヤイ・コトムカ
 似合いの男と思ったので
トゥカナカナ シリカプ・ネルウェ
 その若者をわたくしは
トゥカナカナ ネー・セコロ
 お婿さんに選んだので
トゥカナカナ ニンニンケッポ
 わたくしの夫はカジキマグロ
トゥカナカナ ハウェアン・シコロ
 強い魚がわたくしの婿だと
トゥカナカナ ネハウェウン
 一匹のホタルがいったそうだ
語り手 平取町去場 鍋沢ねぷき
(昭和44年2月19日採録)
解説
アイヌのカムイユカラ(神謡)の自由さ、奔放さがよく出ている作品です。ホタルが自分の婿さんを探しに海の上を飛び、海の隅々まで照らします。そして斜視の男(ヒラメ)、黄金色の目の男(サメ)、顎ひげの男(タラ)、そして最後に力持ちで器量のいいカジキマグロに出会い、彼を夫に選びます。
カジキマグロ以外は魚の名を出していませんが、マグロを強く印象づけるためでしょうか。小さいホタルと大きなカジキマグロ、この組み合わせは、まさにカムイユカラならではの世界です。このカムイユカラは、山にいるアイヌたちが魚の特徴を覚えるのにとてもいい作品です。
子どもの遊びの一つに、ホタルを貝がらに入れて糸をつけ、土に埋め、「エホクキロロ サンケサンケ、エホクキロロ サンケサンケ(お前の夫の力を出せ出せ、お前の夫の力を出せ出せ)」と言いながら、貝がらを引っぱる遊びがあるそうです。ホタルは小さい虫ですが、夫はカジキマグロ、その強い夫の力を出しなさいといっているのです。
この作品が土台になった遊びなのでしょう。この遊びについては、語り手の鍋沢ねぷきフチ(おばあさん)から聞いたものです。私自身は、そのような遊びをしたことがありません。海に近いアイヌの子どもの遊びであったのでしょう。
この作品のサケヘ(※トゥカナカナ)も、意味はありません。サケヘは、次の言葉が出てくるまでの間(ま)であり、聞き手はそこで考える余裕があるので、話の内容を覚えやすかったような気がします。
※本記事は『アイヌと神々の謡~カムイユカラと子守歌~』(山と溪谷社)からの抜粋です
『アイヌと神々の謡~カムイユカラと子守歌~』
著者が聞き集めた13のカムイユカラと子守歌を日本語とアイヌ語の併記でわかりやすく紹介。好評発売中のヤマケイ文庫『アイヌと神々の物語』の続編であり、完結編!
池澤夏樹氏、推薦!
著者:萱野 茂
発売日:2020年8月14日
価格:本体価格1100円(税別)
仕様:文庫488ページ
ISBNコード:978-4635048903
詳細URL:http://www.yamakei.co.jp/products/2820048900​.html
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=1276

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「日本には差別がある」ナイキ広告が炎上し世界に波及 本国アメリカではどう映った?

2020-12-04 | アイヌ民族関連
ヤフーニュース 12/3(木) 11:31 安部かすみ

日本のナイキが発信し炎上している、差別問題に関する広告「動かしつづける。自分を。未来を。The Future Isn't W
aiting」。本国アメリカでも波紋を呼んでいる。
「本国」と書いた理由は2つ。1つはナイキが米系企業であること。もう1つは、ブラック・ライヴズ・マター運動からもわかるように、「自由と平等の国アメリカ」にも実は400年以上にわたって残る根深い人種差別が、特に今年は世界中に知れ渡ることとなったからだ。
今回ナイキジャパンが発信した広告(下記)が炎上、ナイキ製品のボイコット運動にまで発展し、アメリカでも議論の対象になっていることを、アメリカ在住の筆者も米主要各紙から知った。
https://www.youtube.com/watch?v=G02u6sN_sRc&feature=emb_logo
アメリカの主要紙で報じられた記事(一部)
12月1日付、ワシントンポスト紙「Nike ad showing racial discrimination faced by Japanese girls provokes backlash」(日本の少女が直面している人種差別を表したナイキ広告が反発呼ぶ)
12月2日付、ロイター「Japan Nike ad on bullying, racism sparks hot online response」(いじめと人差別に関する日本のナイキ広告がネット上で大きな反響)
12月2日付、ニューヨークポスト紙「Nike faces backlash in Japan over ad that takes on racism」(差別に関する広告をめぐって日本のナイキに反発集まる)
このナイキジャパンの広告は、Twitterでは1500万回以上、上記YouTubeでは990万回以上視聴されている。またTwitterでは7万6000もの「いいね!」が付けられている。
11月27日に公開された直後は内容についてポジティブな反響が多かったが、30日以降になると広告メッセージに反発する否定的な意見が増え、YouTubeでも高評価の数と共に低評価の数が増えている。
上記ワシントンポスト紙は、炎上の背景として「日本の女子学生が直面している人種差別にスポットが当てられ、これらはスポーツを通じて克服できることが表現されたもの。だがこのような問題について積極的な議論をすることに慣れない国では、激しい反発を引き起こしている」と紹介した。
ロイターも「日本は伝統的に人種が単一であることを誇りにしてきた国だ。大坂なおみ選手のような成功した混血アスリートは、そんな中で難しい挑戦はあるけれど」としている。
加えてワシントンポスト紙は「日本が単一民族国家だという(一昔前の)神話(のようなもの)が国民のアイデンティティの一部にあり、そこから先住民族のアイヌの人々、そして韓国人、中国人、ミックスレースの日本人(ハーフ)、移民の人々に対する差別を助長している」と指摘。
ただし「差別を誇張しているのはナイキ側で、日本だけを(まるで差別国家のように)フォーカスするのは不公平」というソーシャルメディアで上がっている多くの人々の意見も補足で添えられた。
記事で紹介された肯定派の意見:
「このような広告ができるのは、日本に差別がある証拠」
「人種差別問題にこれほど公然と取り組んでいるコマーシャルを初めて見て鳥肌が立った」
「素晴らしい広告」「ナイキブランドを身に着けることを誇りに思う」
「好き嫌いがこれほど接戦していることから、この広告が制作されるべき(価値のある)ものだったことがわかる」
記事で紹介された否定派の意見:
「差別は日本だけでなく、すべての国にある」
「アメリカ、イギリス、フランスなどほかの国のバージョンも、当然制作していますよね?」
「まるで、このような差別が日本中どこにでもあるかのような内容で、ひどい」
「日本を責めて、そんなに楽しいですか?」
「ナイキ製品を二度と購入しない」
さらに否定派の意見として、「人種差別の少ない日本が舞台であることに違和感を感じる」という作家の坂東忠信氏のツイートや、「ナイキはウイグル人奴隷労働で、ペンス副大統領に『人権侵害を進んで無視』と名指しされた企業」という漫画家の清水ともみ氏のツイートも取り上げられた。
ちなみにナイキは本国アメリカでも、NFLクォーターバックのコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)元選手を起用した広告キャンペーンが大炎上したことがある。
アメリカ人は国歌斉唱中、愛国心を示すために必ず星条旗に向かって起立し、右手を胸に当てる。しかしキャパニック氏は2016年、人種差別問題に抗議するため、国歌斉唱中に起立を拒んで跪き、それを発端に差別抗議ムーヴメントが広がっていった。これを機にNFLは膝をつく行為を全面禁止にし、キャパニック選手はリーグで試合をする機会を失った。また国旗に向かって起立しないという行為は、トランプ大統領など保守派からも強い批判が起こり、アメリカ分断のトピックに至るまで議論が広がった。
そのキャパニック元選手を起用し炎上した問題のナイキ広告は、2019年の「Creative Arts Emmys」賞で優れた広告作品として受賞している。またナイキの売り上げ自体も伸びたことが報告されている。
今回の日本の騒動をニュースで知ったアメリカの人々はどう感じただろうか?
「ほかの国でも問題になっている人種差別問題を取り上げないのは不誠実だと思う。がんばれ日本」
「確かに日本にも問題はあるが、出身地アメリカや10年滞在歴のあるイギリスと比較しても、日本はかなり良い方だ」
「ナイキは痛いところを突いてきた。いいんじゃないかな!私はいろんな国に長い間住んできたが、自分たちの問題についてほとんど話さない社会は、隠していることも多いものだ」
「ナイキはマーケティングを通して、これまでも社会正義に関する障壁を打ち破ってきた」
「日本がいい国って言っても100%いいっていうことにはならない。差別は差別だ」
などさまざまな意見が飛び交っている。
この手の広告は、日本に対する愛国心があればあるほど、決して気持ちよく受け止められるものではない。一方でこのように日本はおろか国外でも炎上するほどの強力なメッセージ性があるものは、議論の対象となりやすく人々が考えるきっかけになるため、必ずしもマイナス印象だけとも言えないかもしれない。少なくとも「広告」としては、制作側の思惑通りなのではないだろうか。
あなたは、この広告を観てどう感じましたか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20201203-00210678/

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ナイキ動画、海外メディアが続々報じる。人種差別は「議論の習慣なく激しい論争に」

2020-12-04 | アイヌ民族関連
ハフポスト 2020/12/03 15:14
ナイキが11月末に公開した動画をめぐって論争が広がる中、海外メディアが続々とこの問題を報じている。「偏見を持っているのはナイキ」といったネット上のコメントや、ボイコットを呼びかける声などを紹介している。
デリケートな問題の議論「習慣がない」
BBCは「人種などのデリケートな問題をオープンに議論する習慣がない日本では、ナイキの広告は激しい議論を呼んだ。外国のブランドが介入すべきなのかという疑問も湧き上がっている」と掲載した。
「アジアの波に乗る 世界の新秩序の中でどう生き抜き繁栄するか」の著者スティーヴ・マクギネス氏のコメントも掲載。
「地域的な人種差別は、どんな文化でも繊細な話題だ。ナイキは、外国企業がその国の人種問題を指摘する立場にあると思うべきではない」
「ナイキは、多くの日本人が『立ち入り禁止』だと思っている場所に、露骨なスポットライトを当てた。これはナイキの大きなオウンゴールだ」
BBCは、ビジネスの視点からも言及。
人種差別に抗議するため、国歌斉唱の間にひざまずいた元NFL選手のコリン・キャパニック氏を起用したアメリカのナイキのキャンペーンで売り上げが増加した事例を挙げた。
「論争は必ずしも売上の減少につながるわけではなく、逆の効果をもたらす可能性がある」と報じている。
「偏見を持っているのはナイキ」
ロイター通信は、動画を批判するTwitterユーザーの声を取り上げた。
「今はクラスに1人や2人国籍の違う生徒はいる。仲良く通学している姿を毎日みる。偏見を持っているのはナイキ」「日本を責めるのは楽しいですか?」
ガーディアンは、テニスの大坂なおみ選手が世界を舞台に活躍する中で、「日本社会の一部で問題のある態度が明らかになった」と言及。
日清のアニメ広告の動画が、大坂選手の肌の色を白く描いたことや、お笑い芸人が大坂選手に必要なものを聞かれて「漂白剤。あの人日焼けしすぎやろ!」などと発言した問題に触れた。
ロイター通信は「日本は伝統的に、人種的に同質であることに誇りを持っているが、大坂なおみ選手のように様々な人種が混じる成功したアスリートは、そのイメージに挑戦している」と指摘している。
論争は、ある種の「啓示」
ワシントンポストは、「日本の少女たちが直面する差別を描いた広告が反発を引き起こしている」と題する記事を掲載。
「一部の日本人の国民的アイデンティティは、単一民族の国との神話に基づいている。これは、先住民族のアイヌの人々の阻害、朝鮮人や中国人、海外のルーツがある日本人や移民に対する差別をあおっている」と指摘する。
ナイキの動画への批判的なコメントとして、「人種差別の少ない日本を舞台とするCMに違和感と刷り込みを感じる」などのツイートを紹介。ナイキ製品のボイコットを呼びかける声も掲載した。
一方で同紙は、動画を前向きに受け止めるコメントも取り上げ、「ナイキを着用することへの誇りを示したり、ビデオへの反応が『この国に差別がある証拠』だとする意見もある」としている。
「議論が起こったということは、日本ではある種の『啓示』だった」と報じた。
どんな動画だった?
動画は、ナイキジャパンが11月末に公開した。
差別やいじめを受ける3人の10代の少女が、サッカーを通じてつながる。自信や楽しさを手に入れながら、悩みをそれぞれが乗り越えていくという内容だ。
動画には、在日コリアンとみられる生徒が朝鮮民族の民族衣装を着てうつむきながら街を歩くシーンや、肌の色が褐色の女子生徒が複数の生徒に囲まれて髪の毛をいじられる場面などがある。
(國崎万智・ハフポスト日本版)
https://news.goo.ne.jp/article/huffingtonpost/nation/huffingtonpost-5fc84533c5b602f56798d54a.html

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ナイキCMへ批判殺到の背景にある「崇高な日本人」史観

2020-12-04 | アイヌ民族関連
ヤフーニュース 12/3(木) 12:05
 ナイキジャパンが製作したPR動画、”動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn’t Waiting.”が、摩訶不思議な批判を受けている。
https://www.youtube.com/watch?v=G02u6sN_sRc&feature=emb_logo
 動画の再生回数は同社の公式ユーチューブサイトで約1000万回(20年12月3日現在)に迫るが、その中で日本人ユーザーのものと思われる批判コメントの殆どが所謂「ネット右翼」と呼ばれる層によるもので、「日本には人種差別は極めて少ない(よってこのCMはけしからん)」「日本に朝鮮人差別は無い、あったとしても理由があるから」「ナイキは反日企業だ、もう買わない」「朝鮮総連が日本人拉致に関与している事実をナイキは知っているのか」などと言ったコメントが多数を占めている。
 このPR動画には主に3人の少年少女が登場するが、その中の一人は在日コリアンとみられ、チマチョゴリ姿でうつむきながら街を歩く様子や、恐らくそのエスニシティが理由で学校で「いじめ」にあっているさまが描かれている。嫌韓・反在日コリアンを金科玉条とする日本のネット右翼は、おそらくこの部分の描写が特に気に食わなかったのだろう。要約すれば今次のナイキCMに対する彼らの反応は、
・日本には欧米のような人種差別問題は極めて少ないのに、ナイキのPR動画ではあたかも日本でも欧米同然の在日コリアンに対する人種差別が行われているような風潮を惹起させ、日本全体のイメージを貶めている
 というものである。筆者は約10年間に亘ってネット右翼を観察し続けてきた。そればかりではなく、ネット右翼の世界に身を置いて言論活動を行ってきた経歴がある。その私からして、彼らがなぜナイキのPR動画にここまでの拒否反応を示すのか、の理解は容易い。一言で言えば、日本人は欧米人とは違って、人種差別などを行わない崇高な民族である、という「崇高な日本人史観」が背景にあるからである。これはどういうことだろうか。
・「崇高な日本人」史観の嘘と、日本での人種差別の実例
日本の保守派、ネット右翼層にはびこる「凛として美しく」路線(フォトAC)*写真はイメージで本文とは関係ありません
 まず、ナイキのPR動画に寄せられた否定的なコメントの中にある、上記の、日本では欧米のような人種差別問題は極めて少ない~というのはまったく事実ではない。2002年頃から勃興したネット右翼の中でも、街頭に出てデモ活動や示威行為等を行う行動派を「行動する保守」と分類するが、この行動する保守の筆頭格が、『在日特権を許さない市民の会』(以下在特会)である。
 在特会は2006年に公式に設立され、初代会長は桜井誠氏であった。在特会は関連団体等と共に関東や関西の韓国・朝鮮関連施設に押し掛け、ヘイトスピーチを行うことにより多数の逮捕者を出し、民事的不法行為を犯した。まさに公然と日本に居住する他民族を貶め、差別し続けてきたのが彼らなのである。特記すべき有名な事件は以下のふたつである。
1)京都朝鮮学校襲撃事件(2009年)
京都市南区の京都朝鮮第一初級学校に在特会メンバーらが押しかけ、「朝鮮学校を日本からたたき出せ」「スパイの子ども」などと絶叫し、事実上同校を襲撃した事件。当時校舎には100名を超える児童がいた。2013年には京都地裁がこの襲撃事件を「人種差別」と認定し、在特会側に約1200万の賠償命令を出した(確定)。またこの襲撃事件に関与した人員4人らは侮辱罪・威力業務妨害罪・器物損壊罪等で逮捕等され、有罪判決が出た。
2)李信恵氏中傷事件(2017年)
在日コリアンでライターの李信恵氏に対し、在特会関係者が「不逞(ふてい)鮮人」などの人種差別を繰り返したとして、2017年に最高裁が在特会側に約77万円の賠償命令を出して二審の高裁判決を支持し、判決が確定した。ヘイトスピーチをめぐる個人賠償では初めての画期的判例が確立された。
 このほかにも、在特会を筆頭とした大小の「行動する保守」のグループが、東京・新大久保や神奈川県・川崎市、大阪・鶴橋などで「朝鮮人を叩き出せ!」「いい朝鮮人も、悪い朝鮮人も、みんな殺せ!」
(*本稿中では、ヘイトスピーチやヘイトクライム根絶への願いから、文中に事実通りの差別的文言を引用しております)
 などの数多のデモ行為、街宣活動を繰り返してきたことは紛れもない事実で、日本では欧米のような人種差別問題は極めて少ない~などというナイキPR動画への反論は重ね重ねまったく事実ではないことがわかる。
 こういった国内の深刻な状況から、2016年に所謂”ヘイト規制法(ヘイトスピーチ解消法)”「正式名:本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が成立されたことは記憶に新しい。日本に人種差別問題がないのなら、ヘイト規制法など立法しなくても良いはずだが、現実にはその逆の事が進行しているから同法が立法されたのである。そして前述したとおり、日本における在日コリアン差別の前衛となった在特会会長の桜井誠氏は、同会から独立する形でその後『日本第一党』を結成し、その党首に就任。2020年東京都知事選挙に党首自らが出馬し、落選したものの都内で約18万票を獲得した。
 むろん、同知事選挙で桜井誠氏に投票したすべての有権者が桜井氏の過去における人種差別に賛同していたわけではないだろうが、その多くが桜井氏への同調票であると考えるのが自然である。「朝鮮人を叩き出せ!」と絶叫していた党首に、東京都という日本総人口の1割に過ぎない地域を例にしても、約18万人の支持者が存在するという事自体、如何に日本で人種差別が激しく、またそれは「日本には欧米のような人種差別問題は極めて少ない~」という言説が如何に虚偽であるかを物語っている。
・「崇高な日本人」史観とは何か?
 さて、このような事実を例示しても、なおもって彼らが「日本には欧米のような人種差別問題は極めて少ない~」と言い張るのは何故か。ひとつは、「愛国無罪」の原則がある。要するに、韓国や朝鮮は反日行為をしているのであるから、それに対抗するのは差別ではない―という論調である。もし仮に、百歩譲って韓国政府や北朝鮮が所謂「反日」行為なるものをおこなっていたとしても、それは相手の政府の方針であり、日本に居住している個人の在日コリアンを差別・迫害してよい理屈にはまったくならないのは自明である。
 もうひとつは、これこそ本稿の主眼であるが、「崇高な日本人」史観の存在である。要するに、日本民族は世界一道徳的で礼儀正しく、よって不道徳な行いや野蛮を行わない。つまり、多民族への差別などやったことは無い―とする世界観である。これはネット右翼が依拠する日本の保守界隈でも根強く信奉されている価値観で、私はこれを「凛として美しく」路線とも呼んでいる。
 つまり日本人は崇高で美しいから、略奪・強姦・差別その他の不道徳行為を現在でも過去にでも一切やってこなかったとする史観で、実はこれが日本の保守派に代表される「南京大虐殺否定」「従軍慰安婦否定」論にダイレクトに結びついている。
1)現在でも、過去においても、日本人は崇高で道徳的で美しいので、中国人(当時の中国国民党軍・民)を野放図に虐殺することなどありえない事である(南京事件否定)
2)現在でも、過去においても、日本人は崇高で道徳的で美しいので、欲望をむき出しにした戦時性暴力など行う訳はないのである(慰安婦否定)
 このような論がこの国の保守、ネット右翼界隈では「常識」になっているが、すべての根源は「崇高な日本人」史観の存在だ。南京事件に関しては、中国側犠牲者数の算定数に開きはあるものの、秦郁彦氏ら実証史学者の研究によって虐殺自体は存在したことが史学界の定説になっている。そして従軍慰安婦については議論の余地なく、戦中に彼女らを日本軍が管理し、あるいは彼女らの意に反して売春に従事させ苦痛を味あわせたことは、日本政府が河野談話(1993年)で事実を認め謝罪して以来、歴代内閣が踏襲している歴史的立場である。「崇高な日本人」史観とは、まったく砂上の楼閣、机上の空論に過ぎないのである。
 更には保守界隈、ネット右翼界隈で盛んなのはこれに加えて「日本人が人種差別に立ち向かった」とする一種の神話がまかり通っていることだ。この中で必ず出てくるのは、第一次大戦後のパリ講和会議(1919年)で、戦勝国となった日本が当時の国際連盟に提出した「人種的差別撤廃提案」である。つまり第一次大戦後、戦勝5大国(米英仏伊日)のなかでの唯一の有色人種が日本であった。日本は当時とりわけ欧米で根強かった(黄禍論等)有色人種への差別撤廃の為に講和会議でこの事案を持ち出したが、他の列強に拒否されて沙汰闇になった…という事実である。これを保守派やネット右翼は「必ず」といってよいほど「崇高な日本人」史観の中に登場させ、「日本民族こそが差別撤廃を願った」として、日本人の道徳性と正義感、ひいては無差別性を強調しているのである。
 いかにも、パリ講和会議で日本が「人種的差別撤廃提案」を出したことは事実である。が、その当時(1919年)、日本は朝鮮半島と台湾等を植民地支配し、国際的には「人種差別撤廃」を謳っていたが、実質的には他民族を服属させ、支配していた。要するに1919年の日本政府による「人種的差別撤廃提案」は政治的ポージングに過ぎず、実際は人種差別を主張する当事者である日本が他民族への搾取と差別を行っていたという二枚舌・矛盾を解決できないでいた。そして昭和の時代に入り、大陸侵略を目論む日本軍部・政府等は満州事変を経て「同じアジア人」である中国侵略と、「大東亜共栄圏」の下、東南アジアの被欧米植民地へ軍を進めていったのは既知のとおりである。
・差別をしない日本民族、のウソ
富士山と桜(フォトAC)同
 事程左様に、「崇高な日本人」史観とは、全く根拠のない空想であると喝破せざるを得ない。そもそも日本民族は、明治国家建設以前の近世期に於いてさえ、「他民族」たるアイヌ等への圧迫(土地・権益略奪)と搾取(不当交易)を繰り返してきた(江戸期・松前藩等)。そういった歴史的な日本人の差別(加害者)の事実がありながら、「日本には欧米のような人種差別問題は極めて少ない~」というのは、全くの妄想・歴史改変でしかない。また更にさかのぼれば、戦国の世が終わって琉球王国を薩摩藩が服属させ、明を経て清朝との二重朝貢国としながらも実際は日本の服属地としておいた数次の「琉球処分」を如何に見做すのか。「崇高な日本人」史観にはその答えが全く無い。
 このような厳然たる事実を以てしても、ナイキPR動画への反発は止まることを知らない。「日本には欧米のような人種差別問題は極めて少ない~」という彼らの主張は、ナイキPR動画への反発の主軸を占めるに至っていると観測する。最終的に筆者は、こういったナイキCMへの反発の声が主に日本国内における「ネット右翼」から発せられている点を鑑み、彼らの思想背景を次のように結論する。
1)ネット右翼は私の調査・研究の通り概ね「中産階級・高学歴」であり、であるからこそ順法精神が高く、不道徳な行い、反社会的な行為を嫌う傾向がある
2)1)の如くネット右翼はいわば比較的恵まれた環境の中で育ち、恵まれた環境で温和で同質的なコミュニティの中で生きてきたので、元来「他民族を差別をする」という概念が、事実であってもその認識に於いて希薄である
3)2)に述べたように、実際に彼らは民族差別を行っているが、それは「日本社会における秩序の維持・回復」に眼目が置かれており、それが差別だという認識は無い(差別を区別と言い張る)
 という、3点に尽きる。つまりナイキCMに反発するネット右翼層は「中産階級の温室育ちで、異質な他者との共存や、それによって起こる摩擦をあまり経験してこなかった”社会的優等生”」であり、それが故に欧米の人種差別問題と日本でのそれが同一にされることを嫌う。
 つまり彼らは、その出自が社会的に優遇された中産階級の出身者によって寡占され、過酷な差別や民族対立を身近で感じてこなかったからこそ、「日本社会には人種差別は少ない」と言い切れるのである。これは彼らのいわば「温室育ち」に依拠する実体験がそうさせている。これが論拠に、おおむねネット右翼はタトゥーや反社会的な団体とのつながりを殊更禁忌し、「反日的」と言い換えている。驚くべきことに、私の実体験で言えば、ネット右翼層には所謂「お嬢様」育ちや「お坊ちゃん」育ちの優等生が多い。しかし実際は、そういった差別などの不道徳が、自ら及びその周辺で行われているという事実を完全に無視している。その無視の理由とは、「崇高な日本人」史観に代表される「日本人こそ世界で最も崇高で道徳的な民族である」という歪んだ思想が背景にある。
 ナイキCM問題は、単なる世界的大企業のPR動画への反発では済まない、日本の保守層やネット右翼に地下茎のように張り巡らされた「崇高な日本人」史観をあぶり出しているように思える。これを解消しない限り、日本に居住する他民族への圧迫や差別は平然と「差別でなく区別」と正当化されて継続されるだろう。そしてこのような、「日本人こそ世界で最も崇高で道徳的な民族である=日本に差別などない」という主張を主眼とした書籍や雑誌が、書店で平然と平積みされているとき、私たちはナイキPR動画の持つ意味の重さを痛切に感じざるを得ない。(了)古谷経衡
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20201203-00210699/

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頭木弘樹 潰瘍性大腸炎を患うも、蟄居で物の見方が細やかに

2020-12-04 | アイヌ民族関連
中央公論 12/3(木) 22:06
─安倍前首相辞任の理由になった潰瘍性大腸炎を抱えつつ、東京から宮古島へ、いつ頃なぜ移住されたのですか。
 二〇一一年の東日本大震災の後です。元々行きたかった宮古島ですが、難病で東京の病院に通っていて、院内で製剤している薬を使っていました。だから病院を変えられず、鎖で繋がれた犬みたいに一生、病院に通える範囲にしか住めないなと。けれども震災が起きて、いつどこで死ぬかは分からないと改めて思い、無理矢理にでも行きたい所へ行こうと、強引に決めました。
 なぜ宮古島かと言えば、昔話がとても面白いからです。ロシアのニコライ・ネフスキーという、日本に来て日本人の女性と結婚し、柳田國男とも交流のあった人が、日本の古い物語は端っこに残っていると唱えて、アイヌと宮古島を現地で研究しています。著書もあって、宮古島がすごく面白いと言及されており、惹かれました。
 当初、通院のため三ヵ月に一度上京し、仕事もして、また宮古島に戻る往復生活をしました。ところがコロナ禍を機に、今は東京にいます。宮古島には感染症用の病床が三床しかなく、高齢者も多かった。コロナを持ち込んだら大変だと考えたからです。
─周囲にはどう接してほしいですか。
 分からないまま対応して下さい、ということですね。要するに、目の前の人には何か事情があるのかもしれない、言動が変だとしても、すぐ変だと思わずに、少しためらいを持って相手の言うことを聞いてほしいです。それと、よくNGワードみたいなことが言われますよね。うつ病だったら頑張れと言ってはいけないとか。その程度であればまだいいのですが、色々な病気や立場の人についてのNGを覚え始めたらきりがなく、何か言ったら地雷を踏む恐れがあるとすれば、接するのが嫌になってしまいます。だから言葉咎めはしない方がいいと思います。
─本書で引用されるカフカや文豪などの言葉に胸を打たれます。
 カフカの何が良かったかと言えば、傍から見たら健康で順調な人生を歩んでいるにもかかわらず、深く絶望していることです。それ故、彼の絶望には誰もが共感できる普遍性があります。晩年こそ病人になっていますが、それまでは散歩を長時間して、ボートを漕いだり水泳したりもする、健康な人でした。職場では可愛がられ、出世もどんどんして、親友もいるし、女性にもモテたし、第三者から見れば全く幸せなサラリーマン人生です。ところがカフカは、病気にならなくても炭鉱のカナリヤのように敏感でした。ですから、誰も鳴かないうちから自分だけ盛大に鳴いているわけです。没後一〇〇年近く経った今まさに、カフカは現代人の先駆けみたいな感じがします。「ひきこもり」という言葉がない時代からひきこもっていましたからね。つまりカフカは、誰でも十分に敏感であれば、健康でただ普通に生きているだけでも辛いことを示してくれるのです。
─頭木さんはコロナ感染リスクが平均より高いため、家にこもっておられますが、気晴らしはどうしていますか。
 ひきこもったことのない人は、ひきこもると退屈だろうと皆思うわけです。普通なら外出してお店に行ったり遊んだり、人と会う時間をずっと一人でいますから。萩原朔太郎が病気で二ヵ月くらい寝込んだ体験を書いていますが、次第に物の見方が細やかになると言うのです。天井に止まっている蠅は一時間眺めても飽きないし、花を見れば美しさにとても打たれると。僕も同感で、退屈どころか発見がすごく多いのです。
─読者からの反応はどうですか。
 面白かったのは、「食べること」に関してはSNS上での感想が多かったのですが、「出すこと」に関しては表立っては少なく、ほとんど私個人へのダイレクトメールだったことです。小学生の時の粗相でも引きずっている人が多いですね。誰にも言えなかったけれど、堂々と書いてくれたので救われたとか。トラウマにするのではなく、気軽に「吐いちゃった」ぐらいのレベルにできればいいのですが。
撮影:八雲いつか
〔『中央公論』2020年12月号より〕
◆頭木弘樹〔かしらぎひろき〕
1964年生まれ。文学紹介者。筑波大学卒業。大学3年の20歳のときに潰瘍性大腸炎を患い、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』を出版。『絶望読書』『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』など著書多数。月刊『みすず』で「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」を隔月連載中。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5aaab1237dd1639f999ebfdbec173896d406f353

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毒だけじゃない、すごい戦略を持った花――トリカブト(キンポウゲ科)

2020-12-04 | アイヌ民族関連
山と渓谷 12/3(木) 8:00
社会活動や生活を制限せざるを得ない今、身近に咲く花に心惹かれます。『花は自分を誰ともくらべない』の著者であり、植物学者の稲垣栄洋さんが、花の知られざる生きざまを紹介する連載。今回は強い毒をもつトリカブトについてです。
毒草の中の毒草
美しい花には毒がある。
この言葉はトリカブトのためにあるのだろう。
トリカブトの花は美しいが、猛毒の毒草である。トリカブトの毒の主な成分は、アコニチンやメスアコニチンなどのアルカロイドである。この毒は、フグのテトロドトキシンに次ぐ猛毒で、トリカブトは植物界では最強の有毒植物と言えるだろう。
トリカブトの毒は、古くから、毒矢として利用されていた。一説には弥生時代にはすでに狩りのためにトリカブトの毒が使われていたと言われている。また、アイヌがクマを射るための毒矢としても用いられていた。
歴史を紐解くと、謎の急死を遂げた権力者も多い。今となっては、真相は明らかではないが、毒による暗殺も少なからずあったことだろう。トリカブトもかなり暗躍していたはずである。また、東海道四谷怪談でお岩さんが飲まされた毒もトリカブトである。さらに西洋では、トリカブトを食べると狼男になるという伝説もある。まさに毒草の中の毒草である。
俗に不美人な女性を「ブス」というが、ブスの語源となった植物こそが、トリカブトである。トリカブトは、誤って口にすると神経系の機能が麻痺して無表情になる。
このトリカブトに苦しむ表情に由来して「ブス」と言われるようになったのである。
トリカブトの仲間は日本には三十種ほど自生している。花の色は紫色を中心に、白色、黄色、ピンク色などがあるが、いずれも美しいものばかりである。
現在、園芸用に栽培されているハナトリカブトは、江戸時代に中国から伝えられたものである。
それにしても、トリカブトの花は、独特の形をしている。
トリカブトは「鳥兜」と書く。鳥兜とは、雅楽のときに使う烏帽子のことである。
トリカブトは花の形がこの烏帽子に似ていることからそう名付けられたのだ。
この花びらのように見えるものは、じつはすべてが花びらではなく、がくである。
トリカブトは五枚のがくで兜の形を作っているが、五枚のがくには、それぞれ役割がある。トリカブトの花粉を運ぶのはマルハナバチの仲間である。トリカブトの花の下側の二枚のがくはハチの着陸場所であり、その上の二枚のがくは左右に壁を作って、花の奥へといざなう通り道を作っているのである。
一番上の兜型のがくの中に二枚の花びらが隠されていて、蜜をためている。そして、トリカブトの花にマルハナバチが頭を突っ込むと、ちょうどお腹の位置に雄しべや雌しべが配置されていて受粉をするのである。
ハチ類は、紫色よりも波長の短い光をよく識別する。トリカブトの花が鮮やかな紫色をしているのも、マルハナバチに見つけられやすいためだ。トリカブトの美しくも複雑な形は、マルハナバチに花粉を運ばせるための手の込んだ装置だったのである。
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※本記事は『花は自分を誰ともくらべない』(山と溪谷社)からの抜粋です。
『花は自分を誰ともくらべない』
チューリップ、クロッカス、バラ、マーガレット、カンパニュラ、パンジー、マリーゴールド――花は、それぞれ輝ける場所で咲いている。身近な47の花のドラマチックな生きざまを、美しいイラストとともに紹介。
【著者略歴】
稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)
1968年生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士、植物学者。農林水産省、静岡県農林技術研究所を経て、現職。著書に『身近な雑草の愉快な生き方』(ちくま文庫)、『散歩が楽しくなる雑草手帳』(東京書籍)、『面白くて眠れなくなる植物学』(PHPエディターズ・グループ)、『生き物の死にざま』(草思社)など多数。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb4dbfaa594162b4fa40f93ef4cb105c486c0a2d

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12月6日11時~FM特別番組「イランカラプテ&アロハ ウポポイスペシャル」放送

2020-12-04 | アイヌ民族関連
jpubb 2020/12/03
FMノースウェーブで「イランカラプテ&アロハ ウポポイスペシャル」を放送
12月6日(日)午前11時から、ウポポイのオープンを記念した特別番組が放送されます。 「アイヌ」と「ハワイアン」という、それぞれの土地を愛する2つのネイティブが、先人から受け継いできた大切なことを探し出すことをテーマに、番組DJと3人のゲストのトークや音楽などで、2つの文化とウポポイの魅力をPRします!
 番組DJは、毎週日曜日放送の 「ISLAND BREEZE from HAWAII」 の REIKO T.ROGERSさんです。
 ゲストは、 アイヌシンガーの豊川容子さん、カレン・アイウさん(フラの師範) と クウイポ・クムカヒさん(ハワイアンアーティスト) です。
 ハワイでの記念公開録音の様子や豊川さんとのアイヌ文化トークなど、「アイヌ」と「ハワイアン」がコラボした
豪華な内容となっています。
 なお、放送終了後1週間は、ラジオ番組を聴ける無料アプリ「radiko」でも聴くことができます。
 また、後日ウポポイの公式YouTubeと北海道の公式YouTubeにおいて収録の様子を公開予定です。
○ 収録の様子
(豊川さんとReikoさんのZoomでの収録!)
(クウイポさんによる「イランカラプテ~君に会えてよかった」の弾き語り^^)
http://www.jpubb.com/press/2589417/

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